34日目 文化祭2
「レンガを積むだけだと思ったけど、色々あるんだな」
「今度はなに見とんや?」
本屋に1冊だけあったイタリア料理の事が書いてある本の中に何種類か窯の写真があって、それを部屋で優は眺めていた
「ピザ窯ってのを作る事になったんだよ」
「ピザ窯って、おま何につかうねん?」
「ピザ焼くに決まってんだろ?他に何するんだよ」
「ピザ屋でもやるんけ?」
「文化祭でする候補に今なってるんだよ」
「ほ~、なんやそれ、おもろそうやな。よっしゃ、決まったら教えてやぁ。それワイが作ったるで」
「えっ、お前部活の方は大丈夫なのかよ?」
「あー、あっちは毎年してるカキ氷やて、せやから特に準備らしい準備は前日まで無しや」
当初は文化部が展示等をする事かが始まった文化祭だったが、学校の歴史が長くなるにつれて来場者が増え、運動部が喫茶店など休める場を提供し、どんどんお祭りのようなイベントへと変化して行っていた。基本的に全員部活に所属しているが、クラス単位などで参加する者達もいた。
なんやかんやとあってぇ~の
「ドヤッ」
「おおー」✖6
「岡崎さんて、凄いんですね」
河内はピザ窯を作り上げた大輔の仕事に感動をしていた
「そないな事無いで」
「そのピノキオのような鼻、切り落として薪にするぞ」
「おま、何怖い事言うてんねん」
「あはは、でも、これで練習が出来ます」
「あっいや、乾燥させな高温に出来んのや」
「えっ」
「1週間とか自然乾燥させて、弱い火でしばらく温めたりして仕上がるらしいや」
「そんなぁ」✖5
「そこでやっ」
「何でこっち見てるんだよ」
「ほな、頼んだで」
「頼んだでって・・・何すればいいんだよ?」
「何ってそりゃおま、不要な水分だけをやな魔法でどないかして」
「えっ?」
「頑張ってやぁ」
「・・・」
「優頑張れー」
「優頼んだぞ」
大輔の頼みは面倒だったが、女子部員から言われると弱い優
(とは言え・・・時間進めれば良いのかな?でもって、弱火でどうこう言ってたから、火つけてまた時間を適当に・・・)
「どお?」
「ワイも初めて作ったし、どないなんやろな?」
「昼休憩終わるし、俺今日バイトだから大輔後は任せた」
「なんやと!!んまぁ、はじめ焼く温度にするのに2時間くらい必要らしいし、とりま薪くべとこか、窯の試し焼きや」
「うん」
玉野も楽しみなようだ
「ワシ、ハムやソーセージが載ってる奴が気になってるんだよ」
「ウチはエビのやつが」
「先輩達、今日は買い物してないから、ピザは作れませんよぉ。でも、窯が出来たから買い物行きましょうか」
「先輩、私トウモロコシとか、アスパラとかのも色が綺麗で試してみてもいいですか?」
「うん、色々明日から試してみましょう」
河内もソースの事とかを一応レシピは貰っていて早く作って見たかったが、ピザ窯が無いので我慢していたのだった。
「あっ、せんせ」
女性陣も教室へ戻る空気となってる中で、苗場が顧問に声をかけた
「えっ、なに?」
「せんせ、試作分のお金よろしくです」
「えっ?部費は?」
「部費はとうの昔に」
お腹をさする部員達
「えぇー、文化祭の後に返してくださいね。先生安月給なんだから。グスン」
「任せといて下さい。倍にして返しますんで、苗場が」
「おいこら、春子!なんでワシが払う事になってるんだ」
「先生すいません。この部、部費が少なくて」
泣く泣く財布からお金を出す顧問の万ケ塚 (まんがつか)留美(るみ)22歳独身、文化祭の日の為に買おうとしていた新作の帽子がお預けになった瞬間であった。
文化祭前日の部活時間となっていたのだが・・・
「もう無理やぁ」
「僕も、うぷっ」
「ウチの分は任せたぞ登美枝」
「ワシは見ただけで・・・」
「やっと上手に焼くコツがつかめて来たのに、先輩頑張って下さい」
玉野は2人の前に、新たな1枚を置いた。
完全にダウンしてる4人
「恵美先輩、どうしましょう?」
「何時もクッキー食べてくれてる人達に、配りましょうか?」
「じゃ、私配って来ますね」
「それじゃ私は保健室で胃薬貰って来るわ」
なんとか運動部を中心に配達する事によって、河内と玉野は火加減や焼く時に置く位置や移動させたりして火を均一に通すコツを身に着けたようだ
「優、私を喰べに来てね」
「椿、何を言ってるの?」
「あら私ったら、私の所に食べに来てねと言う事よ」
「もう、ビックリするじゃない」
夕食の前、寮では文化祭の前夜と言う事もあり、みんな自分の出し物や行きたい場所などを話していたが、椿が爆弾発言をしていた。
「優ぅ、椿先輩はどうせ何もしないのだから、私がお茶を入れてあげるわね」
「何よ、私だって・・・」
「私だって?」
「もう、五月蠅いわねぇ」
椿は去年も女子生徒とイチャイチャしてただけで部の仕事はしてなかった
「私達も居るからね!」
「来て下さると嬉しいです」
由香、遥姉妹も茶道部なのだ。ただ、この二人は着物が普段着なので、ギャップは無いかも知れない。
「なんやなんや、皆ワイのカキ氷も食べに来てやぁ」
「合気道部、今年もカキ氷するんだ・・・」
なんだか呆れ気味の香
「去年は雨で肌寒くなって、冷たい物を売ってた所は全滅でしたわね」
チクリと椿
「そうそう。去年は雨で馬術部は開店休業どころか乗馬体験会中止だったわ」
「今年も雨降ると私は嬉しいですわ」
香は青い顔をしていた。百合は馬術部の出し物が中止となり香とイチャイチャ出来たから大満足だったようだ
「大丈夫や。ワイは晴れ男や!」
10月の文化祭、かき氷は結構綱渡りな出し物なようだ
「優、メイドカフェするから来てね」
「うん」
「ただのメイドカフェじゃないよぉ。留学生の人達提供のメニューが盛沢山!」
「へぇ、楽しみにしてるね」
楓花はチラッとユリアを見ていた。
「私も居ますから、待ってますわ」
「はい」
楓花からのパスを貰ってユリアも優を誘っていた。
「えっ、まさかユリアさんもメイドのお姿に?」
帝国のTOPの娘がメイド姿をするのは九条も驚いていた
「はい。女の子は皆メイドの服を着て接客をするんです」
「わー、行きたい~」
「ユリアさんは、この時間の担当だよ」
「遥ぁ~」
「お姉ちゃん、明日友達に聞いてみてあげるから」
「あうう」
パンッ パンッ
文化祭当日となり、開始を知らせる花火が打上げられた。
「今日のワシはやってやんぞぉ」
「ウチも負けないわよ」
「二人とも、遊んで無いでお持ち帰り用の箱組み上げて下さい。お客さん来てしまいますよ」
「おっ、おう」
「幸なんだか恵美に似て来て無いか?」
「ワシも最近そう思う事が」
「お話して無いで、早く手を動かす!!先生もです」
「えっ、私も?」
「当たり前です。クラスの子達の話だと大変な事になりそうなんですから」
「ええー、わたし魔法科のカフェに行って旦那さん見つけたかったのにぃ」
「先生、若い子狙いすぎです」
「若い男なら、料理部にも優がいますよ」
「いやだって、優くんは・・・」
貧乏農家の息子の優では玉の輿に乗れないからダメらしい?と言う訳では無く、可愛い優は好みでは無くて、カッコイイイケメン王子様タイプが好きらしい。若い男を漁らないといけない理由は、自身の年齢が・・・
「河内先輩、温度良さそうです」
「優さんありがとう。それじゃあ1枚試し焼きして、味見しましょうか」
「はい」
そして発言した河内含め全員顔から笑顔が消えていた
「おかあさん、あれ食べたい」
「なにかしら?ぴざ?」
「イタリアと言う国の食べ物で美味しいんですよ。こちら試食ですから宜しければどうぞ」
「へぇ、それじゃあ」
「おかあさん、これ美味しいよ!」
「そうね。チーズとトマトって合うのね。1つ頂こうかしら?」
「はい。上に乗せる物が選べますので、お好きな物を3つまで選んでくださいね」
「それじゃあ、茄子とアスパラとベーコンにしようかしら」
「わたし、エビとソーセージとトウモロコシ!!」
この時間は河内が焼き、玉野が受付とトッピング、優が生地を作り、先輩2人と先生は箱や紙皿の用意と、完成品の受け渡し等をしていた。なお、前日までに時間を見ては生地をこねて丸いボール状にしたり、野菜などを切ったりの下準備も3人でしていた。なお残り3人は・・・
「良い香りがするわね」
調理が始まっていた事もあり、香に誘われて来る者も開始直後からチラホラと出てきており、なかなか良い。いや結構忙しい出だしとなって居た。
「あっ、クラスの子が言ってたのだ」
「ここに通ってる子が、ピザって言うのが美味しいと言ってたのよ」
「なんだか、あそこ列が出来てますわね」
と、開始30分しない間に数十人の列が出来ていた。
「これは予想以上だな春子殿」
「そうですなぁ登美枝殿」
「先生は幸さんを手伝って下さい。春子先輩はもう箱は良いですから、冷蔵庫から追加の材料持って来て下さい」
「ついにウチも立ち上がる時が」
「早く行って下さい」
「ひゃいっ、恵美大佐殿」
一応調理室にある冷蔵庫から食材は出していたが、全部入る訳も無く優が時々補充をしていた。
その後も激務は昼過ぎまで続き・・・
「やっと、落ち着きましたね。順番に休憩にしましょうか?」
流石にお昼を過ぎると、食べ物を買う人の数は減っていた
「じゃあ」
「河内先輩、僕休憩貰っても良いですか?寮の人達の担当時間が丁度今頃なので」
「それじゃ、30分ずつで悪いけど、優さんと登美枝先輩から休憩行ってください」
「ありがとうございます。それではお先に休憩入らせて貰います」
「ヤッター休憩ヤァ。ワシは寝る。時間来たら起こしてくれ」
そんなこんなで30分だけだけど休憩を貰えた優
(えっと最初にユリアの所に言ってと・・・)
魔法科の1年2組へ急ぐ優
「あっ、やっと来た。優、遅いー」
「ごめんごめん。あっ、本当にメイドさんの服着てるんだ」
「ふふーん、可愛いでしょう」
「うん」
「なんか、違う気がするぅ~」
「えっ、いや、本当に可愛いと思ってるよ」
「それで、優。ご注文は?」
「えっと、時間無いし・・・このコーラってのを」
「コーラね」
「お待たせいたしました」
「ありが・・・。あっ、ユリアさんじゃなかった。ロマノフスキー様」
楓花が持って来ると思っていた優はユリアが持って来たので驚いていた
「今日のユリアさんも可愛いでしょう」
「うん。って、楓花!」
「あはは、優真っ赤になってる。キャハハハ」
優も赤くなっていたら、ユリアも紅くなっていた。
「ユリアさん、5分くらいなら大丈夫ですよ?」
「えっ」
「あっ、手が」
「冷たっ」
「お客様ごめんなさい。こちらへ、ユリアさんも手伝って下さい」
「あっ、はい」
楓花はわざとコーラが入ってたコップを倒し、優とユリアを連れてスタッフ達が休む為の控室へと入って行った
「これで少しの間のんびり出来ますね」
「楓花ちゃんたら」
「えへへへ」
「あっ、そうだ。これ」
「どうせまたピザでしょう」
「違うよ。ピザは今週2回も差し入れたから飽きてるだろうと思って、それに何か食べてたらと思って・・・」
「それでプリンになったのですね」
「はい、あまりまだ作れるのが無いから」
「えっ、これ優が作ったの?」
「うん、準備の間に」
「では、頂きますわね」
「はいっ」
「おいしいー、着替えたりしててお昼食べそこなってたんだよねぇ」
「ええ、優が作ってくれた物はどれも美味しいですわ」
「そんな僕何て」
照れる優
「皆に怒られそうだし、私行くね」
楓花はそう言って部屋を先に出た
「それじゃ、優私も」
「はい。頑張って下さい」
「ありがと」
ユリアは優のほっぺにキスをしてから部屋を出た。本当は口にしたかったのだけど、そうすると我慢できずに長くなってしまいそうだったからとっさに頬に切り替えていた
「次は、お茶飲む時間あるかな」
優は椿達のいる華道部と茶道部の建物へと向かった
「優さん、ようこそ」
「あっ、遥さん、こんにちは今日は何だかいつも以上にお綺麗ですね」
「えっ」
「あっ、ごめんなさい。いつもお綺麗なんだけど、なんだかそのいつもより綺麗だなと思ってしまってつい」
「ありがとう。多分、このお着物のおかげですね」
「あっ、優だぁー。やっほー」
「由香さんも、今日は凄くお綺麗ですね」
「今日、は?ブー」
「お姉ちゃんのお着物も今日はとっておきなんですよ」
双子だけあって胸のサイズが少し妹が大きいとか、頭などが全て妹が良い以外はそっくりなのだから、妹が今日特別綺麗なら姉もまたそうなのだった。
「椿さんと百合さんは、今はどちらに?」
「百合先輩はお茶を点てるはずですよ。椿様は・・・そう言えばお昼からいらして無いような?」
「そうですか、時間が無いし・・・」
「あら、優来てたの?お茶を点ててあげましょうか?」
「あっ、時間がもう」
「ええー、私立てるの上手なんだけど?」
ちらっと、優の股間を見る百合
「あのお茶はまた今度と言う事で、失礼します」
優はここで捕まると不味いと、外へと逃げた。
「もうそろそろ帰らないと・・・」
時間も無いし瞬間移動で帰ろうと人目が無い所を目指し、庭園へと向かった
「渋谷お姉様」
「可愛いね。顔真っ赤だよ」
「だって、お姉様そこは、アン」
「声我慢しないと、見つかるよ」
「でも、アン。そこは」
優が庭園の奥の方に進んだ時、そこでは椿が女子生徒の着物の隙間から手を入れてエッチな事をしてる最中だった
ジャリッ
「キャ」
音に驚く女子生徒
「誰も居ない。猫かしら」
少し移動をし音のした方を見た椿はそう女子生徒に言って安心させていた
「ああ、ビックリしたぁ。あの人、日頃からあんな事をだからあの時もあんなに」
優は音を出し見つかったと思った瞬間に、瞬間移動で調理室近くの男子トイレに移動した。
「ただいま戻りました。えっと、誰と交代すれば」
「それじゃ、幸さんと交代してあげて」
「はい」
そして、優が戻って30分ほどは客足は落ち着いていたのだが・・・一番仕事が出来る河内が休憩に入り、クラスの友達の所に向かった直後から客足が急に増え始め列は文化祭の終わりの花火が打ち上がった後もしばらく絶える事は無かったのであった。
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