恐怖、闇、敵

「あれ? こんなとこに僕の教科書……無くしたと思ってたのに。ラッキー♪ ん? なんかよく分かんない絵が描いてあるけど……ま、何も起きないでしょ」


「ん? 何だろう。僕の机の周りに人が集まってる。何? どうしたの? えっ、何この花……。顔面が付いてる。き、きもちわる……。え? 『これからデスゲームを始めます』? ……っはあぁ⁉︎ ちょっ、冗談じゃない! みんな逃げ――」


「ここは、どこだ? 俺……何してたんだっけ」


「ねえ、嘘でしょ? 嘘だよね? ねえってば、なんとか言ってよ!」


「信じられない。こんな事になるなんて思ってもみなかった。本当に最悪」


「やあこんばんは、綺麗なお姉さん。こんな夜中にどうしたの? 早く家に帰らないと危ないんじゃない? 僕みたいなモンスターに襲われちゃうからね」


「……君、迷っちゃったの? 大丈夫、お兄さんが一緒に君の家族を探してあげるね。こんなところに一人でいちゃ危ないよ」


「……君、迷っちゃったの? こんな森の奥で。今日はもう遅いから、僕の家に泊まっていくといいよ。おいしいご飯も作ってあげる。もう大丈夫だからね。それにしてもよかったなぁ。暗くなる前に君を見つけ出せて。ここら辺はモンスターが多いからね」


「ふふっ、人間の君がモンスターの僕に挑もうなんて、千年早いよ。このままズタズタにしてあげる」


「君ってほんと馬鹿だなぁ。こんな事にも気付けないなんて。君の仲間が可哀想だよぉ。同情しちゃう」


「なになに? 付き合ってほしい? いいよ。いいけど、君、大丈夫? いやね、俺と付き合った子はもれなく全員一週間以内に震えながら別れてくださいって言ってくるんだけど」


「誰だって自分が一番可愛い。そんなこと、賢いあなたならとうに分かっておいででしょう。何故そのような馬鹿げたことをおっしゃるのです?」


「ひゃあああああ! な、なんか冷たいものが首筋に! 幽霊! 幽霊ですかぁ⁉︎」


「そんなものを見るな。目が腐る」


「黙っていた方が君の為だった。君は良くも悪くも首を突っ込みすぎる。勿体ないね、まだ若いのに。こんな形で未来を潰してほしくなかったよ」

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