第15話 侮る相手と高まる緊張感

 フィールドへと移動すると、そこにはすでに今日の相手、ギルド《バラスト》の面々が待ち構えていた。彼らは進化ジョブ特有の威圧感のある装備に身を包んでいる。パラディンの神々しいプレートアーマー、ガーディアンの重厚な盾、ハイプリーストの聖なるローブ。誰もが王道を行く、隙のないパーティーだ。

 対する《クローバー》は見た目こそ普通の冒険者だが、小盾を装備している点で異質だ。

「おいおい、本当に全員盾装備なのかよ」

《バラスト》のリーダーらしき、片方のパラディンがニヤニヤしながらメイたちを見る。

「あんなネタパーティーに進化ジョブの俺たちが負けるわけないだろ。さっさと終わらせて次の相手に備えるぞ」

 もう一人のパラディンも、侮蔑の色を隠さない。

(まあ、そう思うのも無理ないか。情報だけ見ればネタパーティーだもんね)

 メイはクールに受け流す。相手の油断は自分たちにとって有利に働く。

「みんな、相手、完全に私たちを舐めてるよ?」

 ルーナが少し怒った様子でメイに囁く。

「いいじゃない、その方がやりやすいわ。それに相手の進化ジョブ、王道だけど、裏を返せば戦い方が読める」

 メイの言葉にアリスとフィリアも頷く。

「相手は完璧なバランス型。崩すのは難しいけど、私たちには私たちだけの『全員盾』戦法があるもんね!」

「うん!正義感の強いルーナちゃんを怒らせたのが運の尽きだ!」

 フィリアも珍しく強気な発言をする。

「さて、どこまで通用するか、試させてもらうわよ」

 メイの口元がわずかに弧を描く。闘志が静かに燃え上がっていた。


[試合開始まで10秒!]


 システムアナウンスが流れ、フィールドの緊張感が高まっていく。

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