いっぺんに10000文字読めるかな? などと、拝読するまでは思っておりましたが、まったくの杞憂でした。面白いとか面白くないとか、そういう基準では計れない適度な圧迫感の下、作品は展開されていきます。
死刑囚を扱う刑務所でのヒューマンドラマ、という極めて閉鎖的(物理的にも精神的にも)な場所を舞台としつつ、台詞と動作のバランスが実に巧みに構築されています。
その中で繰り広げられる、登場人物たちの一挙手一投足が実に重厚。しかも刑務所という、極めて異質な場所で進行するので、飽きることがありません。
敢えて伏せますが、暴力の発露だったり、生と死の関係だったり、社会性を持って生存を図る『人間』という動物には、必須な思考が込められている物語だと思います。