第24話 ムニュムニュ♡【ケモ耳FEVER】【【♡有】♡♡有】
澄恋さんが隣にいて眠れるだろうかと心配していたが、案外眠りにつくのは早かった。やはり昨晩の徹夜と気疲れが堪えていたのだろう。二人して静かに寝息を立て始めた。
そして俺は、またしてもあの夢を見る。
そう、黒い耳と尻尾をヒョコヒョコ動かした、人懐っこい笑みを浮かべて近づいてくるあの子だ。
「くぅん、先輩♡」
「す、澄恋さん……! また犬耳と尻尾が!」
「また澄恋に会いたいと思ってくれたんだね♡ 澄恋、嬉しいなァ♡」
目を細めて素直に喜ぶ彼女の破壊力。どうしよう、語彙力が溶けていく。まさに可愛いは正義だ。
ただ、頭を撫でようにも身体が動かない。まるで金縛りを受けたかのように手足が動かないのだ。
「先輩、どうしたの? 澄恋のことをナデナデしてくれないの?」
「したいのは山々なんだけど、手が動かないんだ。もしかして今回の澄恋さんは幽霊? もしくは魔法使いなのか?」
「もう、幽霊じゃないもん! 先輩、失礼しちゃうなぁ」
ほっぺを膨らませてプンプンと怒っているが、それすら可愛い。思わず顔がニヤニヤして緩んでしまう。
だが、せっかくケモ耳の澄恋さんが現れたのに何もできないのは悲しい。せっかくなら予行練習くらいしたかったのに。
「え? 先輩、澄恋とエッチなことがしたいの?」
——夢! 何で俺の考えていることが駄々洩れなんだ?
情けなくて顔を背けたが、すぐに両手で挟まれてしまった。ニマニマと笑った澄恋さんの顔が数センチ先にある。
しかも動けない俺の腰に跨って……これではまるで、疑似騎乗位だ。
「あー、もう。なんで先輩、自分の夢なのに遠慮しちゃうの? 澄恋とエッチなことがしたいなら、言ってくれたらいいのに」
「いや、さすがに自分の夢とはいえ、澄恋さんに失礼なことはできないと思って」
「——もう、先輩……。優しすぎるよォ♡ でもね、ほんとは……澄恋も先輩とエッチなことがシたいんだよ……?」
「——え?」
今、何とおっしゃいました?
「女の子から言わせるなんて、先輩の意地悪……」
ヤバい、ヤバイヤバイヤバイ!!
こんなの好きにならないほうがおかしいだろ!
「とりあえず、先輩のこと……たくさんペロペロしてもいい?」
色素の薄い唇からペロっと舌を覗かせて。ど、どこを舐めるというんだ、犬耳澄恋さん! ギュッと目を瞑ると、彼女は俺の頬や口のあたりをアイスのように舐め始めた。
——あぁ、そっか。所詮は俺の妄想に過ぎないってわけか。
くっ、一瞬でも如何わしいことを想像した自分が憎い! でもホッとした自分もいることは口が裂けても言えやしない!
それでも胸元をくっつけて舐める仕草は性的にそそられる。ヤバい、興奮が止まらない。もしかしてこれは新たなサキュバスなのか? 夢の中で吸い尽くされるパターンだろうか?
うん、澄恋さんになら全てを吸い尽くされても構わないな!
「ん……っ♡ 先輩、気持ちいい?」
「うん、最高。これで感触があればもっといいんだけどね」
「夢の世界だからね、仕方ないもんね……。でも、試しに触ってみる? 澄恋、先輩になら触らせてあげてもいいよ?」
現実の澄恋さんよりも、やや大きめなオッパイの谷間を主張しながら、犬耳澄恋さんは俺を誘惑してきた。さ、触ってもいいって……いいの??
たとえ感触はなくても、視覚的ご褒美があればいい。
だけど俺の腕は相変わらず動かないままった。なんで今回に限って!
「それじゃ、澄恋が先輩の横に寝ころんだら、触れるかな?」
「え?」
犬耳澄恋さんは俺の二の腕に頭を乗せて、ごろんと横になってきた。まるで現実と同じ体勢……!
「先輩、腕を持ち上げるよ? ほら、こうしたら先輩が動かさなくても、澄恋のことを抱き締めているみたいじゃない?」
横抱きの状態で、二人の身体が密着する。しかも俺の掌は澄恋さんの胸元にジャストフィットしている。指は……動く。揉み揉みと動かせる!
感触こそはないものの、ものすごいことをしているのは分かる!
夢ってスゲェ! ただ残念なのは同じ方向を見ているせいで、澄恋さんの顔も胸元も見れないことだろう。シチュエーションだけしか体感できないが……悪くない。
小指を下乳に添えて、持ち上げるように中央に寄せて……人差し指で探ってみる。
「くぅぅ……ん♡ せ、先輩……それはダメ♡」
「え? でも澄恋さんも俺とエッチなことがしたかったんだろ?」
「んんっ♡ 耳はダメェ……♡ くすぐったいのォ♡♡♡」
尻尾をフリフリしながらお尻を押し寄せて。なんてけしからんのだろう。
(絶対に俺以外の夢に出ないで……! こんなエロ可愛い犬耳澄恋さんが出てきたら、寝取られる……! たとえ夢の中でも俺以外の奴が彼女に触れたら正気でいられない)
グッと一際強く握った瞬間、「きゃん!!」っと、彼女が大きく啼いた。な、なんだ?
「……ん? あれ?」
「ダメ、ダメェ……っ、もう先輩、エッチィ♡」
エッチって、え? いや、エッチなことをしてもいいって言ったのは澄恋さんじゃないか!
とは言いつつも、俺も不思議に思ったことがあった。手のひらに柔らかな感触と温もりを感じるのは気のせいじゃないよな?
「え? でも、夢って……!? 夢だよな? 夢じゃないのか??」
いや、夢じゃない。確かに俺はオッパイを揉んでいる。
ハッと目を覚ました瞬間、俺の腕の中で眠っていた澄恋さんを力いっぱい抱きしめていたことに気づき、慌てて我に返った。
「す、す、澄恋さん! あの、これは……!」
「お、おはようございます。その、蓮先輩……力を緩めていただいてもらっていいですか?」
——っっっ!!?
時、すでに遅し……俺は言い訳も思いつかないまま、ひたすら謝り続けていた。
——……★
ふふっ、ご馳走様でした♡
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