自堕落生活の準備

【1】英雄と大賢者

門を通り抜けた先は神殿のような場所だった

周囲を確認しているところ、コツコツと足音を鳴らしながらこちらに男が歩いてくる


「すまんな、こちらの都合でこの場所につなげてもらった」

開口一番そういう男。外見は黒髪に赤眼で顔も整っているが、背中には小さくて薄いひし形の板のようなものが集まって翼のようになっている


「っと、自己紹介をしよう。僕はセルトフィール。世界と宇宙を司る神だ」

と言っても、と区切る

「今じゃ、いろんな世界を旅して面白いものを探しているだけなんだけどね」

とおちゃらけたように言う


「喋れないのが不思議だろ?すまんな、とりあえず君をこの世界に移動させる方法だけど、ちょうど他の世界で異世界召喚魔法で召喚される直前の子たちがいるから巻き込まれたように見せればなんら問題はない。さて、君は少し特殊だからね。僕の加護を与えよう。それと、君のステータスにあった能力をあげるよ。ちょっと見させてもらうよ」


***

名前:渡利雄太(21歳)

種族:人族[上位]

職業:剣神、魔法神

称号:超越者、ダンジョンの天敵、英雄、終焉の魔王、終焉神成者終焉の神と成る者

レベル:59,823,021

魔法:火、水、風、土、雷、氷、音、光、闇、空間、時間、重力

【スキル一覧】

剣神術、剣神技、領域支配、念動力、超直感、危険察知、身体強化、思考加速、分割思考、限界突破、神装創造、能力制限リミッター、超加速、隠密、隠蔽、偽装、換装、世界眼、自然回復、完全模倣、ストレージ、星詠み

***


「おー!ん?能力制限リミッターねぇ。この感じだと一番制限しても力加減ができないでしょ」


その言葉に「なぜわかった!?」という反応をする雄太

「だって僕も経験者だからね。ドアノブとかよく壊すでしょ。僕もよくやって、もうめんどくさくなっちゃったから念動力で開けてたけど転移を使うようになってからは基本的に転移で移動するでしょ」

うんうん、と相槌をうつ


「そうだなぁ、うん。僕と盟友の契りをかわそう。そうすれば僕は君に能力を貸し出したり出来るし、なにより僕を呼び出すことができるよ。そうすれば何か問題が起きても最終手段で僕を召喚するっていう最強の切り札を用意できるからね。それと、君には僕が使ってる能力制限リミッターに上書きするのと能力付与っていうスキル、それと僕が創った手加減用の魔法銃をあげる」


ふと思い出しのかのように言う


「あぁ、それと、いまから行く世界は君にとって雑魚しかいないから魔法銃で事足りると思う。だからのんびり暮らしたいなら暮らす場所がないとね。だから君に。天空城の力を使えば森に家を建てるのも簡単だから好きに使ってよ。それじゃあ、いってら~」


「最後の挨拶軽っ!?」などと思いつつも見送られることのうれしさをかみしめるのであった



◆◇◆



気づけば雄太は玉座の間のような場所にいた

ほかには中学生くらいの男子2人女子2人の計4人がいた


なるほどなぁ。と思いつつも、誰かがくるまでステータスを偽装することにした

すこしステータスをいじった。あとなんか身体も若返っていた


偽装後のステータス↓

***

名前:渡利雄太(16歳)

種族:人族[上位] → 人族

職業:剣神、魔法神 → 付与師

称号:超越者、ダンジョンの天敵、英雄、終焉の魔王、終焉神成者終焉の神と成る者、天空城の主

   → なし

レベル:59,823,021 → 1

魔法:火、水、風、土、雷、氷、音、光、闇、空間、時間、重力

   → 重力

【スキル一覧】

剣神術、剣神技、領域支配、念動力、超直感、危険察知、身体強化、思考加速、分割思考、限界突破、神装創造、能力制限リミッター[改]、超加速、隠密、隠蔽、偽装、換装、世界眼、自然回復、完全模倣、ストレージ、星詠み、能力付与

   → 身体強化、能力付与

***


能力制限リミッター[改]はすでに発動していて、とても効果が実感しやすかった。理由としては力加減が前と違ってとてもやりやすくなっているからだ

すげー、と思いつつも、貰った能力を確認すると説明を放棄していていた

雄太はあんにゃろーと思いながらも感謝していた


雄太の剣は極めたものであってスキルによるものではない。つまり剣の道を往く者が見れば達人の技だと気づかれるし、実力者にも気づかれるだろう。だから歩き方も完全に素人のそれにしている

隙も晒しまくっている


ステータスをいじって満足している雄太は中学生らしき4人組の会話を聞くことにした



「ねえ、どうする?あの人」

黒髪黒目でショートヘアのボーイッシュな少女が言う


「知らね。巻き込まれたんじゃね?ラノベでよくあるやつ」

赤髪赤眼の少年が言う


「あぁ~、確かに。でもこういうのって大体落ちこぼれかチートのどっちかだろ。まあ見た目は弱そうだけど」

黒髪黒目のスポーツ刈りの少年が言う


「否定。外見や憶測での判断は危険と判断」

ぼさぼさの黒髪に黒目の少女が言う



すると、扉がバァーン!と開き、王様らしき人やローブを着てる人たちがぞろぞろと入ってきた

王様らしき人が玉座に座ると口を開く


「よく来た勇者たちよ。我はリーベル王国の王、デルビアル・ファルン・リーベルである。我々が貴殿ら勇者を呼んだのだ。我々は魔王により侵略を受けている」

とまあ、テンプレのセリフを言う


ということで魔王を対象にして世界眼で探すとまさかの反応あり

どこだろうと思うと、自分であった


そこで気づいた。「そういえば俺、終焉の魔王の称号があるじゃん!」と


しかし、この城の地下深くからもう一つ。弱いが微かに反応があった。気になり、世界眼で鑑定する


***

名前:リフィル・フェイ・アルビオン

種族:魔族[上位]

職業:魔王、大魔導士

称号:魔眼の魔王、魔道を極めし者

レベル:29,903(現在 321)

魔法:火、水、風、土、雷、闇、暗黒、深淵

【スキル一覧】

身体強化、思考加速、魔力強化、魔王覇気、威圧、気配察知、魔力察知、魔眼[万能]

状態:衰弱、疲弊、飢餓、脱水、劇毒、衰弱の呪い、弱体化の呪い、束縛の呪い

***


なんだこれ、と表情には出さないが驚きを隠せない

そして確信した。この国にはなにかある、と

魔族が襲ってくる?当たり前だ。魔王がこの下にいるんだから。侵略されてる?否、奪還しようとしてるだけだ


まあ、もっと情報がいる


そしてデルビアルの話が終わり、宰相によりステータスの確認をするとのこと

道中、なぜかぼさぼさした髪の少女がこっちをちらちら見てきていたのを除けば普通であった


「ではだれからでもいいですよ」

宰相がいう


「じゃあ、はい!俺からいくわ」

赤髪の少年がいった


***

名前;赤沢祐介(14歳)

種族:人族

職業:拳闘士

称号:異世界から来た勇者

レベル:1

魔法:火、風

【スキル一覧】

拳闘術、拳闘技、身体強化、思考加速、限界突破、瞬歩

***


これが普通である。もう一度言おう。これが普通のステータスである


「おぉ!さすが勇者様です」

と宰相が言う。この反応は普通である

そしてボーイッシュな少女、スポーツ刈りの少年、ぼさぼさな髪の少女も続く


***

名前;大崎凛(14歳)

種族:人族

職業:大剣使い

称号:異世界から来た勇者

レベル:1

魔法:土

【スキル一覧】

大剣術、大剣技、身体強化、思考加速、重量増減、限界突破

***


***

名前;松田大樹(15歳)

種族:人族

職業:狩人

称号:異世界から来た勇者

レベル:1

魔法:水、風

【スキル一覧】

弓術、弓技、隠密、気配察知、身体強化、思考加速、限界突破

***


***

名前;西川美佳(15歳)

種族:人族

職業:大賢者

称号:異世界から来た勇者

レベル:1

魔法:火、水、風、土、雷、音、光、闇、神聖、暗黒

【スキル一覧】

詠唱破棄、魔力強化、魔法強化、身体強化、思考加速、魔眼[魔力視]、限界突破

***


大賢者は王国で二百年前に確認されて以来だそうだ


そして俺の番


***

名前;渡利雄太(16歳)

種族:人族

職業:付与師

称号:なし

レベル:1

魔法:重力

【スキル一覧】

身体強化、能力付与

***


当然偽装したステータスがでる。宰相は「付与師?えぇ、皆様素晴らしい職業をお持ちで何より」とごまかしていたが完全に「使えねぇこいつ」と思われているのがまるわかりであった


そして訓練が開始されてからはサボったり怠けていたから完全に落ちこぼれとして扱われて城の人たちや勇者にも落ちこぼれとして避けられている


「………………」ジー


ただ一人、大賢者の西川美佳を除いて


「………………な、なに?」

「疑問。何をしている?」

「サボってるだけだよ」


かれこれ一時間この会話を繰り返している。寝転んでいる雄太をジーっと見つめ続ける美佳。そして視線が気になり問いかけると何してるのと言われ、サボってると答えてはまた繰り返す


しばらくすると美佳のほうから口を開く

「問。あなたは何者?」

「何者って、君たちが言う落ちこぼれ勇者ですよ」

とふざけながら答える


「否定。

真剣な声で言う

「改めて問う。あなたは、何者で何をしているの?」

「………………」


しばしの沈黙ののち、答える


「気づいてたのか」

「肯定。これでも大賢者」

ぶい、とピースしながら自慢げに答える


「じゃあ聞くけど、王様たちが言っていた魔王の件。どう思う?」

「回答。胡散臭い」

「やっぱりか、はぁ」

「疑問。なぜ今その話を出す?」

「なあ、なんで魔族が攻めてくるかわかるか?」

「不明。少なくとも殲滅ではない」

「答えは簡単だ。この城の地下深くに魔王がいるからだ。自国の王を取り戻そうと躍起になるのは至極当然だと思わないか?」


すると突然物騒なことを言い出す

「提案。二人で城を破壊して魔王を救出するのは?」

「え?」

「ほかの勇者にもこの話を出しておく」

「……………」

「作戦実行は今夜」

「はやくね?」

「問題なし」

「やるとは言ってないが?」

「……………じゃあ一人でやる」

「…………………………。~~~~~~、わかった。その代わり城を破壊するのはなしだ」

「了解。じゃあどうする?」

「どうって、する」


そう言って瞬時に構築した空間魔法〈転移〉を発動した

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