30センチだけ浮遊

シーフード魚類

「僕の将来の夢は宇宙飛行士です」

遠い昔子供の頃の記憶が脳裏を過ぎる、宇宙飛行士になりたいと言っても僕は生まれつき物覚えが悪く、昔は夢の話をしても笑って聞いてくれていた両親は、僕が年齢を重ねる度にどんどん冷たくなって行った。

学校でも周りと比べて明らかに低い成績や多い忘れ物、コミュニケーション能力の低さのせいか誰とも馴染めないまま3年間を無駄にした。

宇宙飛行士になるには当然頭が良くないといけないし自分1人の小さなミスで何人もの命を失う事になる、でも僕は夢を諦められなかった、理由は単純に宇宙に行きたかっただけだった、宇宙は広くて頭の出来が悪くても広い宇宙に行ってしまえば僕1人のことなどどうでもいいちっぽけなものに思えたからだ、ふと寝転んだ時視界に写る天井の木製の支えが目に入り思い付いた、僕でも宇宙とまでは行かなくても飛ぶことは出来ると。

ロープは酸素を供給する管、電球の点滅する音はロケットの操作音、少しだけ早い鼓動音は僕を送り出すファンファーレの太鼓の音、準備は整った後は足元の椅子を蹴るだけ、子供用の椅子だから高さは30センチくらいしかないけど、飛ぶのには丁度いい、酸素供給の管を首に回し僕は地球を後にした。

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