第7話 新スキルと初めての仲間

「…………え?」

(ピロリン♪)

《新規スキル《煙霧変調(フォグ・チューニング) Lv.1》を獲得しました》

《新規スキル《葉身変質(リーフ・トランスミュート) Lv.1》を獲得しました》

完璧なマイホームで一服していた俺は、目の前に浮かんだ謎のスキル名に、再び間の抜けた声を上げた。

(なんだよそれ…さっぱり意味がわからん。『煙霧変調』?『葉身変質』? もっとこう、『火炎球(ファイアーボール)』とかじゃないのかよ)

俺は慌てて、ステータス画面を開いた。

名前:ヤマグチ・タケル

レベル:18

(中略)

スキル:『火炎制御 Lv.3』『超速再生 Lv.3』

    《煙霧変調(フォグ・チューニング) Lv.1》

    《葉身変質(リーフ・トランスミュート) Lv.1》

スキルポイント(SP):180(未使用)

「(うーん、やっぱり説明がないと分からんな…)」

(『煙霧変調』は、さっきのバ〇サンが関係してるのか? 『葉身変質』ってのは、あの肉に振りかけた葉っぱ(浄化)のことか?)

どうやって詳細を知るか悩んでいると、ステータス画面の**《スキルポイント(SP):180(未使用)》**の文字が、やけに目に入った。

「(そうだ、これ忘れてた。Lv.18になった時にもらった180ポイント。これでスキルが取れるんだったよな?)」

俺は「スキル取得」の項目を念じて開いた。

膨大なリスト(剣術、体術、魔法各種…)が並んでいる。

(うわ、多すぎだろ…こんなの見ても分からん。…ん? 待てよ、こういう時のお約束は…)

俺はスキルリストを検索(念じる)する。「調べる」「見る」…そして「鑑定」を見つけた。

《鑑定 Lv.1》:消費SP 10

「(あった! やっぱりこれだろ! しかも消費10て、安すぎないか? 俺180も持ってんのに)」

迷わず《鑑定》を取得する。

《SPを10消費し、《鑑定 Lv.1》を獲得しました。残りSP:170》

「(よし、早速…)」

俺は取得したばかりの《鑑定》を、自分自身のステータス(新スキル)に向けて発動した。

《煙霧変調(フォグ・チューニング) Lv.1》

アッシュモーク(タバコ)から発せられる「煙」に触れた対象の「状態(コンディション)」を任意に調整(変調)する。

(例:煙で燻して「浄化」する、煙で燻して「風味」を付与する、煙を吹きかけて「硬化」させる)

「(うわっ、とんでもねえスキルだ!)」

(さっきのバ〇サンは『浄化』か! 肉の燻製(スモーク)なら『風味付与』、ライターの『送風モード』と組み合わせれば最強じゃねえか!)

続けて、もう一つのスキルも鑑定する。

《葉身変質(リーフ・トランスミュート) Lv.1》

アッシュモーク(タバコ)の「葉」そのものの「性質」を任意に変化(変質)させる。

(例:葉を「調味料(浄化塩)」に変える、葉を「薬草(回復薬)」に変える、葉を「火薬」に変える)

「(こっちもヤバい! 肉に振りかけた『浄化(スパイス)』はこれか! 葉っぱ自体が調味料や薬になるなら、サバイバル余裕すぎるだろ!)」

(タバコ(アッシュモーク)Lv.3になっただけで、一気に万能チートアイテムに進化したな…)

俺は興奮を抑えつつ、ついでに自分の「称号」も鑑定してみた。

《浄化の使徒》

『濁れるモノを清める者』の証。魔物や動物から敵意を向けられにくくなる(隠密効果)。

「(だからクモたち、浄化された後おとなしかったのか!?)」

俺は、洞窟の隅で静かにしている「母蜘蛛(銀色)」に目をやった。

(害はない。だが…言葉が通じれば、もっと便利だよな。あのデカい図体で、何か手伝わせられるかもしれないし…)

俺は、残りのSP(170)で、再びスキルリストを検索した。

「会話」「意思疎通」…

《魔物調伏(テイミング) Lv.1》:消費SP 50

魔物と意思疎通を試み、契約(テイム)する。

「(これだ! 消費50はデカいが、あのクモの群れが仲間になるなら安い!)」

俺はSPを50消費し、《テイミング》を取得した。(残りSP:120)

「……さて」

俺は恐る恐る、洞窟の隅にいる「母蜘蛛(銀色)」に近づき、《テイミング》を発動した。

(聞こえるか? 俺はヤマグチ・タケル。お前たちの家(ここ)を奪うつもりはない。できれば、一緒に暮らしたいんだが…)

母蜘蛛が、わずかに頭を動かす。

そして、タケルの頭の中に、直接、声(のようなもの)が響いた。

『…ア…リ…ガ…ト…ウ…ゴザ…イ…マス…我ラノ…主…ヨ…』

「(えええええ!? 喋った!? しかも『主』!?)」

(第7話 完)

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