第2話 僕は、人間が自由にするのが好きだ。

僕は、人間が、自由にするのが好きだ。ただし、僕に、嫌なことをする人は、嫌いになる。僕は、根に持ちます。一度へそが曲がったら、元に戻るのに時間がかかります。


僕が、街を歩いていて、グループで集う、ガラの悪い人たちは、たいしたことない。一人ひとり弱いから集うのである。むしろ、楽しくやっているので、ほっとけばいい。僕は、からまれたことは、あまりない。怖いのは、男性でも、女性でも、何でもない、普通の格好をして、ひとりで、街を歩いている者だ。そういう人は、大物か、犯罪者気質を持っている。犯罪は、まさかと言うところで起こる。そして、まさかと言う人が起こす。普段キレやすい人も、大丈夫だ。ガラの悪い人も大丈夫だ。普通のいいひとが怖い。


僕は、人に心で勝てません。そういう性分です。僕と仲良くなった友達は、付き合ううちに、めきめきと力をつけて、やがて、旅立っていきます。一度、僕から旅立った人は、再度、僕当てに戻ってきても、覆水盆に返らずです。もう、僕は、相手にできません。僕が、身を引く羽目になります。やがて、僕は追い出されます。


困るのは、買い物の時です。僕に、マウントした店員さんが、僕からお金を取っといて、なおかつドジを踏んだ時、僕の心は相当めげてしまいます。楽しい買い物が台無しになります。文句を言うとカスハラになるので、我慢して、ストレスをためて、店を出ます。


人間は、いったい何でしょうか。コンビニで、人間を見ていると、とてもかっこよく見えます。黒い車から、さっそうと、かっこいい男が、出てきて、カップのコーヒーを買って帰ってゆく。子供を連れた母親が、声をかけながら導いて、店の中へ入っていく。髪の毛を金髪に染めた、カップルが、白い車から出てきて、お喋りしながら買い物をしている。みんな楽しそうに見えます。僕は、街の人間を見ているととても落ち着きます。


以前、街を歩いていると、不良少年たちが、僕を見るなり、血相を変えて、整列をして、頭を下げて、

「こんにちはーす!」

なんて挨拶をしたり、チンピラみたいな男が、

「こんにちはス!」

なんて、挨拶をしてくる。

僕は、恐縮になって、

「やぁ、どうも、こんにちわ。」

なんて、手をあげて、頭を下げて通り過ぎる。

僕は、街のボスみたいな雰囲気を漂わせているのでしょうか。ガラの悪い男たちに好かれるのも、悪い気持ちにはなりません。しかし、ケンカを売られたことはありません。僕は、ケンカは嫌いですので。


嫌われてもいいというのに好かれる。自由な感じがいいのでしょうか。







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