日曜日夜の使者

うどんこんど

日曜日夜の使者

 ベッドに横になったまま首を動かして薄目で時計を確認する。


 -16:39-


 誰もいない空間の中で舌打ちをした。それはそれは大きな舌打ちだ。


 俺は二重の意味で嫌になった。もうすぐ日曜日が終わってしまう、という事実と今日の自分の行動という現実の二つを鑑みて嫌になったのだ。


 二度寝、三度寝を繰り返して11時過ぎに起き出して今日は部屋の掃除をしよう!と意気込んだもののBGM代わりに流していた動画に夢中になりそのまま動画巡りをしてまたウトウトして…を無限に繰り返して今に至るわけだ。


 最悪だ。そんな風に自暴自棄に陥っていると枕元に置いているスマホが着信を告げる。


 手繰りよせて名前を確認して電話に出る。


「よう」


 快活な声で言うのは高校時代からの友人の中西だ。


「おう」


 対照的に寝起きでガラガラ声の俺は応える。


「突然なんだけど今日この後ヒマ?」


 こちらの事情なんかお構いなしに中西は言う。


「なんで?」


 それは至極真っ当な疑問である。


「飲みにいこうぜ!」


 !?


 である


「今から?」

「今から!」


 会話のラリーを止めて俺は考える。俺は知っている。コイツは月曜休みで俺は明日朝早くからお仕事なのだということを。


 -そして、永遠とも思えた数瞬の後、俺は答える-


「何時から?」

「18時は?」


 頭の中で予定を立てていく。


「OK、18時な。場所は?」

「○○駅で」


「了解」

「じゃあ後ほど」

「りょーかい」


 かかってきたときと同じくらい唐突に電話は切れた。

 

 そのままの姿勢で2分間過ごしたあと、ベッドの上で上半身を起こした。


 これからすべきことを決めて、それらに優先順位をつけていく。


 まずは…シャワーでもするか。


 俺は立ち上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日曜日夜の使者 うどんこんど @udonkond

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説