目標と落ちぶれた何か

「落ち着きましたか?」

「はい。まさかもう一度剣を握れるようになるなんて思わなくて……」

「それが聖女であるリースさんの力です。彼女に治せない病はないとも言われてます」

「それは言いすぎです! 私にも治せない病の1つや2つくらいはありますよ」


 1つや2つ……?

なんだか聞き覚えのない単語が出てきたような気がするが、私はスルーして話を本題に戻す。


「それで私を新進気鋭の正義の信奉スティルジャスティスに入れてくれるというのは本当か?」

「ええ。私達は正義の栄光グランドジャスティスから追放された者同士で組んだパーティーですから」

「目的はなんだ? 復讐か? それとも正義の栄光グランドジャスティスの崩壊か?」


 私は真の目的をこの胡散臭い笑顔の男から聞き出そうとする。

 いくら追放されたとはいえ私も正義の栄光グランドジャスティスには世話になった身だ。

 恩はあるが、そんな馬鹿げた目的があるなら協力することはできない。


「目的……ですか……?」

「あぁそうだ。私達は正義の栄光グランドジャスティスから追放された身。恨みの一つや二つはあるだろう」

「いえ、ありませんが……」

「僕もないですね……」

「私も……追放された直後はショックでしたけど」

「じゃあなにが目的だ?」

「我々、正義の信奉スティルジャスティスの目的は正義の栄光グランドジャスティスを名実共に世界最強にすること、そして正義の栄光グランドジャスティスの名誉を回復することです」


 世界最強。

 それは決して戯れでも発してはいけない言葉だ。

 何故ならその言葉の重みはギルドにおいて、ひいてはパーティーという枠組みに置いて世界に一つだけしか許されていない称号だから。

 

「だが、面白い。いいだろう。君達には恩もある。馬鹿げた目標だが、私でよければ付き合おう」

「本当ですか! ありがとうございます!」


 こうして私は正義の信奉スティルジャスティスへと加入した。


――――――――――――――――――――――


「アミル姉さんは嵌められただけなんです!」

「あのすみません。もう次の人が並んでいるのでいいですか……?」

「いいえ! 僕は取り合ってくれるまでここを動きません! 正義の栄光グランドジャスティスの調査をお願いします!」

「また君か……。アカシアくん、こうもしつこいと除名処分になってしまうよ?」

「サブマスター! お願いです! もう一度だけ正義の栄光グランドジャスティスに調査を……! あいつらはアミル姉さんをハメたんだ!」


 この子は1週間ほど前に正義の栄光グランドジャスティスの調査をギルドに依頼した子だった。

 調査の件は諸々の問題と正義の信奉スティルジャスティスを傘下として黙認してくれた件で帳消しとしたのだが、いかんせんしつこい。


「あのね、ギルドも暇じゃないの」

「ですが……!」

「そんなに調査したいならもう一度自分で行くか、アミルさんを尋ねてみたらどう?」

「アミル姉さんはまだ冒険者をしてるんですか!」

「うん。今は正義の信奉スティルジャスティスで活動してるはずよ。それで……って行っちゃった」


 所属しているパーティーを伝えるなり、アカシアくんはギルドを飛び出していった。

 正義の信奉スティルジャスティスと接する時の注意事項を伝えてあげようと思ったが……。

 彼も正義の信奉スティルジャスティスの前で正義の栄光グランドジャスティスを下げるほど馬鹿ではないだろうと私はタカを括って仕事へと戻るのだった。



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