怪異の物語なんだけど、どこかあたたかくて、そして救いがある、そんな「ほっこり」とする物語でした。
主人公はメリーさん。有名な怪談のごとく「わたし、メリーさん」とどんどん迫っていきます。
対して電話を受けるのは「怪異ハンター」と呼ばれる存在。
狩るものと狩られるもの。それが出会った後には「どちらかが消える」運命しかないのか? そんな緊張感を帯びつつ、二人の会話は進みます。
どこか哀愁や切実さを含んだメリーさんの心の声。まるで必死に救いを求めるかのごとく怪異ハンターである「彼」のもとに向かっていくことに。
その先で迎えた結末が、「メリーさん」ならではのイメージが感じられるのが何よりも良かったです。
メリーさんの持つ名前。そして怪異ハンターの本名。二人が合わさることで……。
善悪とかに捉われないタイプのエンディング。救いとか、ちょっと微笑ましさとかがあって、爽やかな読後感を与えてくれました。