第5話 盾モンク、覚醒
オークを倒した四人は最深部のボス部屋の扉を前にしていた。先ほどの中ボス戦を経て、メイの「盾パンチ」スタイルは確立されつつあった。もはや彼女はシールダーではなく、盾をナックルに装備したモンクとして、このゲームに新たな戦闘スタイルを刻み込もうとしている。
「さーて、次が本番のボスだ!『始まりの洞窟』のボスなんて雑魚だけど、盾縛りだとどうなるかな!」
ルーナがワクワクしながら扉を開ける。
ボス部屋の中央には、巨大なゴブリンキングが鎮座していた。普段なら熟練プレイヤーの相手ではないが、今は全員が小盾一つ。
「作戦はさっきと同じ。私がヘイトを取ってスタンさせつつ削る。みんなはスタン中以外は防御に徹して、クールタイム明けは『アイアンウォール』で凌いで」
メイが冷静に指示を出す。
「メイちゃんがもうダメージディーラーじゃん!ウケる!」
アリスが笑う。
(ダメージディーラーね。まあ、物理的に殴ってるんだから間違ってないか)
メイは内心苦笑しつつ、ゴブリンキングに駆け寄る。
「グルアァァ!」
ゴブリンキングの巨大な剣がメイに振り下ろされる。メイは紙一重でそれをかわして懐に潜り込む。そして先ほどと同じように盾を握りしめた拳をキングの頭部に叩き込んだ。
ガッ!という音と共に、キングがスタンする。
[物理攻撃:15ダメージ!]
[追加効果:スタンを付与!]
「いっけー!」
ルーナの掛け声で、三人全員がパンチの嵐を浴びせる。ガシガシガシ!という鈍い音が響き渡る。キングは為す術もなくHPを削られていく。
スタンが解けると、ゴブリンキングがフィリアを狙う。
「『アクセルガード』!」
アリスとルーナがフィリアの前に飛び出し、キングの攻撃を受け止める。ノーダメージ。
(完璧な連携ね)
メイは満足そうに頷く。もはやドタバタ劇ではない。回避チートのメイを軸にした、鉄壁のパーティーがそこにはあった。
戦闘は、通常よりも遥かに時間はかかったが、誰も一撃を受けることなく、ノーダメージでゴブリンキングを撃破した。光の粒子がゴブリンキングの体から立ち上り、勝利を告げるファンファーレが鳴り響く。
「「「やったー!!」」」
再び歓声が上がる。メイのクールな表情にも達成感が滲んでいた。
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