第4話 絶望
「禁呪『冥炎葬迴』」
とたんに周りの円形状に巨大な蒼い炎が出てきた。
それは村から誰一人逃す気がないという意思の現れだった。
周りの村民が炎に水をかける。
だが、その水は焼け石に水のごとく無駄だった。
それどころか、ますます威力が上がっていっている。
そのとき一人の村民が炎に触れてしまった。
その瞬間、その村民は焼けることもなく、灰となって消えた。
村の建物も、大事なものも全てが灰となって消えて行く。
どんどん範囲が迫ってきている。
「どうしよう、お母さん」
僕は母に助けを求め、振り返る。
だがそこに母の姿はなかった。
「お母……さん……?」
僕の頭が理解を拒んだ。
お母さんは、炎に触れてしまったんだ。
とたにんに、僕の目からは涙が溢れだす。
「さて、あとは君だけだね」
僕は絶望した。
気づくと村民たちは、誰一人いなかった。
そのとき、誰かが空に浮いているように見えた。
「呪壊零式」
とたんに周りの蒼い炎が消えた。
「な、なんだ?」
大魔族も困惑しているようだった。
「生き残りは一人だけか……」
彼は僕に手を差し伸べてきた。
「君を助けに来たよ」
俺は考えていた。
現実世界に戻るには、おそらくシナリオの完遂が条件にあるだろう。
そのときに俺一人では無理だと考えていた。
一応最強になる方法はある。
俺はこのゲームの制作者、つまりこの世界の想像主でもある。
ゲームなどを作った人は基本的に管理者権限を持っている。さらに救済処置として、裏コードを一応作っている。だが、それら権限を使うとプレイヤーだと認識されなくなる可能性が高い。
かといって生身でクリアは不可能。
だから俺は考えた。管理者だけではプレイヤーと認識されない。
だが、パーティーを使えば、『パーティークリア』として認識はされるだろう。
だから、俺は管理者権限を使い、一人のNPCを強くさせていきながら、手助けして、クリアを目指す。勇者は現実世界のプレイヤーだ。現実でエラーでデータ消去される可能性があるから、勇者は頼れない。
では誰にするか。
桜丘村の誰かにしよう。
あそこはすぐ死ぬ予定だったから、データ内容が薄い。少し変わってもシナリオに影響を与えにくい。見殺しにしようとして心も苦しかったし、決まりだな。少し急がないと不味そうだ。
あれ、なんでオルフェインがいるんだ?
ここは魔物の群れによって破壊されるはずだが?
ただの魔族に禁呪が使えているのもおかしい。
既に変化してきているのかもしれない。
「だ、誰だお前。我が名は大魔族オルフェイン様だぞ」
…………ん?
「何を言っているんだ?お前はただの魔族だろ?」
一番最初に死ぬはずのモブが勇者に返り咲く Ri @M41k
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