第3話 責任…取ってくださいね?

「私だけでは荷が重いです!手伝ってください」


主人公がそう叫ぶとアホ顔で戦闘中にぼけていた馬鹿(護衛らしき人物)がもちろんだと頷いてくれた。


こんな護衛を雇うとかこの馬車の人々、どれだけ見る目がないんだ?それともランクとかいうあやふやなもので適当に護衛を渡されるのか?


ランク制度というものを性格面や細かな点を無視するクソ制度だと主人公は思っている。

例えば盗賊などから護る護衛任務などに向いていなくても同じランクなら受けられてしまうのだ。


そして主人公と護衛は連携して次々と盗賊共を斬り殺していく。まあ護衛が無能だったのでほとんどが主人公が殺しているが。


その護衛さんに背中を任せていると背中をバッサリと斬られた。慌てて振り返ると無能は他の盗賊の相手をしていた。


斬られはしたが主人公は魔法生物、肉は見えるが出血は一切していない。殺した盗賊から獲たDPによってすぐに傷を塞ぐ。


どこかの偉いやつは言ってたっけな?警戒すべきは有能な敵より無能な味方だと。

これからは気をつけて行こうと護衛改めて、背中を斬ったゴミの眼球にナイフをぶっ刺した。


そして殆どの盗賊を斬り殺した後に援軍がやってきた。馬に乗った人間であったのだが、騎士というより筋肉といった感じだ。


そいつはどうやら盗賊の頭らしい。そしてこの現状を見て驚いたのか馬から飛び降りこちらに敵意を向けてきた。


皆が強そうな盗賊に意識をしていた。

そんな中、主人公は護衛達の後ろに近ずいて言って…


ザクッ ザシュッ グサッ


「「えっ?…」」


主人公は首を刺した。1人は気づいて避けたので胸に一撃を入れた。

ちなみに短剣は殺した盗賊から奪ったものだ。


最後の表情はなんでといった感じで倒れていったが主人公からしたらなんで仲間でも信頼関係もない奴を警戒していないのか不思議でならない。


「お、おま。どういうことだ!?こっちに付くのか!?」


頭領さんは裏切ったと考えているようで主人公は呆れた。それなら盗賊共を皆殺しにはしないだろうに少し考えれば分からないのか?


それともほとんどの盗賊を殺したこちらの戦力に恐れているのか?と考えたが他者の心情など考えて仕方が無いため適当に言葉を返す。


「ぬ?あー、そうだな。私は…敵だ」


一瞬にして頭領に屈み込みながら突撃し、距離を詰めた。

頭領が振るうロングソードを躱しながら動きを観察する。どうすればいいか、次の攻撃の予測。


そして盗賊の親玉に接近、避けられない場合はナイフで受け流し。

途中で奪った短剣が根元から折れたけど気にしない。折れた刃を投げつける。


そして脚を切り裂き、よろけた所で臓物を容赦なく斬り裂くかの如く、腹をかっ捌いた。

そしてまだ生命活動は停止をしていなかった。人間って意外と頑丈なんだなと思いながら首にナイフを突き刺した。


暫くしてから他の盗賊共よりも多くの擬似DPが入ってきた。ふむ、この強さで3倍程度なのか。

それなら数で補った方がいいかもなと思いながら馬車へと近づく。


馬車に乗っていたもの達は1部は固まり動けなくなっていたが2人、御者と護衛の1人が逃げようとしたので護衛には先程奪ったロングソードを投擲、精度は改善点ありだが何とか命中、そして走り寄り首を斬り裂く。


御者はその光景を見るだけで腰を抜かして動けなくなっていたので簡単に殺せる。一般人と盗賊のDPはほとんど同じだな。


後ろを振り返るとまだ居た。この間に逃げようともしないなんて馬鹿だな。

まあ逃げたとして、簡単に逃がしはしないけどな。


そして全てを殺し尽くし死体はDPに変える。レートは殺した時の10分の1程度だな。それでもそこらの薬草類をDPにするよりよっぽどいい。


なんなんだろう、この感覚は。

収集欲とはまた違った喜びを感じる。もっと集めたい。もっと殺したい。

だがこの気持ちに従って動いても死ぬ未来しか見えないので我慢だ。


そして暫くしてから歩き出そうとすると痛みに襲われた。脇腹の肉が抉じられていた。あー、親玉との戦いで当たったかも?

前とは違う有り余るDPによって瞬時に再生させる。


そうこうしていると擬似ダンジョンエリアの効果時間が切れた。どのくらいだっただろうか?


まあそんなことはいいだろう。そしてここからが本番、物色タイム!

早速とばかりに馬車に積まれていた袋類(中身はぶち撒けた)に価値がありそうなものを詰め込む。

全てをDPに変換するのは少し勿体ないからな。


物資としては予備の剣や盾などがあった。それから服も。見ると血と戦闘による傷でボロボロだ。血は全て返り血だがそう考えると余計に汚く感じられる。


そうして暫く物色した後、これ以上持てないとばかりに膨らんだ3つの袋を抱える。これ収納とかのスキルがあった方が良いのでは?と思ったのだが高い。しかも効果が微妙。ここでは諦めよう。


ちなみにDPカタログはほとんど全てが初期化され、代わりに見た事のあるものが帰るようになっている。だがスキルは別、初期化されていないし、ここに載っていないスキルも見れば買えるようになる!


残りの運ばないものは全てDPに変換する。とは言っても死体などでもない限りそんなにDPにはなってくれない。3DPの追加という非情な宣告が告げられた。


道を歩いている途中に盗賊にアジトに案内をさせた方が良かったかと反省。だが今も収穫は大きいし、これ以上は質量的に持てなそうなので次回以降は気をつけることにしよう。


そんな感じでてくてくと道を歩いていると街が見えてきた。

主人公は希望が見えたのか先程歩いていたペースよりも早く街に向かうのだった。




街に着いた。そうすると5メートル程の石垣と大きな扉。そしてそこに佇む門兵がいた。


「止まれ、身分を提示せよ」


「ぬ?持っていない場合はどうすればいい?」


「その場合は銀貨1枚だ。身分がわかるものを提示すれば大銅貨2枚だ。」


主人公は思案したが普通に身分を示せる物を持っていない為、銀色の小さな方の硬貨を差し出す。

銀貨1枚を渡した後も何か欲しそうな気配がした。


「すまない、チップの文化があるのか?他の国から来たのでな」


「そうかそうか、ようこそ!デボルドの街へ!」


大銅貨1枚を渡すと歓迎された。

どうやらこの世界はチップの概念があるらしい。飲食店などのルールとかもあるのだろうか?

というか国独自の食べ方とか言われたら白目を剥く自信がある主人公であった。



まずは情報収集だとばかりに主人公はそこらの街の子供を呼んだ。


1人がこちらに近ずいてきたので銅貨2枚を握らせ、街の案内。この国の常識などをある程度教えて欲しいとお願いする。

子供は銅貨を見つめた後、嬉しそうな笑顔で返事をした。


そしてしばしこの街について教えてもらい、分からないことがあれば質問をしていると時間は過ぎ、子供は走り去って言ってしまった。

銅貨2枚にしてはいい情報を得られたのではないだろうか?(価値は知らんけど)


そして冒険者ギルドに着いた。ここでは正式ではないが身分証の発行を行っているそうだ。

冒険者という身分として保証してくれるカードをくれるとの事、そういえば護衛の持ち物に謎のカードがあったことを思い出す。DPに変換したけど


まあ縛られたくないので冒険者ギルドは身分証の完成と共に脱退する。命令権だのうるさそうだしな。

どうせ身分証なんて剥奪されるだろうから気楽に考えて行こう!


そして主人公は躊躇なく冒険者ギルドの門を開ける。

するとワイワイガヤガヤ、酒の匂いが鼻につく。あと口臭も

そして歩いていくと匂いは少しはマシになり、受付があったので【ここを押してね!】と書いてあるボタンを押す。


するとなんだか隈のできた疲れていそうな女性が出てきた。


「なんでございましょうか?」


「冒険者ギルドに加入する。」


「なるほど、少々お待ちください。」


そして待っていると何か嫌な笑をした男が近寄ってくる。ここは受付なので不思議出ないが嫌な予感はする。



「おう、ここはお嬢ちゃんが来るような場所じゃないぞ?」


「黙れ、誰がお嬢ちゃんだ。加齢臭が話しかけてくるな」


ちなみに元の世界で主人公は無感情、毒舌、冷酷で残忍、無慈悲とよく言われていた。

主人公自身は自己中心的な考え方であることは認めるがそう感じてはいない。


「あ?だ、誰が加齢臭だ!まだ30代だっつーの!親切に言ってやっているのにふざけやがって」

「はぁ、まだ加入もしていない初心者いびりで気持ちよくなっている酒で頭がおかしくなっている冒険者の相手は嫌だな」

「テンメッ!後悔しても知らねぇ!痛い目に合わせてやるぜ」

「へー、冒険者って一般人に手を出していいんだ?」


するとその声で渡りの冒険者達はこちらを見てゲラゲラと笑っていた。なるほど、冒険者は加入前でも暴力OKなんだな。そう主人公は受け取った。

だってそうだろう?これでダメならこの冒険者ギルドって言うのは余程腐っている。


とりあえず近付いてくる冒険者に対して俺は

「キモイんだよ、臭い、とりあえず痛い目に合わせると言われたからには骨数本程度はいいのかな?」


「いきがるなよ!死ね!」

「ああ、殺してよかったのか。なんだ、気絶までかと思っていたよ」


そう言って加齢臭は拳を振り下ろした。一般人なら骨の数本は逝くだろう。殺す気の筈だが手加減しているのか?

腰に刺してある武器を使っていないのはここがギルド内だからだろう。無闇矢鱈と振り回し、周りの家具や他の他者を巻き込むのを避けているのだろう。


殺していいんだよな?でもせっかくの服だ。それに今は汚したら洗えない。汚れない戦い方も習いたいと思いながら顎に重い一撃を食らわせる。顎は脳に振動が行くので気絶に持ってこい…なはず。


帰ってきていた受付さんはこれを見て手に持っていた資料をぶち撒けて大慌で奥の扉に入っていった。関係者以外立ち入り禁止と書かれている。


なぜそんなに慌てているのかと疑問に思っていると受付と、もう1人の筋肉(男)が来た。こいつは臭くないな。


そしてその光景を見た男は頭を抱えた。

「おいおい、マジかよ。お嬢ちゃんこれは流石にダメだろ」


「誰がお嬢ちゃんだ。あいつはああ見えて死んでない。慈悲深い私に感謝するがいい。状況を説明した方がいいか?」

「私をは殺す気だったので応戦した。以上」


「説明が随分と簡潔だなぁ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【性格破綻者のTS転生】なんだかTSでダンジョンマスターに転生させられていたんだけれど俺は運営とかしたくないので【吸収】によってダンジョンコアを吸収させて貰います。 UNKNOWNヌヌヌ @hiyokosan0321

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る