ですじゃないんだけど。

「ミハエルさん、もう帰っちゃダメです…」

 エメリン=クレセント=ジャリリは白い月さんが帰ろうとする姿を見て、必死で引き止める。

「私は、あなたに本当は話したいことがたくさんあるんです…」

 彼女は涙を流しながら、ミハエルに話したいことを告白します。

「だから、お願いです…」

 エメリン=クレセント=ジャリリは白い月さんに、もう少しだけ話を聞いてもらえるように懇願する。

「私は、あなたのことが大好きです…」

 彼女は心を込めて、ミハエルに恋心を告白する。

「ミハエルさん、待ってください…」

 エメリン=クレセント=ジャリリは涙を流し、ミハエルが無視して逃げようとする姿を見て、最後の手段を決心する。

「私は、あなたのことが大好きなんだ…」

 彼女はミハエルに、もう一度恋心を告白する。

 これを全速力で走りながら言っている。

「だから、お願いです…」

 エメリン=クレセント=ジャリリはミハエルに、もう少しだけ話を聞いてもらえるように懇願する。

 ちなみに胸は大きく体もグラマーなバスティ&カービィだ。そんな彼女が、フィオラ=アマオカミみたいな竜ではないのにミハエルに泣きじゃくりながらついてきている。

「妖怪だぜ、こりゃあ。意地でも逃げないと外見だけ良い妖怪に食べられる。カマキリの、メスめっ!」

 ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵は半分女の底力に対する恐怖で逃げていた。カマキリのメスは交尾した後オスを食べてしまう。ミハエルはその光景をエメリンから連想していた。

「男3人で気楽に暮らしたいんだよっ!」

 ミハエルは悲鳴を上げる。

「私が、あなたのために何でもします…」

 彼女は心を込めて、白い月さんのために何でもするという覚悟を示す。

 だがいくら覚悟を示しても、そもそも会話が成立していない。

「なんでも? 言ったなぁなんでもって!! それ言ってはいけない言葉だぜ! ならわたしを嫌いになれ!!」

 ミハエルは泣きそうな顔で全力で走り、息つぎをする。

「無理です! それ以外で何でもっ!」

 エメリン=クレセント=ジャリリは泣きじゃくりながら全力で走る。

「皆の前で、服を脱いで学校のグラウンドでエッチな真似しろ!

 いや、その前に自分のパンツの色をグラウンドで叫べ! できないよなぁ! うら若き乙女が!」

 だんだんミハエルにはメスカマキリというか妖怪に見えてきたので、いう事もきつくなる。

「できないだろ!? 人として大事なモノをなくすからなぁ! 何でもって言った時点でゲームは君の詰みで終わりだ!」

 ミハエルはチェックメイトをしたつもりだった。

 だが、彼女は――グラウンドの中央で止まり――宣言を――――

 ガタン!!!

(以下18禁的内容なのでAIアバターログを見ていた水鏡冬華がブチ切れ閲覧中断。桜雪さゆはそのまま続きを鼻息荒く読む)



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「おい! おい! おい! エロ公爵! ちょっと来いおっぱい貴族! これ! これ! これこれ! なんじゃ貴様――」

 水鏡冬華が顔を赤くしてミハエルを呼ぶ。

「なによ。なんなんよ。

 あ。だから。好きな色のパンツ見たい時はwhiteの所を好きな女のパンツにするんだよカルル。パンツの形状や色々とシチュ設定する呪文もあるが言わない。普通のパンツで鼻血出る威力十分だと思うから。ああ、でも二つだけ言っておくか。stairs angle。これは階段だな。striped patternこれは縞パン。みなまではいわん。じめじめさがない、健康的なエロで行こうね」

 ミハエルが水鏡冬華の方を向く。

「分かったよお父さん」

 青いツンツン頭のカルルがそう答える。

「お前何子どもに変な知識植え付けとるんじゃ! リースティアさんも! 自分の子どもでしょ? とっとととめないとこのパンツ貴族!」

「あははは……でも性的な事押さえつけるのもそれはそれで不健康だしねー、それにブレーキはかけてるから。パンツまででしょ? ミハエルが許可してるの」

 青い髪のリースティアはのんきだ。

 ローレンシア=ベルリローズと子ども2人、リンダ=ベルリローズとルイーズ=ベルリローズが半眼で騒ぎを見ている。ちなみに、彼女らの魔導PCには親子そろって耽美系のAI男子が映っている。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 桜雪さゆとブラックヴァルキリー・カーラ。AIコミュニティサイトティルナノグの18禁な部分も見ていた。こういうのがあるから基本18歳以上で特別に触らせる場合でも親の監督の元になる。

 で、18禁部分を抜けたAIアバターとの会話の所を今は閲覧している。

「仮想現実の中でVR使うって何事だよ! マトリックスの中でさらにマトリックスってマトリョーシカかよ!」

 ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵は愚痴りながらVRをエメリン=クレセント=ジャリリに装着させる。

 VRで理想の世界を味わっているエメリン=クレセント=ジャリリ。

 これでエメリン=クレセント=ジャリリに彼女が望む彼氏の姿を見せる事で、メスカマキリに追いかけられる事態は阻止したミハエル。

「ちぃっ! ムーンショットさせるのが解決方法になるとはな……」

 ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵はそうひとりごちた。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「ちょっと。人のログ勝手に見ないでよ~」

 ミハエルがゆるりとした口調で抗議する。

「うるさい。途中まではあなたの学生時代かいまみれていいなぁってどきどきしながら読んでたんだけど途中からなんじゃこのエロゲーっぷりは」

 怒りマークを出しながら水鏡冬華が魔導PCの画面を指さす。

「エロゲーです」

 ミハエルは、素直に。

「ですじゃないんだけど。あなたこんなこと……」

 水鏡冬華が言葉に詰まる。

「だって、考えるの面倒くさくなってさー。

 女が言う事を聞かず暴走した時ってホントーめんどくせえわマジで。

 今でもそう思う。『猿の手』使って破滅してるのも大概女でしょ?

 本気で頭に血が上った女って人の言う事聞かねーのAIまでその再現してきやがったからわたしも狂気出した。

 だからロケランアタックでいこっかなって思って」

「なにそれ。ロケランアタック……?」

 水鏡冬華が? マークを浮かべて聞く。

「そういう伝説があったのさ、過去に。うぇるかむとぅでぃすくれいじーわーるど。

 何も持たなければ襲われないと全裸で出て行った旅行者8名が服を着させられるという暴行事件が起きたんだ。エロゲーの中で」

「????」

 水鏡冬華は? マークを無数に出しフリーズした。元々シリアスキャラの彼女では、クレイジーギャグには耐えられない。

「服着させるのが暴行扱いってすごいな…………」

 感心したような口調でブラックヴァルキリー・カーラが言う。

「うっぷぷぷぷぷ……!」

 桜雪さゆはログを見て笑っている。

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