03.それはそれとして新生活!です!

 高校生活二日目。

 自分の席にカバンを置いて、こっそり息を吸う。


「お、おはよう」

「おはよ。えっと……聖さん」


 前の席の女の子がニコッと挨拶を返してくれた。

 やった!


「うん! 乃々木ののきさん、だよね。よろしく」


 嬉しい。勇者パーティー以外で初めて友達ができた!

 や、この体の友達はいるみたいだけど、同じ高校に行ってる友達はいない。

 少しして私の左の席にも女の子が来て、名方なかたさんというその子と三人で喋る。


 ホームルーム直前に、左隣に真野リオンがやってきた。

 私を見つけると、長い前髪の向こうで、目が細くなる。


「おはよ、……聖サン」

「お、おはよう。なんか違和感あるなあ」

「じゃあエミリ」

「それはそれで、ちょっと、ご遠慮くださいっていうかあ」

「聖さんと真野くんって知り合い? 昨日一緒に帰ってたよね」


 乃々木さんさんが首をかしげる。


「んー、うん。知り合いって言うか、幼馴染みみたいな、感じかな」

「マジかよ、俺も入れろよ」

「うわ、びっくりした」


 いきなり割って入ってきたのは宇佐ルイだ。

 乃々木さんと名方さんが目をキラッと光らせる。

 宇佐ルイは黙っていれば、スポーツ系さわやかイケメンに見えないことも無い。

 黙っていれば。


「聖さん、真野くんだけじゃなくて宇佐くんとも幼馴染みなんだ?」

「……うん」

「どっちか付き合ってる?」


 すっごい笑顔の名方さんが覗き込んでくる。

 女子高生、恋バナ好きすぎるでしょ!


「どっちもない」

「もったいなくない?」

「昔から延々と振り回されてるから、もう関わりたくないんだよ」

「冷たいな、エミリ」

「そうだよ、こんなにエミリのこと愛してるのに」

「ノーセンキュー!」


 そう叫んだところで先生が来た。

 いや、意味分かんない。

 死に際に言っていた、妻にするだのなんだのって、本気だったのか?

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