第9話 ここから長い

     9 ここから長い


 それから私達は、場所を移動した。


 街まで行き、地下鉄を使い、隣町まで足を運ぶ。


 私の家から十キロは離れた所で、イスカダルさんは漸く口を開く。


 黒い、癖のある髪を背中に流す彼は、淡々とした口調で私を諭した。


「というより君はもう家に帰らない方が良い。

 家に帰ればご家族をこの戦いの巻き添えにしかねないから。

 もし君が家に帰れる日が来るとすれば、それはゲーテ達を滅ぼした時だ。

 まあ、その頃には君はクリスタとして覚醒しているから、その体のご家族の事は余り気にしないだろうが」


「………」


 明比佐がおかしくなった上に、私は家にさえ帰るなと忠告される。


 彼は明比佐とあんな風に別れた私に、父や母とはもう会うなと言うのだ。

 これこそ、死人に鞭を打つという奴に違いない。


 でも、確かにあの時の明比佐は普通じゃなかった。

 あの時の明比佐なら、例え結界内とやらではなくとも、同じ真似をしたのではないか? 


 見知らぬ他人の命を、平気で摘み取ったのでは?


 ……そんな風には思いたくないが、あの光景が私に警鐘を鳴らしているのも事実だ。

 私が家に帰れば、父や母もこの訳の分からない争いの巻き添えになりかねない。


 当然だが、それは私の望む所じゃなかった。


「……でも、例えおかしくなっても明比佐は明比佐なんでしょ? 

 なら、私の家の場所を知っている彼奴は、私の家族を人質にとる位の事はするんじゃ……?」


 私が自分の発想に悪寒を覚えながら訊ねると、イスカダルさんは何故か首を横に振る。


「いや、それはない。

 何故なら、それがこの戦争の取り決めだから。

 実は、この星にはかなり怖い連中が居てね。

 その連中にとって我々は、招かれざる客なんだ。

 その我々がこの星の一般人に手を出す様なら、相応の報復を受ける事になる。

 それは、我々は勿論ゲーテ一党も避けたい筈だから、君のご家族が被害を受ける事はないだろう。

 それでも、万が一という事はある。

 君の近くに居た事で過失が生じ、君のご家族がやつ等の攻撃に巻き込まれるかもしれない。

 私が危惧しているのは、そういう事態だ」


「一般人に攻撃すると、報復を受ける?」


 その時、私の中で今朝の出来事が鮮明に蘇る。


 あの白い彼女は〝怖いヒト達がいるから気をつけろ〟と言った。


 まさか、アレはこの事をさしていた?


「えっと、その怖い連中って――白ずくめ女の子の事?」


「ほう? 

 既に彼女と接触していたか。

 まぁ、あの彼女もいい性格をしているから、その位の悪戯はしかねないな。

 そうだよ。

 彼女はこの星でも、トップクラスの危険人物だ。

 その彼女の話では、私達が殺し合う分には何の問題視もしないらしい。

 その代り、この星に被害を及ぼすなら私達の身の安全は保障しないそうだ。

 いや、彼女の表現はもっと婉曲的だったが、少なくとも私はそう解釈した。

 恐らくこれは、マルグも同意見だろう。

 なら彼女達の脅威は、マルグを通じてゲーテにも伝わる筈。

 それでこの戦争の体裁は、体よく整う事になるわけだ」


「………」


 ……あの明比佐の力は、正に怪物じみていた。

 アレだけの力があれば、軍隊とも互角に渡り合えると思える程に。


 その彼等さえ脅威に感じる勢力があるとは、正直想像もつかない。

 私としては、ただただ首を傾げるばかりである。


「いや、前置きはこの辺にしよう。

 そろそろ君も本題に入りたいと思っている筈だが、どうかな?」


「そう、ですね。

 じゃあ、さっそく聴かせて。

 一体、何がどうなっているの? 

 明比佐に何が起ったって言うのよ? 

 彼奴は、明比佐は――元に戻るの?」


 私が無様に同じ質問を繰り返すと、イスカダルさんは近くにあったベンチに腰掛ける。

 彼は私にも席を勧めたが、私は立ったまま彼の話を聴いた。


「そうだな。

 では、まず私達が何者なのかを話そう。

 端的に言えば、私達はこの星の人間ではない。

 別の星で生きていた――言わば宇宙人という奴だよ」


「……宇宙、人? 

 それは、全く面白くない冗談じゃなく?」


「ああ、全て事実だ。

 確かに、冗談のような話に思えるだろう。

 だが、ゲーテの戦闘能力を見た君なら、少しは信憑性を感じるのでは?」


 その意見には私も頷く他ない。

 あんな真似は、どこの国の人間だって不可能に違いないから。


「だが、肝心なのはここからでね。

 私達は、ただの宇宙人ではなかったんだ。

 私達の祖先は生に執着するあまり、死を遅らせる術を編み出してしまった。

 そう言った術を物理法則に書き加えた事で、私達の星の住人はちょっと特別になったんだ。

 それが――転生術。

 私達にはね――〝精神的な寿命〟以外に死と言う概念は無いんだよ」


「……転生術? 

 死と言う概念が、無い?」


 思わずオウム返しすると、イスカダルさんは取り出したタバコを口に銜えて火をつける。


「ああ。

 この星にも、概念としては存在しているだろう? 

 宗教学的な所で言う、輪廻転生論という奴だ。

 我々の星の住人は、ソレを実現した。

 実にはた迷惑な話だが、我々の星の一般人は死んでもよその星の住人の肉体に転生するんだ。

 よその星の住人の肉体と精神をのっとり、その住人からその星の知識を得る。

 その知識を使ってその星を効率よく支配する方法を考え、ソレを実行する。

 そうやって銀河レベルで支配権を広げていくのが、私達――惑星ヒルビスの人間だ」


「……は、い?」


 何だ、そのデタラメな話は? 


 死と言う概念が、無い? 


 死んでもよその星の住人として、転生する? 


 転生した肉体の知識を使って、その星を支配するだって? 


 それではただの、有害な侵略者じゃないか――。


「そうだよ。

 言っただろう。

 私達は実に、はた迷惑な存在だと。

 お蔭でこの様だ。

 私達は十回ほどゲーテを殺しているが、ゲーテ達もクリスタ殿下を十回ほど殺している。

 そんな不毛な争いを――我々は既に五百年も続けているんだ」


「………」


 いい加減、頭が混乱してきた。


 余りにも突拍子がなくて、理解が追いつかない。


 それでも私は、真っ先に感じた疑問を口にする。


「……いえ、ちょっと待って。

 あなたは今、一般人はよその星の住人に転生するって言ったわよね? 

 でも、それってどうやって証明するの? 

 別の星に行ったなら、本当にその人がその星に転生したかは立証できないじゃない。

 実はただ死んでいる可能性だって、あるんじゃないの?」


 そこまで言ってから、私はその事に気付く。


 ……そうだ。


 証明なら、なされている。


 何故って、確かに東国明比佐の様子は変わってしまったから。


 彼の変化が転生による物なら、確かにヒルビス人は他の星に転生する事が出来る――?


「そうだな。

 実の所、我々も本当に一般人が他の星に転生しているかは分からなかった。

 君が言う通り、我々にはソレを確認する術がなかったから。

 だが、転生術が実在しているのは事実だ。

 我々は、確かに生と死を繰り返している。

 何故なら皇族とその側近達は死んでもヒルビスに留まり――母星で転生する事になるから」


「皇族と側近は……ヒルビスに留まる?」


「そう。

 選ばれた皇族と、その側近達は死んでもヒルビスから離れない。

 死んでもヒルビスの何処かで別の人間として転生する。

 私のこの体も、十二体目の体だ。

 私達は一般人とは違い私達として転生する。

 生まれてから物心がついた頃には、私は私だと自覚する。

 そう言った意味では、私達の転生は一般人のソレと比べれば被害が少ない」


「………」


 いや、待て。


 その話は、おかしい。


 何もかも、間違っている。


 皇族と側近はヒルビスから離れないなら、なぜ――ゲーテ・ダンティスはこの星に居る? 


 皇太子と呼ばれていた彼は、なぜ明比佐の意識に憑依しているのか? 


 大体、物心ついた頃には転生体の意識があるなら、明比佐の意識は初めから無かった筈では?


「そうだな。

 それは実に君の言う通りだ。

 私の今の説明と、この状況は完全に矛盾している。

 打ち明けてしまえば、私もこうなった原因は分からなくてね。

 だから、私なりにその理由を想像してみた。

 恐らくだが――惑星ヒルビスは既に消滅している。

 原因は分からないがヒルビスが消滅した事で、転生のルールが変わったのだろう。

 皇族や側近も一般人と同じルールが適応され、よその星に魂が移動して、寄生型の転生術が発動した。

 この星の住人の魂に私達の魂が寄生して、然るべき時が来るまで私達はなりを潜める。

 寄生の対象である人物が一般常識を得て成長するまで、私達の意識は表面化しない。

 寄生対象が必要な知識と体力を得た頃、私達の意識は寄生対象の意識と融合する。

 寄生対象の意識を踏み台にして、彼等の全てを支配するのが今の私達の転生のあり方だ。

 少なくとも私はそうだし、ゲーテやマルグも同じだろう。

 尤も私とゲーテの目覚め方は違っていたが。

 きっとマルグも同様で、私達は勝手にこの体を使って蘇生した。

 だが、ゲーテは違う。

 彼はマルグが接触した事で、覚醒を果たした。

 実はこれも私達の能力の一つでね。

 転生体を見つけ出せれば、後は接触するだけでその転生者の意識を目覚めさせる事が出来る。

 マルグが接触した――ゲーテの様に」


「――――」


 つまり、イスカダルさんも私の意識を覚醒させるつもりだったという事か? 


 彼はその為に私を見つけ出し、私の肩に触れてクリスタ・コーファインとやらの覚醒を図った?


「……でも、私は明比佐と違い何の変化も無かった。

 これって私がクリスタとやらじゃない、証明になるんじゃないの?」


 と、イスカダルさんは、携帯用の灰皿を取り出してタバコの火をもみ消す。


「いや、残念ながら私が知覚した以上、君は間違いなくクリスタ殿下だ。

 恐らく転生の仕方が継続型から寄生型に変わった為、何らかの不具合が起きたのだろう。

 それが原因で君は今も、自分がクリスタだと自覚出来ずにいる」


「……じゃあ、私も何時か明比佐の様に、見知らぬ他人に精神を乗っ取られるって言うの? 

 私は……私でなくなる?」


 いや、それどころの話じゃない。


 私がクリスタになれば、私はゲーテと化した明比佐と戦う事になる。


 紫塚狩南は――東国明比佐と殺し合う事になるのだ。


 そんな事、認められる筈がない。


 そんな事、許せる筈がない。


 私は、そんなの、絶対に、厭だ。


「そうだな。

 君の感情は、実に正しい。

 君の困惑は、正に正当な物だ。

 だが、これは私達ヒルビス人にもどうにもならない事でね。

 我々がこの星に転生した以上、宿主はいずれ我々の意識に精神を乗っ取られる。

 止めたくても、それは我々でさえ止められない。

 唯一救いがあるとすれば、その意識の交換は一瞬で行われるという事だ。

 徐々に意識を浸食するのではなく、我々と宿主の意識は瞬く間に切り替わる。

 お蔭で宿主は何の恐怖も痛みも感じないわけだが、慰めがあるとすればそれ位か」


「………」


 なんだ、それは? 

 

 それって、一種の殺人じゃないか。


 命ではなく、人格と言うその人を表す最も重要なファクターを奪う、一種の殺人。


 それが、ヒルビス人がしている事。


 ヒルビス星が無くなった事で起きた、この上ない略奪行為。


 それを平然と行うなら――それこそ悪だ。


 そう思うとだんだん、腹が立ってきた。

 先ほどまでは、混乱するばかりだったが、今は怒りが込み上げている。


 幸いにも、私には、その怒りをぶつける相手がいる。

 私はイスカダルを見つめたまま、声を荒げた。


「――つまり、私はいつクリスタに意識を乗っ取られても、おかしくないって事? 

 次の瞬間には、クリスタになっているかもしれないって言うの――?」


「ああ。

 私やゲーテ達と違って、君にはイレギュラーが発生している様だが、何れはそうなるだろう。

 でなければ、君は自分の身一つ守れないという事になる」


「………」


 どうも彼の興味は、クリスタにのみ向けられているらしい。

 私という紫塚狩南には何の興味もなく、何の感情も見せない。


 そこには贖罪の意思も、何の後ろめたさも存在していない。

 いっそ、ひっぱたいてやろうかと思ったが、私はその前にある事を確認する。


「……そう、ね。

 あなたは肝心な事を言っていない。

 私が一番知りたい事は、別の事。

 そう。

 東国明比佐は――元に戻るの? 

 ゲーテを明比佐に戻す方法は――ある?」


 その答えによっては、私にも考えがある。

 そう言った決意のもと、私がイスカダルに目を向けると、彼はやはりハッキリと断言した。


「そうだな。

 その方法は――今のところない」


「………」


 だったら――私は鞄から包丁を取り出すしかない。


 それは、何時でも料理の実演ができる様に持っていた物だ。


 それが、こんな所で役に立つとは思わなかった。


 私はソレをイスカダルにではなく――当然の様に自分の首に向ける。


「――ほう? 

 成る程。

 やはり、そう来たか」


 イスカダルが、感嘆の声を上げる。

 彼は一目見ただけで、私が何をしようとしているのか、看破した様だ。


「ええ、そう。

 私の力じゃ、きっとあなたは殺せない。

 いえ、あなたを殺しても、明比佐の事は何の解決もしないでしょう。

 でも、この方法なら、どう? 

 私が自殺すれば、クリスタの意識はどうなるかしら? 

 ただでさえ不具合を起こしている彼女の意識は、私が自殺する事で本当に消滅するのでは? 

 そうなれば、少なくとも私は明比佐と殺し合う事は無い。

 私が彼を殺してしまう事も、なくなるわよね――?」


 これもまた、一種の暴挙だろう。


 父や母が見たら、泣き出すかもしれない。


 でも、この手で明比佐を殺すよりは、余程いい。

 少なくとも、それが私の結論だ。


 私は訳の分からない意思に従い、明比佐と傷つけあう事だけは、ごめんだった。


 なら、クリスタごとこの身を滅ぼすのも、選択肢の一つだろう。

 こんな事、本当にしたくないけど、今の私はそれさえもアリだと思った。


「ああ、実にその通りだ。

 君の立場で言うなら、その程度は精神的に追い詰められても不思議じゃない。

 私も嘗ては、この星の人間だったんだ。

 少しは、君の気持ちも分かるつもりだ」


「……そうかしら? 

 とても、そうは思えないけど」


 私が呼吸を乱しながら一歩退くと、イスカダルはフムと頷く。

 私がここまでしているのに彼は相変わらず冷静で、正直、よけい頭にきた。


 彼は……私が本気じゃないと思っている?


 なら、私はその思い違いを、正さなければならない――。


「いや、君が本気だと言う事は分かっている。

 それが私達のこの上ない損失である事も、理解しているつもりだ。

 だからこそ、私はこう提案せざるを得ない。

 確かに今の所、明比佐君を取り戻す方法はない。

 だが、これは奇跡に近しい確率だが、全く零という訳でもなくてね。

 転生者の中には――転生者の意識と元の人格を分ける事が出来る者も居るかもしれないんだ」


「……何ですって?」


 はじめ、意味が分からなくて、私は眉をひそめる。

 そんな私に、彼は説明を続けた。


「そう。

 私達は転生術の他に、各々違った特殊能力を一つ有している。

 簡単に言えば――超能力の様な物だ。

 これは転生する度に変わるので、或いは君が望む能力を所有する者も現れるかもしれない。

 つまり――転生者と宿主の人格を分ける事が出来る能力者が居る可能性があるという事だ。

 仮にソレが見つかれば、君の要望は全て叶えられる事になる。

 私が君に示せる希望があるとすれば、それ位だな」


「………」


「ただ、その為には君の協力が不可欠だ。

 我々は君の力を使って、コーファイン家に味方する者達を見つけ出さなければならない。

 それは我々の戦力を増強する事にも繋がるし、君の要望を叶える事ができる唯一の方法だ。

 いや、正確には〝叶える事が出来るかもしれない〟と言った方が正しいか。

 ――だが、今ここで君が死ねば、その可能性は零になる。

 君は明比佐君との輝かしい未来を、完全に失う事になるだろう。

 故に、この選択肢は実に重要だと言えるな。

 今ここで死んで、私達に一泡吹かせるか。

 それとも、奇跡じみた確立を頼りにして、明比佐君を元に戻す方法を模索するか。

 その何れかを選ぶ権利は、君にある。

 私はその全てを、君に委ねる事にするよ。

 さて――君は一体どうするかね?」


「………」


 ならば、私は迷うしかない。


 まず、彼は事実を言っているのか、私には分からない。

 それに加え、例え事実でも、その確率は低いときている。


 その確率の低い方法に縋って、私は明比佐を殺す準備を整えなければならないと言うのか? 


 イスカダルが仲間を集めるという事は、そういう事だ。

 それこそ、彼の思う壺ではないか。


 だからと言って、私は彼が言う事を完全に無視する事は出来ない。

 

 例え万が一でも、明比佐を元に戻す方法があるなら、私はそれに縋りたい。


 彼を戻して、何時もの日常に帰りたい。


 私が今一番に望んでいる事は、ソレなのだ。


「……そう、だ」


 私は、彼と、約束した。


「あの時、あの場所で、一緒にお店を開くって――約束した」


 その約束を、あの輝かしい瞬間を、私は、無くしたくない。


 あの全てを、嘘になんて、したくない。


 私の一番の望みは、失った全ての物を、取り戻す事だ――。


 その為なら、例え悪魔にでも、私は、魂を売る。


「……そう、ね。

 あなたは本当に悪魔みたいに、頭が回る。

 私がどう反応して、どう行動するか分かった上で、切り札を用意していたんだから」


 だからこそ、私は手にした包丁を下ろして、呼吸を整えるしかない。


 私は胸を張って、宣言した。


「いいわ、分かった。

 私は――あなたに協力する。

 私は私の為に――私の希望に沿った能力者を見つけ出す事にするわ」


 それは降伏宣言にも近しい物だったが、既に敗北は覚悟の上だ。


 私はただ、今の自分に出来る事をするしかない。


「――結構。

 君の理解を得られて、私としても安堵した思いだ。

 そこで、君に一つ訊ねたい」


「……何よ?」


 私が尖った声で訊ねると、イスカダル・コーファインは普通に告げた。


「君の名は? 

 クリスタと呼ばれるのは気分が悪いだろうから、今の君の名を訊いておきたいんだ」


「………」


 淡々とした声で、そんな事を言ってくる。


 ソレは人として何か矛盾を孕んだ行為に思えたが、私はソッポを向きながら返答する。


「――狩南。

 紫塚――狩南よ。

 好きな様に呼んで構わないわ」


「では、狩南と。

 では早速行動に移ろう、狩南。

 先程も言ったが、先ずは仲間を集める」


「………」


 正直、明比佐以外の男性に名前で呼ばれるのは抵抗があったが――私は仕方なく頷いた。

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