第3話 3日間と俺の1つ目の症状
俺にはいくつか生きていく上で重大な欠点があったりする…そのうちの一つが一部感情の欠落だ。主に悲しさや辛さ、苦しみが消えている。そんな俺に恋愛感情があるのか、と言うがある。正確に言えば求められればそれに応じて返すというスタンスだ。故に、求められないと浮気に走っていたし、相手に明らかな好意を向けられないと告白しなかった。
LINE上
「あるよ。恋愛感情…好きって言われればそのまま相手を好きになれる」
「与えられた愛をそれと等価で返すことしかできないけど…」
俺はそんな俺に嫌気が差していたのもあったのだろう。この頃から信念と大層なものを掲げそれを意識して生きるようになった。武士みたいな時代錯誤の王様の誕生であった。
「じゃあ…好きになってって言われたらなるの?」
「まぁ…そうだな。」
その文面から長年クズをやっていた事による感からか、好意を感じだ俺は必殺技を出す事にした。それはクリスマス会う予定を立てて前日の夜に極限まで眠い時は何でも答えるし甘える、と言う所謂ガキによくあるオネムの状態を演技することだ。そしてちゃんと根回りとして眠くなりすぎると記憶が飛ぶというのも付け足しておいた。結果は丸だった。
「私、尊のこと好きだよ。」
そのLINEが来た瞬間に俺は一つの信念と決闘をした。それは信念の3番。結婚するつもりの人以外とは軽薄に付き合わない。だった。決闘は激し激闘の末に結婚するつもりになればいい。と、言う結論に辿り着いた。そしてクリスマス当日、カラオケに行ったり、イルミネーションを見たり、した帰りのことだ。俺は景色の綺麗なそこまで高くない山の秘密の夜景スポットに彼女連れてきていた。俺は自然が、唯一俺に無償の愛を無給で絶え間なくくれる自然が好きでここにはよく来ていた。
「ねぇ、葉山?なんか言いたいことありそうだったけどなんあるの?」
こういうときの俺は強い。勝ちが分かっているからだ。そして…自分で言いたくない言葉を言わせようと必死だからだ。だから…優しいふりを、演技を披露する。決死で自分から愛の言葉を言いたくないから…恥ずかしいとかじゃなく言うと自分の今までの否定になりかねないから怖かった。
「帰りながら話そ?」
「うん、いいよ?ただしあんまり長く待たせたり話長いと引っ叩くからな。」
「…」
帰り道の彼女は静かだった。口を開いたのは山から降りる時、二人とも手が冷たくなり手袋を共有して手を握っていた時だ。俺も彼女も身体的パーソナルスペースが近かったこともあり、難なくつないでいたが、今思えば案外純粋な彼女の言葉を詰まらせる原因になっていた。帰り道、背を向けられながら話しかけられた。
「さっきほんとは行きたかったんだよね。好きです。って…でも恥ずかしかったんだ。それで言えなくて…」
「そう言うのは本当に好きな奴に言ってやりな。喜ぶぞ。」
「私は尊が好きなの!」
「本気?」
「本気」
「好きだから何?恋人になれと?」
「…うん、できれば?無理かな?」
「…俺にはまだ責任を持てるだけの力も心もないから、最低限責任を持てるようになってからでもいいかな?」
「お前がそれまで好きだったらだけど」
「うん!ずっと好きだよ!」
どの口が言うか…3日で陥落して前科でダチをふって3日で男作ってて、恋愛相談の3日間の内容から経験人数は3~5人と来た。前者2つは理由になっていると思う。が最後のは男にしかわからないユニコーンの定理のようなものである。
「わかったよ。その時が来たら俺から言う。」
「尊から言うの?私から言いたいのに…」
「こう言うのは男から言わせてよ?ね?」
「うん!いいよ!わかった!」
女子はすぐにこう言うのに乗ってくれる。素が純粋な阿呆は特に…
俺は今回こそ真に揺るぎなく果てしない愛情を得て、この感情の欠落を埋められるだろうか…そう考えながら信念と向き合っていた。
これがクリスマスの出来事で俺たちが本当に付き合う2月前の話だった。
こんな恋仲で良いのだろうか。 PCぶっ壊れ太郎 @888885
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