第14話「顔面蒼白」

顔面蒼白。

心も顔もクールになったツトムの表情に覇気はない。


そして追い打ちをかけるかのごとくジャッジマンはコールする。

「スキル「真理」の追加効果により体力回復!及び、全国大会関連のダメージ無効化!」


すごいと感じていたダメージも真理を知った事により、そのダメージは無かったことに…。


「すげぇ!みるみるうちに回復していく…!!よしこれなら勝てる…!!」


しかし、彼の心は折れていなかった。

「まだだ…!まだ終わってはいない!!私の思い出は全国大会だけじゃないんだ!!」


 ̄球技大会のサッカーで1点決めた


「900ポイント!」

「しまった!油断した…!!茶道部なのにサッカーで得点を決めた事に心が…!!」

「何やってんだタクト!!あと少しだ!頑張れ!!」


そうして訪れたタクトのターン。

ドローするも…。


「くそ…!状況は有利なはずなのにイマイチ手札がパッとしない…。このまま少ないダメージで押し切るか…?いや、またさっきみたいなダメージが出たら…。」


心許無い手札から出したカードそれは…。


 ̄年に一回おばあちゃんの家に家族皆で旅行


「は?いや、そんなカード今更出しても…!?」

驚くハルキ。

しかし、タクトも同様に何一つ自信は無い。


「…私の負けだ…。」

ジャッジマンのコールより先に勝敗は決した。

「…!?どういうことだ…?なぁタクトそのカード一体…?」


「い、いや特に何の変哲もないカードのはずだけど…?」

理解出来ない2人にツトムは言った。


「あなたのおばあちゃんち…待庵の近くなのか…。」

「待庵…?なんか聞いたことあるような無いような…?でもそれがどうしたんですか?」


「フッ…知らないならいい…。あなたにとってどうでもいい事が私にとっては、羨ましいことだった。それだけです…。」


「勝者、タクト!」


「…?」


首を傾げ、事態が収拾出来ないまま茶道室へと戻ってきたタクトとハルキ。

ツトムは部屋を後にした…。


「なぁタクト。待庵ってなんだ…?」

「いや俺もよく知らないんだよ。調べてみるか。」


スマホで検索すると、衝撃の事実。

「タクト、これって…!」

「あぁ…!そういう事だったのか…!」


待庵。

それは千利休の茶室。

茶道部である彼にとっての聖地だった。


「たまたまじゃねぇか。」

とタクトの背中をポンと叩くハルキであった。


続く

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