力の種類と師事
「このコインが落ちたらスタート」
「わかりました」
ピンと親指から小君良く跳ねられたコインが地面へと着地する瞬間にお互いの魔法がぶつかる。
「あれなにやってるかわかる?」
「いや俺も魔法は門外漢だからな。さっぱりだ。わかるのはパーティーハウスが壊れそうなことぐらいか」
「そこは大丈夫でしょ。最悪ラルコスは私が助けてあげるからさ」
「心強いな」
軋むパーティーハウスを横目にスウとアカネの勝負は苛烈さを増す。
「『舞い散る風よ、一陣となりて全てを滅ぼせ』
「後始末が大変になるからそういう詠唱のついた魔法を唱えるのはやめて欲しいな」
そう呟きながら魔法を詠唱することすらなく、スウの唱えた
「……なかなかやる。これならどう? 『焔の化身よ全てを焼き尽くし煤塵ときせ!』
「はぁ……この後の後始末を考えると憂鬱だから範囲攻撃はできればやめてほしいんですけどね……」
サクッと指先から出した水魔法で特大の範囲攻撃をいなすアカネ。
スウも強いことには強いのだろうが、アカネとの差は歴然のように見える。
そろそろパーティーハウスに影響が出そうなので止めようとした瞬間にスウの雰囲気が消えた。
「ラルコスさん大丈夫です! そろそろだと思ったので決着はつけておきました」
「きゅぅぅぅぅ」
そう俺に語りかけるアカネと気絶しているスウが目に入る。
どうやら今回はパーティーハウスを失わずに済みそうだと俺は胸を撫で下ろした。
―――――――――――――――――――――――
「アカネ強かった」
「だから最初からあれほどアカネを師事しろと私言ってましたよね!?」
「でもいまだに雰囲気と魔力は強そうに見えない……。何故?」
「ふふふ、それはね。スウちゃんみたいな強さを見抜くのだけが得意な相手を出し抜くためよ」
「出し抜く? 騙すってこと? スウ難しい言葉はわからない」
「その解釈であってるわ。世の中弱くみられたほうが得なことの方が多いのよ」
「……変なの。強いから強いと示した方が得。スウの入っていたパーティーは少なくともそうだった」
スウの言うことには一理ある。
冒険者は腕っぷしがものをいう職業だ。
自身の強さを示し続けられるのであれば示し続けられる方がいい。
だが、そんな人材は一握りだ。
どれだけ強くてもいずれは落ちぶれる。
アカネはそれを誰よりも身に染みてわかっているだけだ。
「スウちゃん、冒険者として生き抜く方法を私が教えてあげる」
「うん。アカネなら私も歓迎。強い人に教えられてスウも強くなる」
こうしてスウとアカネの奇妙な師弟関係が始まったのだった。
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