第3話 大魔族

まずは一から考えよう。

おそらくだけどこの世界は「トライアル·オブ·マッドネス」の世界だろう。

とある配信を見て最初の展開は知っている。

魔物の森から始まり、桜丘村の兵士たちが、助けてくれる。そこから桜丘村に着き、武器を蓄えてその日のうちに王都へ出発する。

ネタバレはいまいちなので、ここで配信を見るのをやめたが……

まず、初期位置が違う。

いきなり王都?!

桜丘村は?

そもそもなんで僕はゲームの世界のなかにいるんだ?

口コミにもは、配信にも、作品の説明欄にも書いていないじゃないか。

そこで僕は自分の頬をつねってみる。

痛みを感じる。夢じゃない。

それなら、なおのこと意味が分からない。

この世界は何かおかしいのかもしれない。

「勇者様、お時間です」

ドアの向こうから先ほどのメイドの声が聞こえた。

「分かりました。すぐ行きます」

まだまだ分からないことばかりだけど、旅のなかで手がかりが見つかるかもしれない。

というか、旅しか出きることがないのだ。

そんなことを考えながら、先ほどの宮殿へ向かった。


王様は事細かに説明してくれた。

この世界がピンチなこと。

魔族や魔物の被害が出ていること。

いろんな種族が人間を狙っていること。

そのピンチを脱するために召喚されたのが僕こと「勇者」という存在ということ。

その勇者には特別な力があるとか。

「以上です勇者様。分からないことがあるなら

聞いてください。」

この世界にはさまざまな種族がいる。

人間、魔物、天使、妖精、幽霊

能力や魔法が使える人間の上位種「ギフテッド」

そのなかでも最強と言われている5人を「五帝」

魔物の上位種「魔族」その王「魔王」

天使の管理役「大天使」世界の頂上「神」

妖精上位種「大妖精」その王「妖精王」

幽霊は様々な種類があり、その王は「霊神」

様々な種族、つまり最低でも2~3種族に狙われている。

それぞれの進行を止めるなら主を潰さないと行けない。

だが、それぞれの種族の最上位の強さは桁が違う。

これがこのゲームの難易度の原因。

道中の敵もなかなか強いが、ボスが強すぎる。

最初のボスでも挫折してる人が多く見られる。

……これ、本当に勝てるの?


「敵襲だ!魔族が来たぞ!」

その深夜に響く言葉と鐘により、村民は飛び起きた。

「けんた、逃げるわよ!」

そういわれ僕は母に連れられ、走り出す。

村は炎に覆われていた。

「なんで俺がこんなへんぴな村を潰さないと行けないんだ?」

被害の規模に対し、魔族は一人だけだった。

村にいる兵士は魔族めがけて走る。

「よくも俺たちの村を」

みんな鉄の鎧を纏い、剣を振りかぶる。

「やっぱり人族は遅いなぁ。この村にはギフテッドはいないのか。つまらないな」

そう言ってみんなの攻撃を軽く避ける。

「人族よ光栄に思え、この大魔族『オルフェイン』が一撃で葬ってやる」

そう言った次の瞬間、その魔族は天に手を掲げ

「禁呪『冥炎葬迴』」

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