第8話:告白未遂と宿題
「ケイコ、俺とつきあってくれ!」
なにを言い出すかと思えば、タクヤはいきなりとんでもないことを口走った。その直球の言葉に、ケイコは目を丸くしたあと、すぐに冷静な声でバッサリと切り捨てた。
「センパイ、フライングしすぎです!いくらおかっぱぱっつんが好きでも、今のセンパイならおかっぱぱっつんの犬にでもつきあってくれと言いそうです!」
タクヤは言葉を失い、ただ立ち尽くす。
ケイコはさらに続けた。 「そういう時は、ケイコが自分に寄せてくれるその気持ちがうれしいのでつきあってくれ、的なことを言うべきです!」
タクヤは慌ててそのまま言い直した。 しかしケイコは首を振る。
「そんな二番煎じはもちろん却下です!」
そして、いたずらっぽくしかし冷たく笑って言った。
「宿題出すので、次のデートの時まで考えてきてください!」
タクヤは必死に食い下がる。
「何かヒントを……」
しかしケイコはバッサリ切り捨てた。
「レンアイ相手の女子にそんなこと聞くようじゃ、一生童貞確定です!」
その一言に、タクヤはまたしても奈落の底へ突き落とされるのだった。
ケイコの宿題に答えられないまま、一生童貞の人生を送っている自分の姿が脳裏をよぎる。タクヤは死ぬ気で宿題に答えなければ――と決意した。
一生童貞、一生童貞……そのコトバが脳内をエコーしながら何度も響き渡り、ゾ~ッとするタクヤだった。
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