猫様、夜分にすみません! 2
恋々
第一話 初デートの日
告白から数週間。
ついに、猫宮優と星野澄玲の初めてのデートの日がやってきた。
朝から澄玲の心臓は高鳴り、制服のリボンを何度も直す。
(今日……優くんと二人で過ごすなんて……)
昼の優と夜の優、それぞれの顔が頭の中で交錯し、胸が温かくなる。
「おはよう、澄玲。」
教室に入った優は、いつもより少し照れたような微笑を浮かべていた。
その笑顔に、澄玲は思わず顔を赤らめる。
「おはよう、優くん!」
小さな声で返すと、優は小さく頷き、昼でも夜でも変わらない優しさをちらりと見せた。
放課後、二人は駅前で待ち合わせをした。
優はリュックを背負い、少し緊張した様子で澄玲を見つめる。
「……どこに行きたい?」
優の声は昼の冷たさを残さず、澄玲の耳に柔らかく響いた。
「えっと……カフェに行きたいな。あと、映画も!」
澄玲が少しはしゃぐと、優はくすりと笑った。
「わかった。じゃあ、まずカフェに行こう。」
二人は手をつなぎ、歩き始めた。
握った手の温もりが、昼も夜も変わらない安心感を澄玲に与える。
街のカフェに到着すると、優は少し照れながら席に座った。
「……澄玲、何を頼む?」
メニューを開きながら、目が合うと、澄玲は頬を少し赤くする。
「うーん……ケーキセットにする!」
澄玲の笑顔に、優の目がほんの少しだけ柔らかくなる。
昼の優も夜の優も、今はただ、目の前の澄玲だけを意識している。
ケーキを半分ずつ分け合いながら、二人は自然に笑い合う。
甘いクリームの味と、優の隣にいる心地よさで、澄玲の頬はずっと温かい。
「……昼も夜も、俺と一緒にいて楽しい?」
優の声は少し照れくさそうで、でも真剣だ。
「もちろん! すごく楽しい!」
澄玲が笑顔で答えると、優は少し目を細め、安心したように肩の力を抜いた。
カフェを出て、映画館へ向かう途中、二人は並んで歩く。
手は自然につないだまま。
夕方の風が二人の髪を軽く揺らし、心が少しずつ近づくのを感じる。
映画館では、二人並んで座り、スクリーンの光に目を輝かせる。
澄玲は優の肩に少し寄りかかり、優も無言でそっと手を握り返す。
昼の冷たさはなく、ただ静かな安心と、夜の時のような甘い距離感があった。
映画が終わると、遊園地へ移動する。
観覧車に乗ると、二人は頂上でゆっくり景色を見下ろす。
「……こうして二人で見る景色、すごく綺麗だね。」
澄玲が小さく囁く。
「……ああ。昼も夜も、君と一緒だと、楽しいし、落ち着く。」
優の声に、澄玲は胸がきゅんとする。
観覧車が静かに回る中、二人は手をぎゅっと握り合った。
昼も夜も関係なく、互いの存在が特別で、守りたいと思う気持ちが伝わる。
「……優くん、これからもずっと一緒にいようね。」
澄玲の目が真剣で、優は少し照れたように笑った。
「……ああ、ずっと一緒に。昼も夜も、君のそばにいる。」
観覧車がゆっくりと降りていく中、二人は自然に手をつなぎ、
昼も夜も変わらない温かさと、甘い距離を感じながら歩いた。
――こうして、猫宮優と星野澄玲の初デートは、
昼も夜も、二人にとって特別な一日となったのだった。
猫様、夜分にすみません! 2 恋々 @rennrenn_Official
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