アンドロイドの彼女

水杜まさき

アンドロイドの彼女

★ 柴田恭太朗さんの自主企画【三題噺 #122】「AI」「人間」「ルール」向け ★ (https://kakuyomu.jp/user_events/822139839774825059


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 俺はアンドロイドの彼女と一緒に暮らしている。


 ひと昔前ならば好奇の目で見られたが、最近では普通のことになりつつある。けれど、やはりまだ世間の風当たりは大きい。


 彼女とは会社の同僚の紹介で知り合い、ライトノベルを読む共通の趣味があって意気投合した。

 最初は友達感覚だったが、付き合っていくうちに深く惹かれ合うようになり、やがて同棲を始めた。


 掃除とゴミ出しは俺、料理は彼女、というのが我が家の家事の分担ルールだ。

 掃除も料理も家事ロボットに任せてもいいのだが、自分たちでやった方が運動になるし、脳のトレーニングにも良い。

 ただ一つ、困ったことがある。


「ちょっと、ここ汚れてるわよ」


 彼女は非常に細かいところに気が付く。高性能なセンサーとAIを搭載しているらしい。

 美人で理知的な彼女だけど、一緒にいてちょっと窮屈だ。


「ごめん。俺の目ではそこまで見えないんだ」


 そう言いながら、彼女が指摘したあたりを掃除する。


***


 ある日、仕事から帰宅すると、彼女が真剣な顔をして待っていた。

 テーブルの上に、『人工子宮』のパンフレットが乗っている。アンドロイドの身体に追加搭載するパーツだ。


「お願いがあるの。あなたとの赤ちゃんが欲しい」


 ついに来たか。

 同棲してそろそろ二年になる。こういう話も出るだろうと思っていた。


「……ごめん。無理」

「……!? ……やっぱり私がアンドロイドだから?」

「違う」

「それじゃあ、私があれこれ小言を言うから?」

「それは……」

「ひょっとして私のこと、嫌いになった?」

「違う、そうじゃない!そうじゃないんだ……。俺は君を愛している!」

「じゃあ、何で」

「それ……、『人間用』」


 リトル・グレイの俺には、それは使えない。

 俺たちは二人で、『宇宙人用』のカタログを開いた。



(了)




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お読みいただき、どうもありがとうございます!


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アンドロイドの彼女 水杜まさき @mizumori_masaki

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