地球上で人間は自分たちを高等生物だと思っていないだろうか。
動物観察に密着した番組を作り、動物を展示する動物園を作り、日々コンテンツとして、動物の挙動を見て楽しんでいる。
本当に、人間は他の動物を観察して楽しめるほど、高度な動物だろうか。
ある日、高度な知性を持った"私"は、地球上の"人間"の肉体に閉じ込められる。
下等生物である"人間"の醜い言動。理解し難い思考回路。吐き気がするような不気味な行動。
しかし、"私"の体は"人間"に馴染んでいく。下等生物である"人間"になっていく。止めることはできない。
"私"の絶望が文章から滲み出てくる。
作者様は、"人間"として"普通"に行っている言動を見つめ直し、私たちに"人間"の言動を再提示しています。再提示されて改めて考えてみると、醜く見える"人間"の言動の数々。
再提示される言動は、誰もが普段から行なっているものです。自分は該当しないと思った方々も、行っているに違いない言動です。
不気味な屋敷や怪奇現象が現れる訳でもなく、"人間"の恐ろしさをあぶり出していくホラー小説です。一度読み始めると、中毒症状を起こし、きっと最後まで読み続けたくなるでしょう。
動物である"人間"の挙動に鋭くメスを入れた作品でした。