第5章 SE、身の程を知らされる。

ふと、気づいた。

俺の スマホ なら、

彼らの情報も読み取れるのではないだろうか。


思い立つやいなや、

俺は スマホ を手に取り、三人に向けてかざした。


「……これは何をしている?」


戦士レオが怪訝そうに眉を寄せる。


「いろんなもののステータスを見られる魔法の道具だ」

少し戸惑いながらも、正直に答えた。


レオはきょとんとした表情。

僧侶リオンは穏やかな微笑みを崩さない。

魔法使いルナだけは、目を輝かせて スマホ の画面を覗き込んできた。


この瞬間、俺はようやく理解した。


──自分の“異能”が、この世界でどれほど役に立つかを。


スマホ で三人を撮影すると、

画面にCSS形式で、彼らの属性が細かく表示される。


#レオ {

職業: 戦士;

性別: 男;

戦闘力: 50;

}


#リオン {

職業: 僧侶;

性別: 男;

戦闘力: 20;

信仰: 50;

}


#ルナ {

職業: 魔法使い;

性別: 男;

戦闘力: 10;

魔力: 50;

}


さらに、装備や所持品まで確認できた。

レオの剣と鎧、

リオンの聖杖、

ルナの魔杖とローブ──。


画面を見ているだけで、

戦力の全体像や得意分野が一目でわかる。


「……これは、本当にすごいな」

思わず内心で感心した。


未知の世界で生き延びるうえで、

これ以上ないほど頼れるツールだ。


期待と不安が入り混じりながらも、胸が高鳴る。


スマホ を傾けて三人に見せる。

「ほら、装備やステータスが全部こうやって見えるんだ」


レオは眉をひそめながらも、感心したようにうなずく。

リオンは落ち着いた目で淡々と確認している。

ルナは宝物を見る子どものように目を輝かせていた。


「なるほど……便利な道具だな」

レオが低く唸る。


「これは……確かに戦いの参考になる」

ルナが興奮気味に呟く。


リオンは穏やかな笑みを浮かべながら言う。

「使い方次第で、大きな助けになるだろう」


胸の奥が少し温かくなった。


異世界の仲間に、

自分の力をこうして示せるとは思わなかった。


***


さて、当然ながら

──自分のステータスも気になってくる。


俺は スマホ を自撮りモードにし、そっと撮影した。


画面に表示されたのは──。


#マイト {

職業: 村人;

性別: 男;

戦闘力: 5;

}


「……村人。戦闘力たったの5。ゴミ……」

思わず声に出して呟いた。


三人はというと、

「まあ、そんなもんだろうな」という表情でこちらを見ている。


苦笑いがこぼれた。


──なるほど。

異世界での俺の立ち位置は、今のところ“雑魚村人”らしい。

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