第4話 いざ、アルマス大迷宮に出発。

明け方、僕はポーションや薬草類の確認をする。僕はいつもと同じように戦闘には加われないから、罠解除や索敵くらいしか役立てないけど。と内心呟く。するとテオフィル様やガイが起きてきて、声をかけてくる。「準備できてる?忘れ物はない?」と聞かれ、「はい」という。「そうか、じゃあ行こうか。」とテオフィル様が先に出ていき、その後を追うようにガイが出ていく。僕も最終確認をし、腰ベルトに黒い剣を差し、荷物を入れた肩掛け鞄を持ち、鍵をかけて部屋を出る。部屋を出て宿屋の受付に鍵を預け、外に出る。そこにはテオフィル様達がいた。「おっそい」とアンジーに言われる。「すみません。」というと、「遊びに行く訳じゃないんだから、やる気ないなら降りれば?他にも斥候なんて沢山いるんだから。」と睨みつけられ言い淀んでいると、テオフィル様が「まあまあ、アシルもわざとじゃないわけだし」といい、真剣な瞳で僕らにいう。「それに僕らは今からSランクに近いAランクモンスター、クリムゾンスネークを倒さなきゃ行けないんだぞ?出る前から揉められていては連携に関わる。連携が崩れることの方が、それこそ迷惑だよ。」と僕らにいい、アンジーは僕を見て「悪かったわよ…」といい、僕もアンジーに「すみません」と素直に謝るのだった。


それからダジュール王国の南東に位置するピヤレス平原に向け、歩く。ピヤレス平原につくとギルドマスターに言われた通りだった。ホブゴブリンやシープ、オーク。通常はアルマス大迷宮で見かけるモンスターばかりがうろついている。すると近くから「キャー」という声が聞こえ、僕達が声が聞こえた方に急いで向かうと数体のオークと馬車を守る護衛達。1人は深手を負っている。テオフィル様やガイ、アンジーがなんなく倒す。バァンと馬車の扉が開くと「お父さん!!」泣き叫びそうな声。「お父さん、死んじゃやだ、置いていかないで。」という声。それを見て急に頭に微かに浮かぶ、何かの映像と声。それに気を取られていると、女の子が大声で誰かポーションと解毒薬を持ってませんか?と声をかけられるが、テオフィル様達は何故か持っているのに黙っている。僕は黙ってられず、自分の持っている解毒薬とポーションを渡す。女の子はありがとうといい、ゆっくりお父さんらしき人にポーションや解毒薬を飲ませる。すると息ができるようになり、顔色も良くなり傷も治った。「貴方、名前は?」と言われ、「僕はテオフィル。勇者パーティーのリーダー、あとは疾き誓いのメンバーだよ。」と女の子にいうと、「いや、貴方に名前を聞いた訳じゃない。」と女の子は冷めた目でテオフィル様を見る。女の子は僕の前にきて「貴方に聞いたの。貴方の名前は?」と言われ、「僕は、アシルです。」と戸惑い気味に答え、「アシル、ね。覚えたわよ。私はリセ・ユマール。ユーマル商会の会長をしてます。」といい、周りがザワつく。「ユーマル商会、って大商会じゃねえか。」とあまり話さないガイが呟く。リセは、僕を見て「アシル。貴方が何かに困ったら、私のところに来なさい。その時はユーマル大商会が助けましょう。」といい、去っていった。それを見届けてからアルマス大迷宮に僕達は急いで向かったのだったーー。

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