ビートルズを聴きながら、、、

海翔

第1話

 やっと週末になり、久々に歌舞伎町に以前よく行った店に出かけてみることにした。

大学を出てから仕事に追われ歌舞伎町には行くことも無くなっていた。この店は建物の地下にあり、ビートルズの曲だけを流していた。

 あの時のように扉を開けると店の中では数人の客がウイスキーを飲みながらビートルズの曲を慕っていた。

ペニー・レインの曲が終わるタイミングで店のカウンターに座るとマスターが「珍しいねあれから来なくなったので実家に帰ったのかと噂していましたよ」

「仕事に追われてなかなか来れなかっただけですよ。何となく懐かしくなり来てみました」

「あの時のメンバーは来ていますか?」

「週末に尚弥さんの知っている人は来ていますよ」「そう言えば梨華さんもそろそろ来るのでは、尚弥さんが突然来なくなったんで気にしていましたよ」 

ビートルズの曲が始まった時に入口の扉が開いて梨華さんが入ってきた。

尚弥は「久しぶり、、、」梨華さんは突然言われビックリして「懐かしいですね~元気でしたか?」

「うん大学を出てしばらくロンドンの支店で仕事をして、3ヶ月前に日本に帰ってきました」

「そうだったんですか」

「大変だったんですね」

 尚弥が梨華と知り合ったのは大学3年の時でその時梨華は大学に入ったばかりだった。

お互い気の合うなかでビートルズの曲も好きだったことから共通のことが話し合えるようになった。

 そしてその年のクリスマスイブに二人は関係を持った。梨華にとっては初めての男性だった。

 それから1年お互いの家に泊まりによく出かけた。

だが、尚弥が大学を卒業してお互い疎遠になり、その後、尚弥はロンドンに、梨華は大学を卒業して商社に勤めた。

お互いが忘れかけていた時に今日再会をした。

 梨華は久々に尚弥に会えて目頭が熱くなった。

さっそく再会を祝ってビールで乾杯した。

そして、お互い会えなかった時間を埋めるように語り合った。

その間に懐かしいメンバーが一人一人とやって来た。みんな懐かしい仲間だった。

 特に稲田さんに会えたことは嬉しかった。

尚弥が現在の仕事を決める時に相談に乗ってもらいいいアドバイスをもらった。

稲田さんは「元気でやってますか?」そう言われ、

尚弥は「3ヶ月前に日本に帰ってきました。あの時は色々相談に乗ってもらいありがとうございました」尚弥はみんなに会えて来て良かったです。

そして、乾杯をして、ビートルズの曲を聴きながら時間を過ごした。

 12時を過ぎた頃に一人一人と店を後にしてまた会いましょうと言って別れた。

尚弥もソロソロ帰ろうと考えて、梨華に「今日はうちに泊まるか?」と聞いたら、二つ返事で「うん」と言ったので二人は会計を済ませて、タクシーで尚弥のマンションに向かった。

 マンションの鍵を開け居間に行くと壁にはビートルズのポスターが貼られていた。

そこで尚弥は梨華に抱きついて口づけをした。

あの日以来ふっと忘れていた時間が戻ってきたような気持ちになった。

梨華は「少し待ってね。汗流してきます」そう言って、浴室から消えた。

そして、着ているものを脱いで少し温めたシャワーを浴びて、今日の疲れをシャワーの湯で流した。後から尚弥も入って来て一緒にシャワーを浴びた。「何かあの時に戻ったような気がするよ。こうやって梨華を見るとあの時より色気が出て綺麗になったみたいだ」

梨華は「恥ずかしい、見ないで、、、」

「私、貴方にすごく会いたかったの。今日までの寂しかった時間を返してね」

そう言って梨華は尚弥に抱きついた。

二人は頭からシャワーを浴びて、口づけをしながら余韻を味わった。

 そして、バスタオルで身体を拭いて二人は寝室に移動した。

ベッドに横になるとふっと、あの時の梨華を思い出して抱き寄せた。

身体からは先ほどのボディーシャンプーの香りが鼻先に抜けた。唇に軽く触れて梨華を誘ってみた。梨華はそれを待っていたかのようにより強く口づけをした。

尚弥は乳房を軽く揉みほし、性欲を煽った。

 久々に触れた肌はしっとりと肌に密着して梨華の肌の上を滑るように進んでいった。

尚弥の指先が背中の中心に触れていくと梨華は切ない声を出して興奮の余韻に浸った。

尚弥がより激しく刺激を加えると梨華はそれなりに反応した。そして、一つになった時により大きな声をあげてグッタリと倒れた。

その後を追うように尚弥もすべてを出し切って崩れた。

 あれからどのくらい時間が過ぎたのか、、、

カーテンを少し開けると夜の静寂に車のライトが灯りそこだけ明るくなっていた。

梨華は疲れ果てたのか一人静かに寝息を付いて寝ていた。

 尚弥はベッドから離れて一人浴室に行き汗を流した。そして、ビールの缶を1本開けそれを飲み込んで眠りについた。


 翌朝目が覚めると梨華は朝食の準備をしていた。あの時の朝のように温かいコーヒーとサンドイッチが机の上に並べられた。

梨華はまずは目を覚まして朝食にしましょう。

そう言って、尚弥に浴室に行くように勧めた。

 尚弥は着ているものを脱いで頭からシャワーを浴びて目を覚ました。そこに梨華も入って来て一緒にシャワーを浴びた。

 そして、浴室から出てスウェットに着替えて梨華の作った朝食を食べることにした。

尚弥にとっては香り高いコーヒーとサンドイッチは朝一番の朝食だ。梨華は尚弥が好きなマンデリンの香りを感じながらサンドイッチを食べた。

尚弥は「この最近こんな時間を過ごしたのは無かったなー」

「梨華もう一度前のように付き合わないか?」

「うん、、、」

なぜか少しそっけなかったが梨華は「しばらくはお互い距離を開けて付き合いたいのそれからでもいいでしょ」

「私、尚弥の事嫌いではないけどいきなり前のようには答えが出せないの」

尚弥は「分かったゆっくりお互いの時間を作って距離を縮めてから前のように付き合いましょう」

梨華は「私の我儘を聞いてくれてありがとう」

尚弥は「今までさみしい思いさせたんだからこのくらいは我慢しますよ」朝食を終えて梨華はひとまず自宅に帰った。

 尚弥はYouTubeからビートルズの曲を聞きながら時間を過ごした。

2曲目に思い出のペニー・レインが流れた。

梨華と初めて出会った時にかかっていた曲でふっとあの初々しかった梨華を思い出し、そして、5曲目にヘイ・ジュードが流れ、この曲を聞いて店を後にしたのを思い出した。

あの時は尚弥の家に行き梨華と二人でよくじゃれ合っていた。

今では懐かしい思い出になってしまった。


 夕方になり、梨華から「夕食一緒に食べませんか?」と電話があり、尚弥は梨華の家に向かった。

 梨華の家は尚弥の家から10分ぐらい歩いたところにあった。中に入ると学生時代の時とは違い部屋の中もきちんと整理され、社会人になったのを感じた。  

 尚弥はふっと、梨華が自分とは違う世界にいるように感じた。

あの時は前のように付き合いましょうと言った時に梨華が直ぐには返事をしなかった事が何となく分かってきた。

 梨華と居間に移動するとそこには作りたての料理がいくつも並べられていた。梨華は「たくさん食べてくださいね」と尚弥に言った。

尚弥はさっそく端から箸で摘んで食べ始めた。

「それにしてもこんなに料理どこで覚えたんですか?」

「それは内緒です。尚弥さんが満足していただいたらいいので、、、」

尚弥は「どれを食べても満足ですよ」そう言ってお腹いっぱいに食べた。

その後はお酒を飲みながら、時間を過ごした。

 11時を過ぎた頃に梨華は「今日はここに泊まって下さい。お風呂の用意しておきますね」そう言ってバスタオルとスウェットを用意した。

 尚弥はそれを持って浴室に、梨華は食事の後片付けを始めた。一段落して梨華も浴室に入り、シャワーを浴びて、バスタオルで身体を拭き尚弥のいる寝室に移動した。

 二人は裸になり、愛を確かめるように強く抱き合った。

唇を重ね、梨華の乳房が尚弥の胸に触れ、梨華は切ない声を出し、尚弥はより激しく、刺激を加え梨華を求めた。

二人の興奮が最高に達した時に梨華は大きな声と共にベッドにグッタリと倒れた。

その後を追うように尚弥も、、、そして、静かな時間が過ぎた。

 ふっと、横にいる梨華を見たら静かに寝息を立てていた。

 尚弥はこのまま梨華と付き合うのはどこか違うような気持ちになり、置き手紙を置いて自分の家に帰った。


 朝になり、隣に居るはずの尚弥さんが居ないので呼んでみたが声が聞こえなかったので、居間に行ったら一通の手紙が置いてあった。

手紙を見ると、

梨華さま

 昨日は美味しい料理をありがとうございました。

昨日この部屋に来てふっと、以前の梨華とは違うように感じました。

数年という期間がお互いの間に溝を作ってしまったようです。

 そして、このまま付き合うのがいいか考えましたがどこか自分ではないほうがいいように感じ身を引くことに決めました。

 梨華には大変迷惑をかけてしまいごめんなさい。これからは私よりもいい人を見つけて幸福になって下さい。                      尚弥


 それを見て、梨華は一人涙を流し、これで良かったのかもと自分に言い聞かせた。

さみしい別れにはなってしまったが、明日を見つけて生きることにした。

 尚弥さんとのことは私の青春の思い出になりました。

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