第3話 謎の黒い剣と鍛冶師、モーガン。
ギルドから出た僕らは、重苦しい雰囲気につつまれていた。ピヤレス平原。そこは初心者向けの平原だ。通常は薬草や貴重な薬の原料になる野草が沢山あり、薬草などの採取クエストしながらレベル上げができるとてもありがたい平原。ピヤレス平原からさらに奥地に、アルマス大迷宮はある。罠もあるし、大迷宮とだけあって広い。広い上にアルマス大迷宮は少し面倒臭い。面倒臭いと言われる理由はモンスターよりも、ダンジョン自体にある。アルマス大迷宮は、階層を移動する度に"ランダム"で次の階層の内部が変わる。1階層からランダムな為、地図が作れない。というよりはない為、どれだけ早くクリムゾンスネークを見つけて討伐するか、が肝になる。ギルドを出たら皆、別行動になった。テオフィル様やガイは薬草やポーションなどを買いにいくと行って別れ、聖女ティニー様は教会で祈るといい、アンジーは宿に帰って少し休むらしい。僕は、気分転換したくてフラフラと街中を見て回っている。あ、美味しそうな匂い。「ラビットホーンの串焼きだよ!できたてで美味いよ!」という屋台のおじさんに、「ラビットホーンの串、2本ください」というと、「はいよ!大銅貨3枚ね。」と言われ払う。この世界のお金は下から、銅貨=10円、大銅貨=100円、銀貨=1000円、金貨=1万円、白金貸=10万円の計算である。人々の平均的な月の給料は金貨1枚程度である。ラビットホーンの串焼きを貰い、歩きながら食べる。当てもなくさまよってそろそろ帰ろうかな、と考えていると1番隅っこに目立たないようにひっそりとある武器屋。外に失敗作?だろうか。大量に置いてある大剣や槍や短剣などが無造作に置いてある中に一際目を惹く剣。
まるで俺を見ろ。俺を使え。と主張するように黒く鈍く輝く剣。柄は変な形をしているがその刀身は鋭く、刃こぼれなどはない。そして剣にしては珍しく細い刀身だった。自然とその剣を手に取っていた。その剣を手にした瞬間、馴染む。剣を調達しようと考えてたけど、これにしよう。
「武器屋…モーガン?って書いてある。すいませーん」とドアを叩くと、「あ?」と出てくる小柄な男性。身長は人族より小さいがパワーなどは、エルフや人間の比にならない。それがドワーフ族。「誰だ、てめぇ。」と鋭い目で睨まれながら言われ、恐怖で、足が震えそうになる。しかし(この剣が欲しいと伝えなきゃ)と思い、しっかり眼を合わせ言う。
「この黒い剣を下さい。」
「…なんでその剣なんだ?理由を聞かせろ。」
「分かりません。でもなぜ惹かれて、呼ばれたような気がしたんです。」
「ほう。ならばその剣を抜いてみろ。抜けるなら…」とモーガンさんが言ってる話をぶった斬って、鞘から剣を抜く。「あ、それなら抜いてみたんですけど凄く刀身綺麗でした!余計にこれが欲しくなりました。」というと、呆然として僕を見ていたモーガンさんが急に豪快に笑い始め、興奮しながらいう。「は、ははは。なるほどな。いいぜ、お前に金貨3枚で売ってやる。」と言われ、
「すみません。僕今手持ちがなくて、今度討伐に行くのでそれから帰ってきた後でも支払い大丈夫ですか?」というと「あぁ、いいぜ。」と即決で驚いた。帰り間際に「お前、名前は?」と聞かれ、「アシルです。」と答え、それからお礼をいい、僕は宿屋に帰ったのだった。
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