第7話:童貞センパイの試練

続いてタクヤは、何を勘違いしたのかいきなりケイコの両手を握ろうとした。


しかしケイコにパシッとはたかれて拒絶されてしまう。


「センパイ、いきなり手を握るとかキモイと言われますよ。まあ、センパイが感動している気持ちは伝わりますが・・・」


ケイコはあきれたように笑いながらも、タクヤを落ち着かせるように言った。


「センパイ、3回深呼吸して下さい」


タクヤは言われた通り 「スー ハ―」と深呼吸を3回した。


冷静になると、「どうせオレはキモイいぶし銀の童貞マスターさ・・・」とタクヤは自虐モードに入った


するとケイコは言った。


「センパイ、今日の感動を三十文字で答えてください」


まるで受験問題のような設問形式。タクヤは得意分野の文章題になった途端、スラスラと答えた。


『オレは、自分の好きなタイプの女性に寄せてくれて感動している。』

 ――三十〇文字ちょうど。


ケイコは満足げにうなずいた。


「センパイ! やればできるじゃないですか! 問題形式で解いて、会話体に変換すればいいんじゃないっすか」


ちょっとあきれてはいたが、冷静なアドバイスに、タクヤはまた一歩、脱童貞の足掛かりをつかみかけたようだった。



まあ、ワンテンポ遅れるので、慣れたら、問題形式をとらなくとも言えるようにならないと…とケイコはさらに冷静に分析を加えた。

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