第12話「拒否」

熱気冷めぬまま、続く第2試合、第3試合と、

校内の至る所で試合は行われる。

しかし、タクトとハルキの名前は未だ呼ばれず。


「続いて第2回戦第4試合。1年、目盛タクト。」

「よしっ!」

アナウンスに応えるように気合を入れるタクト。

「頑張れよ!タクト!こんなとこで負けんじゃねぇぞ!」

「あぁ…!相手次第だけどな!」


「対戦相手は…2年、ツトム。」

「ツトム先輩…?聞いたことがないな…?」


指定された場所に向かうタクト。

その会場は…茶道室。

「こ、こんなとこ初めて来たぞ?」

付き添うハルキも同様に初見。


畳が一面に敷き詰められるその部屋で2人を招く声。

「ようこそ、茶道室へ…。」

「もしかして、あなたが…?」


凛と正座するその姿勢。

所作の一つ一つから感じられる上品さ。

「私が茶道部部長2年…。ツトムと申します。」


「茶道部部長…!もしかしてあなたも…?」

「いえいえ…私はレクエルドなんて浮かれた物に興味はありません。」


心の中でホッとしたタクト。


「今少し安堵した様子でしたが…。見くびられては困りますね…。戦いの中で証明しましょうか…。私の実力を…!」


2人の視線が交わる時…3人だけの茶道室に声が響き渡る…。


「記憶の扉!開け!」


タクト、ツトム、そして観客のハルキ。

3人だけの異空間…。

薄暗い森の様な不気味なステージ。


「決して負けるために戦うのではない…。悪いですが、勝たせてもらいます…。」

「それは俺も一緒だ!絶対負けませんよ、先輩!」


ツトムのターン。

清らかに流れる川のようにカードをドローする。

「あなたでは経験した事の無い思い出で戦わせて貰いますよ…!」


「タクト!気をつけろ!」

「あぁ…!」


「行きます…!」


 ̄茶道部、全国大会ベスト4


「1600ポイント!!」

いきなり叩き出される高得点に地に膝をつかされるタクト。

「くそ…!やっぱり部長の名は伊達じゃない…!!」


「見くびられては困ると言ったでしょう…。なぜなら私は…レクエルドを自分から拒否した人間ですから…!」


「ま、まさか実力はあの人達と変わらないってことか…!!」


続く

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