35日目 松江旅行
土曜日の文化祭を終えた寮一行は、日曜日と土曜日の振り替えの月曜日の休日を利用して夕景(せっけい)姉妹の実家がある松江へと1泊2日の旅行へとやって来ていた。
※作者メモ、土日が文化祭と書いてる場所があれば修正が必要。
「うほー、なんや豪い豪勢な車両やなぁ」
「大輔、なんで乗ってるの?」
楓花は朝から大輔を揶揄って遊んでいた
「ふぁー」
(やっぱりそうなるよなぁ)
優は言葉も出ずにキョロキョロしてる豊夫を見て、自分が夏に初めて乗せてもらった時のことを思い出していた
「これは椿さんのですか?凄いですねぇ」
「そお?何時も乗ってるから良く分からないわ」
「龍二くん、この子の価値観ずれてるから」
「はぁ」
世間的には十分以上にお金持ちな香が呆れながら言っていた。龍二は香と百合の間程度のお小遣いを貰っているような金持ちの家庭だが、流石に自家用の車両なんてのは持ってる家では無かった。(今で言えばプライベートジェットを好き勝手使って旅行に行ってるイメージに近いかも知れない)
「由香さん、遥さん。今日はお誘い頂いて嬉しいですわ。私、温泉楽しみにしてますのよ」
九条は今日誘ってくれた2人に改めてお礼を言っていた。
「皆さん、酔い止めは飲んでおいて下さいね」
汽車はまだ岡山の駅で停車中だったが、遥は再度言っていた
「そうそう、飲んでおかないと酷い目にあうんだよ。うんうん」
過去の酷い出来事を思い出すように語る由香
「俺もう1粒飲んでおこうかな」
酔いやすい訳では無いが、九条やユリアなどが居るこの旅を自分の失態で台無しには出来ないと豊夫は思っていた。
「ベッドもあるから辛くなる前に寝てもいいわよ?」
優に視線を送りつつ椿は言っていたが、流石に監視が厳しく今回の旅の間はヤル気は無かったが、優を揶揄ったり九条やユリアなどの反応を見て楽しんでいたようだ
汽車の中では昨日の文化祭の事、今日の松江での事などの話題で盛り上がった。車窓からは川越しに山が見えるその景色が続き、汽車は右へ左へと蛇行しなが走り続けた。
話す事も無くなって来た頃
「ユリアさん、眠たくなられたら言って下さいね。ベッドに案内させますので」
「椿さん、お気遣いありがとう。でも、私はこんな山の中を汽車に乗って移動する機会が少ないので、外を見てるだけで楽しいのです」
「そう言われると、私もあまり山の中を汽車に乗って行く事はありませんわね」
「そうですの?日本は山が多くありますから、皆さんは見呆れてるのかと思ってましたわ」
「そうですね。ただ、私は、いつもなら飛行艇で飛んで山を越えますから、あそこのお二人は別の理由でしょうけど」
「ふふ、なんだか小さな子供が始めて汽車に乗った時のようで、可愛いですね」
「そうですね」
汽車の揺れが心地良く昨日の疲れもあってか汽車が本格的に山の中へと入る頃には、車内は静かになっていた。そんな中で、汽車の旅なんてのはこの春から何度かしかした事が無い優と豊夫は、ユリアの様に景色だけでも十分に楽しんでいた。いや護衛として同行しているナターシャも見慣れる川と山の車窓に心を奪われていた。
「あれ大山かな?」
「さあな」
遠くに大きな山を見つける優、土地勘が無いので遠くの山が何かまでは判断出来ない豊夫
「あれは、大倉山ですね。大山はまだもう少し先の方で見えますよ」
遥は2人に他の高い山々を指差し、名を教えていた。
「なんだ違うのか」
「もう一回探すチャンスが出来ましたね。頑張って下さい」
「そうだね」
「そう言えば川を下り出してる」
「おっ、ほんとだな」
「少し前のトンネルの前後で水の流れが瀬戸内海へと、日本海へとに変わるんです。ですから、ここらへんがちょうど中間地点な感じになりますね」
「へぇ、そうなんですね」
汽車は川の流れに寄り添って、日本海へと向かった。
「今度こそ大山だろ?」
優が3度目の大山発見を口にした頃には、寝ていた者も起きて来て優と一緒に大山を語り、松江に着いたら何をするかを語った。
「やっと着いたでぇ」
「宍道湖のほとりを散歩でもしてから、お昼を食べに行きましょう」
「ごっはん。ごっはん。」
「お姉ちゃんは、案内する方でしょ」
「はっ、そうだった」
お昼に松江駅に汽車は到着をしたが、降りてすぐに食事は体の方が厳しだろうと遥は松江の自慢の景色でもある湖での散歩を提案していた。
「湖畔は綺麗に公園になっているのですね」
駅から1km程度の距離にある湖畔の公園へと着き、九条はその感想を口にしていた
「はい。でもあれ、実は父の趣味でして・・・」
「そうでしたの?」
「お恥ずかしいですが、自宅の庭で出来ない事をあちこちの空き地を庭園や公園しておりまして」
「趣味なだけはありますわね。周囲と調和している良い公園で落ち着くし私は好きです」
ユリアは落ち着く和風の公園と湖畔に広がる日本の風景との調和を気に入ったようだ。
「ユリアさんにそう言って頂けと知ったら父は喜ぶと思います。あっでも母が悲しむので出来れば」
珍しくアタフタする遥
「遥さんも大変なのですね」
「あは」
ユリアも何か思い当たる事があったのかも知れない
「それでは、そろそろお昼を食べに行きましょうか?」
「お昼やて?なんやろうなぁー、出雲ならそばやろ?って言えるんやけんど」
「お昼は、蒸し寿司をご用意させて頂いてます」
「蒸し寿司?それは、どのような物ですか?」
優は首を傾げた
「それは、見るまでのお楽しみと言う事で」
用意されていた車に分乗し、黒塗りの先導車に続き一行の車列はお店を目指し移動を開始した。車には基本的に二人ずつ乗っていてリムジンタイプに香、椿、百合の3人が乗った。
「なぁ、優。蒸し寿司ってどないな寿司やろか?」
「さあ?魚を蒸してから使ってるとか?弘前だと海の魚は生では食べないから、ちらし寿司でエビを茹でて使ってたし」
※実際の弘前市の大正時代の事は知らない・・・異世界のだからうん・・・
「寿司を握ってからやな、それそんまんま蒸しとるとちゃうか?」
「それワサビどうなるんだ?」
「さあなぁ、そないな鮨食った事無いから、知らんわ」
二人は短い移動中に、蒸し寿司について語り合っていた
「松江城が良く見えますね」
松江城の掘り沿いにお店はあり、店の庭越しに天守閣などが見えていた
「いよいよやな」
「ああ」
運ばれて来た膳を前に、蒸し寿司の答え合わせを楽しみにする面々
「それでは、頂きましょうか」
「頂きます」
「えっ、温かい」
「ほー、チラシ寿司を蒸しただけやと思ーたら、しぐれ煮が入っとるやんけ」
「チラシ寿司を蒸して温めただけかと思ったけど、色々工夫がされてそうだな」
「蒸されてるから、酢の酸味がまろやかになっていて食べやすいですね」
個々に、むし寿司の答えや味の感想を言いながら、楽しい時を過ごした
「お昼からは、お堀を船で1周してから、お城の天守閣へ登る予定です」
と、言う訳で城を小舟に乗って下から見た後は、天守から松江の城下町やその奥に広がる湖、遠くに見える大山などを堪能し
「3時ですし、お茶にいたしましょう」
社交界の時にゲストをもてなす為に、城の庭に建てられた茶室へで一行は3時のおやつと言うか小休憩をする事になった。
「何時も皆さんには気を使わせておりますから、ここは私がお茶を点てさせていただけませんか?」
「えっ、彩華さんがなさるのですか?」
「遥さんも少しはお休みを楽しみませんとね」
「はい、ありがとうございます」
遥は思った。それは休憩になりません、むしろ緊張で疲れてしまうと。
(チッ)
椿は優にお茶を点てて、ユリアなどの様子を見て楽しもうとしていたのだが、阻止されていた。
一行は小休憩を終えると、玉造温泉へと移動をした
「ウウー、ちょっとワイ走って来るわ」
「あっ、俺も」
「お前ら元気だな」
「行ってらー」
大輔と豊夫は体が鈍ってるようで、湖畔を走りに行ってしまった。龍二は呆れながらもやはり旅行で基本座ってばかりだった事もあり散歩へと、優もまたストレッチを始めていた
「私達も少しお散歩しますか?もう少しで日も落ちますし、湖に沈む夕日も綺麗で私は好きなんです」
「そうね。では、遥さんのお勧めの夕日を見に行きましょうか」
女の子達も少し体を動かせたかったようで、九条が行こうと言った事もあり、今夜泊まる湖畔の温泉宿の広い庭を抜けて湖畔へと移動をした。
「ウリャーーー」
「負けねーぞ、コラー」
砂浜を必死に走ってる男二人
「五月蠅いですわねぇ」
「ほんと、男って嫌い」
「楓花」
「はいっ」
「えっ」
「ちょっ」
「うわぁあああああ」✖2
ドボンッ
「楓花、凄いわね」
「ええ」
魔法科で無い子達は、楓花の風魔法に度肝を抜かれてしまったようだ
「湖に沈む夕日も良いですね。サンクトペテルブルクの夕日を少し思い出しましたわ」
「金沢の日本海に沈む夕日は何度も見て来ましたが、水辺では見た事無かったからこれは初めの経験です」
「出雲大社の方に行くと、日本海に沈む夕日も見れるのですが今回は行けなくてすいません」
「そんな事は無いわ。こちらの夕日も素晴らしいですもの、遥さん、綺麗な夕日を見せてくれてありがと」
百合は遥にそっと抱き着いてお礼を言っていた。
※実際の玉造温泉は湖畔に無い?(* ̄- ̄)ふ~ん
みんなと一緒の料理も、露天風呂も寮で何時もしてる事ではあったが、寮と旅館は流石に違い・・・あれ・・・大差無い気も・・・
とは言え、皆一緒に大広間で寝るのは、九条やユリア、椿などの貴族の子達は初の事だったようで、何時も以上にパジャマパーティーは盛り上がったようだ。
野郎の方はと言えば、枕投げを!とは夕景(せっけい)姉妹や九条などに迷惑がかかるのでする事は無く、観光中に買った酒を呑みつつ雑談をしていた
「豊夫は次は誰ねろーとるんや?」
「ねろーとるんや?って、そんなポンポンと好きな子なんて見つかるかよ」
「そうか?女なんてヤラセてくれれば誰でもいいじゃん。なぁ大輔」
「お前と一緒にすんな。ワイはじっくりと選ぶ派や」
「大輔が選んでたとか笑わすなよ」
優は思わず吹き出しそうになり、むせた
「おま、優お前はどうやねん!」
「俺は選べないよ。この学校、右見ても左見ても家柄も良くて綺麗な人ばかりだし」
「だよなぁ。とは言っても、入学してから半年だぞ?誰か一人くらい良いなと思った子はいるんだろ?」
「いると言えばいるけど・・・九条さんだろ?ユリアさんもいいし、香さんや椿さん、百合さんも」
「ダメや、優に聞いても無駄や。こいつはまだ女を知らへんのや」
「大輔に言われても・・・。大輔はもうやったのかよ」
「おま、そう言う事はやな。結婚してからで無いと、色々ややこしい事にやな」
「ふーん」✖3
「ほな、お前らもうやったんかいな!」
「俺は中学の時にはもう卒業してたぞ」
カッコをつけ余裕を見せる龍二。やったと言っても龍二に彼女は居た事は無く、不良達と夜遊びをしてる中でとか、飲み屋の女に遊ばれての事だった
「俺は中学の時に付き合ってた子とキスまでだったけど、あっ胸は触らせて貰った。とは言っても、ガキ作ったら相手の家に怒鳴り込まれて借金返す為に今頃炭鉱で働かされてただろうしな」
「えっ、豊夫彼女居たの!?」
優は驚いた
「優お前彼女居た事無いのかよ」
「ウッセイ、田舎じゃ金持ってる奴かゴリラみたいなやつしかモテないんだよ」
「まぁそうかって事は俺はゴリラかよ」
「あっ」
「あっ、じゃねーぞ」
「ワリイワリィ」
「でも、お前魔法使えるんだろ?しかも、最下位とは言えこの学校に合格出来てたんだから、将来はそこらの農家や勤め人よりは高給取りになれるはずだろ?」
「大半が農家の家の子だぞ?そんな先の事まで考えれても、その前に適当な相手見つけられて結婚させられてしまうわ。金持ちは貧乏農家の俺になんて興味がそもそも無いしな、俺がちょっかい出しても相手にもされねーよ」
「だよなぁ。俺の所もそんな感じだ。付き合うだけなら良いけど、最後まですると結婚がちらつくからな」
「大輔は許嫁居るんだろ?許嫁と遊ばねーのかよ」
「馬鹿言え、それこそ結婚前に子供なんぞ作ってみーや両家共に上へ下への大騒ぎだぞ。それに手を繋いだ事もねーよ」
「お貴族様は大変だな」
「龍二お前も許嫁と結婚だろ?」
「だろうな。まぁ結婚するまでは好きにやらせて貰うから、今は全然気にしてねーけどな。許嫁より条件が良い女落とせたら乗り換えれば良いだけだしな」
「おま、そないな事したら」
「貴族様じゃねーんだから、そんな大げさな事にはなんねーよ」
なお龍二の実家は、箔をつける為に無理してでも貴族の娘を狙う家なので、下手に遊ぶと実はヤバイとかなんとか・・・
「で、お前らどんな女が好きなんだよ」
龍二は何度目かのこの話をはじめた
「ワイは」
「お前はどうせ巨乳なんだろ?」
「大輔は、乳さえあれば良いんだよな?」
「そうそう。乳の話しかしないよな」
「なんや、お前らやて大きい方がええんやろが?」
「まぁ、そりゃある程度は欲しいが」
「俺も大きいのは嫌いじゃない。小さいのは勘弁だな」
「何でもいいよ」
「優おま、ほんまに男か?ついとるんか?」
「じゃあ、お前らユリアさんに告白されたらどうするんだよ?あっ皇帝の娘だからどうこうは無しな。見た目だけの話だ」
「汚無いぞ。あんな美人を持ち出すなよ」
「あのクラスなら、多少胸が無くても付き合うだろ普通」
「ワイは」
「お前はいい」✖3
「ナンデヤーー」
「俺は、俺なんかの相手をしてくれる人なら誰でも良いよ。選べるような立場じゃないし」
「それを言われると俺も」
「ほんとお前ら2人はすぐに現実に引き戻されてるな。理想の話だろ?夢を語れよ夢を」
「夢で良いなら、そりゃテニス部のカレン先輩とかが」
豊夫はボンキュンボンなナイスバディなうえに美人で賓のあるいかにも貴族の娘さんを持ち出して来ていた
「カレン先輩いいよなぁ。俺はナターシャさんも捨てがたい」
「ナターシャさんも良いよな。カレン先輩のような可憐さは無いけど燐としててカッコイイし、何よりあの胸!」
「だよなぁ豊夫っ」
「いや、あの胸は硬そうや、もっとだらしのーて柔らかそうやないとやな」
龍二はキリッとした年上(20歳)のユリアの付き人を持ち出して来た。この3人の理想の女は、まずは胸が大きい事、それから雰囲気、そして、ウエストや尻と言った感じで視線は胸から上に一度上がり、下へと移動してる感じだった。
「俺は・・・。うーん・・・選びきれない」
「はいはい、やめやめ」
「ワイがまだやで!」
「お前はいい」✖3
優は好きな人は居たが色んな理由もあったが、単純に恥ずかしくて言え無いってのが最大の理由だったかも知れない。大輔は皆の知らない海外の女優とかの名前を持ち出しおっぱいを語るので、皆が生身のその人を知らない為に盛り上がりに今一つかけるのだった。
なお、寮の人達の評価はと言えば、香は顔もスタイルも良いが「胸が無い」、椿は綺麗で胸もあっていいが「怖い」、百合は椿より胸もあってさらに良いが香にべったりなので女好きの趣味がありそうでひかれていた。九条の事は流石にネタには出来ないようで美人とかと褒める程度だった。夕景(せっけい)姉妹は、2人とも美人で巨乳だったが、残念な姉と良く出来た妹で妹の評価は高かった。ただ、百合と同じで姉にベッタリで一緒に寝てるくらいなのでヤバイ性癖の持ち主だとの評価に落ち着いていた。楓花に関しては・・・胸が無さ過ぎてお子様扱いで基本名前は出て来ない存在だった。優は時々「可愛い」と言っていたが、これも「実家の久美子」のような妹や小さな子供のような可愛さであって、恋愛対象として可愛いと言ってる訳では無かった。
「九条様、ロマノフスキー様この度は、わざわざ足を運んで頂きまして~」
翌朝、旅館で朝食を終えた一行の所に、夕景(せっけい)姉妹の父と母が挨拶に来ていた。
良い宿だとか風光明媚な良い町だとか、食べ物も素晴らしいとか、娘さん達が素晴らしいなどなど、大人の会話を椿も加わりしていた。男爵の娘の香と大輔は話が落ち着いてから遥に呼ばれ挨拶へと言っていた。優達はまとめて「娘達と仲良くしてくれてるようでありがとう」程度の物だった。貴族がいる世界なので優先順位をつけると、平民の相手する時間が無く挨拶があっただけましだった可能性も・・・
「皆様ありがとうございました。父がどうしても挨拶はと」
遥はペコペコと頭を九条やユリアなどに下げながらお礼を言っていた
「それで、今日は何処を案内してくれるのかしら?」
香は姉妹の親達が帰ると、遥に聞いていた
「今日は縁結びで有名な八重垣神社に行く予定です」
「縁結びと言えば出雲大社では?」
百合が全国的に有名で比較的近い、出雲大社の名を出していた
「出雲大社も有名なのですが、もう行かれてる人も居そうでしたし、八重垣神社には鏡の池と言う所で縁結びの占いが出来るので、今回はこちらを選んでみました」
「縁結びの占いですか」
「はい」
女の人で恋愛して結婚をする組は楓花くらいだろうか?相手が決まってるとは言え、やはり縁と言うのは恋愛以外の事もあり気にはなる物なのかもしれない
「では、この占いの紙を池に浮かべて、硬貨を乗せてですね。早く沈めば縁が早く訪れ、遅ければ縁は遅く。近い場所で沈めば身近な人、遠い場所で沈むと遠方の人という事になります」
「それなら、硬貨の種類で調整すれば」
「それを言われるとそうなんですけど・・・今は、新しい1銭銅貨を1枚乗せて占うようになってます。ズルはダメなんですよ」
「あら残念」
椿は抜け道を見つけたから言って見たのか、ずるをしてでもどうにかしたい縁談でもあったのかも知れない
「ほなワイは早速と」
大輔の浮かべた紙はあっという間に足元で沈んだ
「えっ、ハヤッ」
「15分とか30分とかって書いてあったのに、もう沈んだの?」
驚きの声が一同から上がった
「なんや、これ占いが当たんなら、ワイは近々ええ相手と結ばれそうやな。みんな先に彼女ゲットするワイに嫉妬したらあかんで」
勝ったなガハハハと態度が大きくなる大輔
「俺だって」
と、続いた豊夫だったが、まぁ大輔の様にすぐに沈むはずも無く。
「少し時間もかかりますから、私達もはじめませんか?」
「そうね」
と、やり始めた一行の結果はと言えば
香、近くで時間は普通
椿、極近くの落ち葉の上に乗ってしまい沈まず
百合、近くで時間は普通
綺華、極近くで時間はやや早め
夕景、姉妹の紙が絡み合う様にすぐに沈んだ
楓花、椿と同じ様に近くの葉っぱの上で沈まなかった
ユリア、極近くで沈み切らず木の枝に
ナターシャ、これまたユリアと同じだった。
女の子達の半分は沈まないとか、沈み切らないなんだか微妙な結果に
優、極近くで時間はやや早め
豊夫、比較的近くで時間は普通
龍二、比較的近くで時間は普通
と、大輔の極近くですぐに沈んだだった。豊夫は占いなんてなと言いつつも嬉しそうな顔をしていた。振られて間が無いから次への希望が見えたのかも知れない。優は豊夫を真似て「ヨシッ」とか言ってはいたが、全然感情が籠って無かった。
と言うか、許嫁にお見合いに・・・断れる立場の者以外は、無理矢理にでも結婚はされられるような時代だから、結婚に関する縁を占ってもあまり意味が無いような?
結婚相手などは決まってる人達も居るので、どちらかと言えば誰のが先に沈むのかを楽しむイベントとなっていたかも知れない。が、夕景姉妹の紙が絡み合う様に沈んだ時なのは、「お二人は仲が宜しいですもんね」と盛り上がり、許嫁が居る人は「まぁそうなるわよね」と
※なお落ち葉の吹き溜まりだの木の枝なので沈まない事があるかどうかは知らない(ぉぃ
「次は漆器の絵付け体験をしていただきます」
「面白そうね」
「私、絵は苦手なのよねぇ」
「香さん大丈夫です。お店の人が教えてくれますから」
「そお」
「はいっ」
それぞれ、箸や器、手鏡などに習いながら絵を描きお土産をした。
「松江の最後は日本海の幸を用意いたしました。お刺身に、お鮨に、思う存分お召し上がり下さい」
と、最後は日本海の海の幸がこれでもかと出て来て、昼間から宴会状態となり。帰りの汽車では九条とユリアがベッドを使い。他の者達も椅子やソファーで大半の時間を寝て過ごした
ただの日常(仮タイトル ※面白くはない(キッパリ @soyogukaze
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