詩『愛、それは綿菓子』

音雪香林

第1話 詩『愛、それは綿菓子』

わたしは愛されて育った

なのに

なんでこんなに寂しいんだろう


愛とは甘くはかなく溶けていく

またたく間に

まるで綿菓子わたがしみたいに


甘さが途切れる瞬間が恐ろしく

もっともっとと求めてしまう

愛も無限ではなく、やがて疲弊ひへいした相手は去っていく


わたしはなぜ一時たりとも愛が途切れるのを我慢できないのだろう

怖くなる


わたしはこの世に存在していい者なのか

必要とされているのか


ああ、そうか

わたしは「生きる意味」のバロメーターに「他者からの愛」を用いているのか


なんて愚か

価値は自分で見出し作るものだというのに


綿菓子は美味しい

いくらでも食べられる

だがそれだけをずっとなんて偏りすぎてバランスを崩してしまう


心も身体も

綿菓子中毒から抜け出さなければ

そのために探そう


わたしの中の「私」を

芯が通れば、綿菓子に頼らずとも立っていられるはずだから

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詩『愛、それは綿菓子』 音雪香林 @yukinokaori

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