第4話「蹂躙」

震える手を抑えるようにするタカシ。

その思い出は出したくないのだろうと感じたタクト。

「お、おいタカシ!そのカードは…!!」

「い、いいんだ!!1回戦で負けるくらいならこれぐらい…!!」

「で、でも…!!」


ハルキはタクトの手を握った。

「これ以上はよせ…!あいつの戦いだ…!」

タクトは唇をかみ締めた。


「うおおお!!!」

大きな掛け声と共に、切り札を繰り出した。


 ̄中一の時、帰宅中におしっこが我慢できなくて漏らした!!


「1900ポイント!!」


「ぐああっ!や、やるじゃねぇか!1年!」

強烈なダメージに押されるマサノブ。

攻撃したはずのタカシの顔は真っ青だった。


「大丈夫だ!タカシ!」

「まだ試合終わっちゃいねぇぞ!負けるな!」

優勢なはずが励まされるタカシ。

タクトは声は届いてるのだろうかと心配になる。


「いいぜ!1年坊主!それでこそメモリーファイトだ!俺もでかいの決めてやるぜ!」


 ̄小学校の時、給食の余り物ジャンケンで勝利した!


「1700ポイント!」

「ぐはっ!!」


「つ、強すぎる…!」

「で、でも給食だけでどうして1700ポイントも…!?」

実態不明の強力ダメージに困惑するタクトとハルキ。


「驚くのも無理ねぇな!なぜならその日はクリスマスだったからなぁ!」

「ま、まさか…!」

「そう!ケーキだ!!」


見るからに安そうないちごソースの乗ったショートケーキ。

しかし、小学生にとってご褒美でしかないそのケーキを自分のものにしたという。

今でも脳汁の出るその思い出の破壊力。


その後、戦意を失ったタカシは蹂躙され、1回戦敗退を喫した。


「じゃあな!1年坊主!帰っておとなしくするんだな!あ、おしっこ漏らさないようにな!ガッハッハ!!」


タクトとハルキは声をかけることは出来なかった。

「こ、これが2年との差だというのか…!」

「つ、強すぎる…。」

実力差に圧倒される二人。

戦いの幕は開けたばかり。


第1試合第2回戦。

ハルキ出陣。


続く

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