第13話「憎しみの炎」

校内中に広がる名声と権威。

その称号を自ら手放すその男の真意とは。


「な、何で自分から…?」

問いただすタクト。

「あなたのような1年には関係の無い事だ…!!」

その目には憎しみの炎が宿る。


「そうですか…と引き下がるわけにいかない…!俺もとっておきのカードで行きます!!」

タクトは自信の満ちた目つきでカードを出した。


 ̄給食のサバの味噌煮の骨取りを先生に褒められた!


「600ポイント!」


「600…まぁ最初にしてはこんなもんか…!!」

歯を食いしばるタクト。


「そんな攻撃じゃレクエルドどころか私すら倒す事は出来ませんよ…!!」

「タクト、気をつけろ!!」

叫ぶハルキを見向きもせずにツトムは天高くカードを掲げた。


 ̄全国茶道コンテスト、高校生の部「ベスト抹茶クルクル賞」受賞


「1000ポイント!!」

「くそっ!強すぎる…!!」

残り体力が半分以下になり、ピンチを迎えるタクト。


ツトムは余裕の表情で手札を扇子のように扇ぎ、笑みを浮かべる。

「これが全国大会出場の思い出です…。あなたのような威勢だけで勝てるほど甘くは無いのです。」


的を得た発言に言い返すことが出来ないタクト。

「悔しい…!!まだ負けたくない…!!」

踏ん張りながら手札をドローするタクト。


「これは…?」

見た事のないカードに困惑する。

しかし、頼みの綱はそれしか無かった。


「くそ!何が何だか分からないがこのカードに賭けるしかない…!!」


 ̄スキルカード「真理」


「スキルカードだと!?なぜお前が…!!」

先程までとは裏腹に焦りを見せるツトム。

「え…!そんな凄いカードなのか…?おい、ハルキ!これってどういう…」


「すげぇ…!お前がスキル持ちだなんて…!!」

タクトの言葉は耳に届かない。


「そ、そんな凄いのか…。って一体どんな効果が…!?」

響き渡るジャッジマンのコール。


「スキルカード「真理」発動!ツトムの真理、それは…!!」


「っ!まさか!?おいやめろ!!」

しかし、ジャッジマンは止まらない。


「全国の茶道部員数減少につき、いきなり全国大会からのスタート!」


「ツトム先輩…!」

驚きの事実に耳を疑うタクト。

「そ、それだけは言うな…。あぁ…。」

膝から崩れ落ちるツトム。


「全国大会がすごい感じに話を盛ったって事ですか…!?」


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る