第6話叱られ保育士の絶対的包囲

さくら先生、みなみ先生、そしてゆうな先生の三人による調教は、すでに私の日常の一部となっていた。

逃げ場はどこにもない。


さくら先生は、私が彼女の支配下にあることを確認するように、甘い声で私を「手のかかる子」と呼び続け、優しさという名の鎖を締め上げてくる。

その甘さは、私が誰の所有物であるかを、日々、私に植え付けた。


みなみ先生は、私を視界に入れるたびに「汚点」や「汚らわしい」といった言葉を冷たく吐き出し、私の存在そのものを否定した。

その徹底した軽蔑と嫌悪こそが、私の屈辱的な快感を満たす糧だった。


そしてゆうな先生は、私の性癖を公然の事実として扱う、無邪気なからかいで私を責め立てた。

子どもたちの前で「怒られるのが大好きな変な人」と説明される屈辱に、私は日々震えながらも、その刺激を求めてミスを繰り返していた。


私はもう、この園の年下の女性たちに「叱られる変態」として生きる運命を完全に受け入れていた。

四方八方からの支配は、私にとってこの上なく甘美な地獄だった。


※※※


そんな日常が続いた、ある日の午後。


数週間の外部研修から帰ってきたばかりの園長先生から声をかけられた。


「良介先生、こちらへ」


その言葉は常に穏やかだが、有無を言わせぬ権威を纏っている。

私は緊張で喉が渇くのを感じながら、園長先生の後について園長室に入った。


園長先生は、いつものように重厚なデスクに座り、私を穏やかな目で見つめていた。

その静かな威圧感だけで、私の全身の震えが止まらなくなった。


「良介先生。まず、氷室先生から報告のあった『先日の園庭での事故未遂』について、あなたの口から説明しなさい」


私は言葉に詰まった。あの、みなみ先生に罵倒された、園児の怪我寸前の事件だ。


「それは…私の不注意で…」


「不注意ですか?」


園長先生は、声のトーンを一切変えずに、デスクの引き出しを静かに開けた。

そして、その中から黒いケースを取り出し、デスクの上に置いた。


私の『あのDVDケース』だ。


「では、これについてはどう説明しますか?」


この園の絶対的な権威の手に、私の最も恥ずべき秘密の証拠が渡っている。

その事実に、私の視界は白濁し、足元から崩れ落ちそうになった。


園長先生は、私の激しい動揺を一瞥すると、冷徹に言葉を続けた。


「さくら先生と氷室先生、二人の報告をまとめると、あなたは『年下の女性に叱られたい』という自分の変態的な欲求を満たすために、園児を危険に晒した、ということで間違いないですね?」


その問いは、尋問ではなく、最終的な屈辱の通告だった。


園の絶対的な権威者に、私の性癖と行動を、最も醜い言葉で公然と断定された。


私は、頭を垂れることしかできなかった。


「…その通りです」


「よろしい」


園長先生は、深く息を吐いた。


「あなたのその極めて変態的な性癖は、個人の領域を逸脱しない限り、私も目を瞑ります。

しかし、それが園や子供たちの安全を脅かしたとなると、話は別です」


園長先生はデスクの前に立ち上がり、私を見下ろした。


「あなたの変態性の矯正について、すでに三人の先生から指導を受けているようですが、これからは私が責任者となり、園の管理下に置きます。

あなたを解雇することは、園の評判を傷つける。よって、あなたの醜い快感は、この園の安全のために私が完全に支配する」


「もちろん、私も直接参加させてもらいますよ」


――この園の最高権威者による、逃れられない支配の宣告。

公的な責務と結びつけられたこの甘美な重圧に、私の思考は快感に溶けていった。


「さあ、忠誠を誓いなさい。この園の安全のため、私の支配下に永遠に服従するという証を立てなさい」


私は抗う術を持たなかった。

私はゆっくりと、その重厚なデスクの前に、両膝をついて跪いた。


床に頭を深く垂れるという、絶対的な屈服のポーズを取りながら、掠れた声で忠誠を誓った。


「……私は、園長の支配に永遠に従います」


私が屈服を誓った、その直後。


園長先生は、その重厚な椅子に深く腰掛けたまま、満足そうに口角を上げた。

穏やかな口調はそのままに、しかし艶やかな悦楽を滲ませて、私に語りかけた。


「これであなたは、完全に私の支配下ね、良介先生。

年下の叱責でしか喜べなかったあなたに、年上からの支配がどれほど甘美か、これからたっぷり教えてあげましょう」


園長先生が、年上としての優越に満ちた言葉でその支配を完成させた、まさにその瞬間。


「園長、失礼します」


ドアが開き、三人の女性が、私が頭を垂れて跪いている姿をすべて見ながら、静かに、しかし威圧的に入ってきた。


桐原さくら先生が、優しく、すべてを見通した微笑みを浮かべて、静かに私の右側に立った。


「ふふ、よくできましたね、良介さん。これで、もう迷う必要はないわ」


氷室みなみ先生が、冷たい嫌悪を込めた視線で、私を射抜きながら左側に立った。


「本当に気持ち悪い。園長の前でそんな卑屈な姿を見せつけるなんて、まだ『規律』が骨の髄まで染みついていない証拠ね。まだまだ矯正が必要みたいよ」


そして星野ゆうな先生が、悪戯を企むような無邪気な笑顔で、私の背後のドアを背に塞ぐように立った。


「よろしくね、変態さん!これで、毎日いっぱい遊んであげられるね!」


私は、園長先生のデスクを挟み、園の四方八方からの支配者たちに完全に包囲された。


私の「叱られ保育士」としての運命は、ここに完全に確定したのだった。

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