悲しい、切ない、しっとり静かな恋愛
「ねえ、何が違うっていうんだろう。君と僕、そして彼ら。同じ、いのちじゃないか。みんな……ううん、なんでもない。もう誰も否定しないって決めたから。僕は君がいればそれでいい」
「君に出会えてよかったよ。君とみる世界は、全てが輝いてみえた。ほんとに、ほんとに楽しかった。ありがとう」
「君が死んでから、百年が経ったね。僕は変わらず元気に過ごしているよ。君は元気かな?」
「何度だって伝えるわ。わたしの『愛してる』がちゃんとあなたに届くまで」
「報われない恋なんて辛すぎるだろ? そんな結末になるくらいなら、俺は初めから選ばない」
砂糖みたいに甘い恋。いや、甘すぎる恋。この恋は僕には甘すぎて……。
「喉が、焼けそうだ……」
砂糖みたいに甘い恋。いや、甘すぎる恋。この恋は僕には甘すぎて、溶けてしまいそうだ。
君が新しい人生を歩み始めたと聞いた。少し心配なところもあるけれど、きっと君なら大丈夫だと信じている。君に会えないのは少し寂しいけれど、元気でいてくれるなら、それだけで僕は幸せだ。
もう一度、あなたに会えることができたなら……。ねえ、また同じように僕をぎゅっと抱きしめて……。忘れられないあなたの香りを、もっと忘れなくさせてほしい……。
僕だけを愛してほしいなんて、そんなことはない。他の誰かを見るなんて許さないなんて、そこまで思ってる訳じゃない。ただ、僕をもっと見てほしいだけ。愛してほしいだけ。気付いてほしいだけ。
どんだけ好きでも愛していても、言わなきゃ伝わらないこともある。それは分かっているのに……。あぁ、ぼくも自分の気持ちに素直になれたら。素直に好きだと伝えられたらな……。
ぼく、都合のいいやつなんだよね? 君はあいつがいたらあいつのとこに行くし、そしたらぼくへの態度も冷たくなるし。
でもぼくはあんたが好きだから。冷たくされてもいいよ、別にいいよ。都合のいいやつでも構わない。
ただ当たり前に、君の隣にいることを望みたい。傲慢な僕を許してくれ。
死に際の、彼の顔があまりに格好よくて……。
こんな時に気付くなんて。こんなことなら、知らない方がマシだったわ。ずっと分からなかった、モヤモヤしていた気持ちの正体が、今になってやっと分かった。あぁわたし、あなたが好きだったんだ。
私を背に守り立ち上がるあなたの姿があまりに格好よくて。あぁ、私、あなたのこういうところを好きになったんだった。
言葉も何も分からないのにね、あなたが笑ってくれた時、あなたと目が合った時、心が通ったのが分かったの。そう、あの瞬間わたし達はお互いにそれが分かった。繋がったということが。
どうしてこうシンプルなのに、こんなにも嬉しくて嬉しくて、涙が止まらないんだろう。あのね、わたし気付いたのよ。レイ、わたしあなたが好きだって。あなたをとても愛してる。隅々まで本当に。
ねえ分かる? あなたが分かったのよ。あなたに初めて触れることが出来たの。その喜びはまるで、まるで……。何と言ったらよいのか分からないけれど、ただただ
見つけたの。わたしはあなたを。十一光年の時を経て、ようやくあなたに会えたのよ。
あなたのことを愛したかった。あなたのことを知りたかった――
――世界に一人のあなたのことをわたしだけが知っていて、それが嬉しくて寂しくて。
色んな人に、あなたの本当を知ってほしい。幾度となくそう思った。
優しかった。かっこよかった。可愛かった。偶に意地悪。少し幼く彼は笑った。いつもは大人びた、陰のある人。そんな彼の本当をわたしだけが知っていた。
どんな仕草の細かいところも、どんな声の調子も顔も、覚えてる。
ただあなたを愛したかった。ずっと愛していたかった。あなたのことが大好きだから。わたしを愛してくれたから。
彼は悪者じゃない。わたしは騙されてなんかいない。利用なんかされていない。わたしの前で彼はただの、純粋な一人の人間だった。
本当の彼を、わたしだけが知っていた。わたしだけしか知らなかった。伝わらなかった。
帰ってきてよと叫んでも、どれだけ強く泣き叫んでも、彼は帰ってこなかった。動かなかった優しいその手が、どれだけ心を締め付けたか。
知っていた。彼は優しいと知っていた。世界で一番優しいと。……でも、だからってわたしを置いていかないで。わたしのこと、庇って助けてくれてありがとう。だけどわたしを独りにしないで。置いていかないで……。
独りぼっちから抜け出した、あなたがわたしと笑ってくれる……そんな未来を生きたかった。
背負いたかった。あなたの痛みも。救いたかった。あなたの人生を。生きたかった。……あなたと二人で。……もう無理だ、馬鹿だと知っている。
でも、いつか再び出会えたら……もう一度、わたしと生きてくれますか。
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