スニーカーを買おう

第1話

　肌寒い曇り空の日の午後のこと。

　履き慣れた靴がくたびれだしていた。

　ちょうど友人とショッピングに出かけていたので、そのついでにスニーカーを買おうとスポーツショップに立ち寄った。

　最初、気に入って手にしたものは予算オーバーで棚に戻した。

　ふと目にした一足は白地にサイケデリックな緑色でちょっと今までとは違う雰囲気で良さそうだと思い、手に取ってみた。ランニングシューズだったのえ随分と軽くて、履いてみるとサイズもちょうどよかった。とはいえ、スニーカーとは違うから普段履きするのにはちょっと不釣り合いに思えてしまうことにした。

　あたりを見回すとカッコいいハイカットのシューズなんかもあったのだが、やはり手は出なかった。　散々迷った挙句、ちょうど友人が飽きたと寄って来たので、今回は結局買わずに店を出ることにした。

　いぜん曇り空の下、足元はどこか暖かだった。