第5話

---



ロンドンの空に、再び人類の旗が翻った。

日本.イギリス空軍により赤竜が倒され暗雲の裂け目から太陽が差し込む。

その光を背に、日本とイギリスの混成部隊が進撃を開始した。


「作戦開始だ! 全軍、前進せよ――!」

イギリスの残存指令部から、司令官コーンウェルの声が響く。

その隣では、日本海軍の将校・大島少将が無線に手を添え、静かに頷いた。

「イギリスのためではない、人類のために。撃ち払え。」


ロンドン中心部。瓦礫と化した街並みの上を、F15とEFタイフーンが編隊を組んで飛び交う。

燃え尽きた街路を進むのは、イギリス陸軍の残党と、日本陸軍の支援部隊。

彼らの背には、冒険者ギルドの旗印――かつて迷宮を守り抜いた者たちの誇りが翻っていた。


「こちら冒険者分隊〈銀鷹〉! 魔族の陣地を発見、砲撃支援を要請!」

「了解、第五航空隊、これより制空援護に入る!」


空では、爆音と魔法の閃光が交錯する。

日本の魔導士・神谷遼と、イギリスの風術士・エレノアが並んで詠唱を始める。

「風よ、我らに道を開け!」

「雷よ、敵の翼を砕け!」


交差した魔法陣が天を裂き、炎をまとう魔物の群れを貫いた。

続いて空爆が降り注ぎ、黒煙の中から連合軍の旗が現れる。

その光景に、避難していたイギリス市民たちは息を呑んだ。

「……勝てる……のか? 本当に、また……」

一人の少年が瓦礫の影から空を見上げ、涙を拭った。

その瞳には、かつて失われた“希望”の光が宿っていた。


やがて街の中心部――と呼ばれる黒い巣を目指して、全軍が集結する。

そこにこそ、魔物たちを束ねる存在“竜帝”が潜むという。


大島少将は無線を握りしめ、全軍に告げた。

「――これが人類の反攻だ。

空を、海を、大地を、取り戻せ。」


空に響くのは、F15の咆哮とEFタイフーンのエンジン音。

そして、地上では冒険者と兵士たちが肩を並べ、共に進む。


かつて絶望に沈んだロンドンの空は、いま――希望の炎で赤く燃えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る