第2話
SS「冬の訪れ」
「冬が来た」という、「智恵子抄」の詩人の美しい抒情詩がある。
冬の厳しさと、おのれの理想とする、孤高で峻厳な自我の境地、それを重ね合わせて、間然するところのない、きっぱりと澄み渡った、彫琢された玲瓏な塑像のごとき、高村ワールドの典型で、究極の完成形…
そのことを、想いつつ、ひとつの幻想的な物語を、オレは幻視していた。
『冬の帝王・北欧神話のトール神の、シヴァは愛人であった。
言うまでもなく、シヴァは氷の女王。
世界の中心に、孤独に聳え立つ”水晶の宮殿”のあるじだった。
このどこでもない偏奇なファンタジー世界…これは、ある狂人のイマジネーションの暴走から生まれた、架空世界。
その狂人は、途轍もない精神エネルギーを胚胎し、それゆえに多くの存在のサイコエナジーをも吸収集約する超常能力を具備していた。…それはある宗教団体の教祖で、もう死んだが、その妄想の幻想世界は、狂信者ゆえの超絶的な影響力、神通力…そのほかの要因が相まって、”異世界中の異世界”となった。
いわば”極北のファンタージェン”…それは、虚数次元の不可知の座標上にぽっかりと異様な存在感を発揮しつつ、黒い嵐の如くに不気味に浮かんでいたのだ。
https://kakuyomu.jp/users/joeyasushi/news/822139839461640836
<続く>
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