第3話「一触即発」

校長の開幕宣言は校内を戦いの渦へと巻き込んだ。


拳を上げ強さを証明しようとする者。

高らかに笑い、戦いを楽しむ者。

拳を胸に叩き、ドラミングをする者。


己の強さを証明する場所を与えられた猛者達。

集会が終わり教室へ戻る時からゴングは鳴っている。


「俺が最強のメモリストに決まってんだろ!?」

「テメェごときが何しゃしゃってんだよ!?」

「おいおい…ちいせぇ争いしてんじゃねぇよ。最強のメモリストはもうとっくに決まってんだよ!」


正に一触即発。

そこに1年が出る幕など無かった。

しかしルールは全校生徒によるトーナメントマッチ。

1回戦で負けようとする俺に争いの意思は無かった。


「おい、ハルキ。お前はどうすんだ?」

「もちろん一番を目指してやるぜ!」


まぁ、俺より昔からやってるみたいだしそりゃ戦いたくもなるよな。

と応援することにしたタクト。


そして、戦いの幕が開ける。

時は放課後。

教室、体育館裏、プールサイドなど様々な場所で集められた、1回戦第1試合の猛者達。


俺とハルキは視聴覚室で行われた同じクラスのタカシの応援にやってきた。

「頑張れよタカシ!」

「負けんじゃねぇぞ!」


「おう!絶対に勝ってみせるぜ!」


対する相手は2年野球部のマサノブ。

学校全体を巻き込むほどでは無いが学年ヒエラルキーは上位に存在する。

「いけぇマサ!」

「1年なんてひとひねりだぜ!」


「おうよ!」


学年で威圧されるタカシ。

戦いは始まる。


「記憶の扉!開け!」

2人の掛け声とともに異空間へ飛ばされる。

「おぉ、見ている側も飛ばされるのか…!」

「今回の特別ルールみたいだな!」


観客も同じ異空間へと飛ばされる。

「おい1年坊主!先攻は譲ってやるぜ!」

「さすがマサ!」

「やっさしいー!」


挑発をものともしない雰囲気でドローするタカシ。

「俺だって皆と戦ってきたんだ!絶対に負けない!」

タカシはドローする。


「よし!まずはこれだ!」


 ̄小学校の時、絵画コンクールで入賞した!


「400ポイント!」


「おいおい!400ポイントって何だそれ!痛くも痒くもねぇよ!」

「くそっ!俺が唯一取った賞なのにこの程度か…!」


「タカシ大丈夫かな…!」

「大丈夫だ!信じてやれよタクト!」

そう言いつつ内心心配するハルキ。

そんな中マサノブの攻撃。


「俺はこのカードだ!くらえ!」


 ̄クラスの肩パン大会一位!


「1400ポイント!」


「ぐああっ!!つ、強い…!!」

「クラスの肩パン一位の座は強すぎる…!」

驚愕で膝が震えるハルキ。


「教室でイキって始めた大会で強さを見せつけたことにより、男子に対する威嚇…!そして女子へ強さのアピールをした事による自信がポイントに繋がっているのか…!」

「てっきり解説役だな…ハルキ…。でもやっぱ2年は強いな…!思い出の質が違う…!」


「くそっ!こんな1回戦で負けられねぇ…!」

タカシは決死の覚悟でカードを高く振りかざした。


「そ、その思い出は…!!」


続く

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