サオチンニャン(掃晴娘)

ヤッキムン

うち、サオチンニャン

 うち、サオチンニャン。漢字で書くと掃晴娘。

 ホウキを持ったネコの女の子。

 うちは、明日を晴れにするチカラを持つアイドルグループのメンバー。

 生まれは上海。



 日本ツアーに行くことになって。

 江戸時代の日本で、てるてる法師さんに会った。

 てるてる法師さんも、明日を晴れにするチカラを持ってるみたい。うちといっしょ。



 てるてる法師さん、もともとは、のっぺらぼう。

 だから、最初に会った時も、のっぺらぼう。

 

 てるてる法師さん、翌日を晴れにした。そしたら、可愛いお顔を描いてもらえてた。

 お口も描いてもらえて

 「こんにちは!はじめまして!」

って、うちに、あいさつしてくれた。

 

☆☆☆☆☆☆


 何日か過ぎたある日のこと。

 

 雨に濡れて、にじんだお顔のてるてる法師さんに会った。

 「うわっ、そんなわけないっ?!なんで?」

って、うちは思った。

 てるてる法師さんのお顔は、翌日を晴れにして、太陽の下で笑ってるはずだから。


 うちは、その、にじんだお顔のてるてる法師さんに

 「どうしたんですか?なぜ、雨で、にじんだお顔なの?」

って聞いてみた。


 「あっ、サオチンニャンさんですね?!はじめまして!」

って、うちに、あいさつをしてくれた。


 「いや、実はですねぇ〜」

って言う、そのてるてる法師さんの証言によると


 「前の晩に、翌日の晴れを願って、ちっちゃな可愛い女の子、わたしのこと作ってくれたんですけども」

って、にじんだお口で、うちに一生懸命、話してくれる。

 「きれいな白い布地で、その可愛い女の子、わたしのこと、きれいに可愛く作ってくれたまでは良かったんですけども」


 「うんうんっ」

うちは、てるてる法師さんの証言を聞いてる。


 「その女の子、うちのお顔まで描いちゃったの...」


「あ〜、やっぱり...それで、お顔、翌日の雨で濡れて、にじんじゃってるのね」


 「そうなんですよ...わたしは、まあ良いんですけど、その女の子のために、晴れに出来なくて...」


「よしっ!うち、過去に行って、あなたのお顔、拭いてきてあげますね!」



 うちは、てるてる法師さんの作られた日にさかのぼってみた。

 

 「あっ、あの女の子かな?」

ちっちゃな可愛い女の子、まさに今、てるてる法師さんを作ってるとこだった。

 「あ〜した天気にしておくれ〜」

って可愛い天使のような声で歌いながら。


 「あ、お顔を描こうとしてる!?」

うちは、その女の子のところに行って


 「てるてる法師さんのお顔は今は描かないで、明日、晴れてから描いてあげてねっ」

って教えてあげた。


 「あ、そうなの?!ありがとう」

って言って、お顔を描かずに、きれいで可愛い真っ白なてるてる法師さんを、軒下に掛けていた。


☆☆☆☆☆☆


 その翌日。

 明るい太陽、東のお空から登ってきた。


 女の子は、てるてる法師さんに、お顔を描いてあげてる。

 めっちゃ可愛い笑ったお顔。


 女の子はお顔を描き終わると

 「ありがとう」

って、てるてる法師さんにお礼を言ってる。


 てるてる法師さんも

 「ありがとう」

って、うちに言ってくれた。可愛い笑顔で。


☆☆☆☆☆☆

 (サオチンニャンはネコっていうのはフィクションです。ニャンからネコにしただけです。あと過去に行ける能力もフィクションです)

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