【2】魔王と天空城
「はい、到着」
「賞賛。すごい、詠唱破棄?でも魔法が構築されてた」
「ん?確かにそうだが、ちょっと違うな。魔力の塊に〈詠唱破棄〉と〈転移〉を付与したんだ。能力付与は無機物有機物関係無く能力を付与させるスキルだ。なら別に魔力に付与できてもおかしくはないだろ?」
空間魔法〈転移〉で牢獄のような場所に出た後、歩きながら〈転移〉の
「能力付与〈崩壊〉」
魔法陣と門だけが崩れ落ちていく
そしてその先には、手足と首を鎖で繋がれ、両手両足の爪は剥がされ、身体は火で炙られ、毒に侵され、呪いによって弱り果てた女性の姿があった
「激怒。これはひどい」
「あぁ、どうやらこの国の王族は相当腐ってるようだな。うん、俺の自堕落生活の障害になりそうだな」
「師匠。この部屋、魔力が使えない」
「え、まじか。『封魔結界』でも張ってあんのか?まあ、いいか。能力付与〈呪詛返し〉〈完全回復〉〈完全治癒〉」
能力の役割としては、〈呪詛返し〉で呪いをかけた奴に呪いを倍返しにして呪いを消し、〈完全回復〉で傷を全て治し、〈完全治癒〉で毒などを完全に消す。これで呪いをかけた奴は自身の呪いで苦しみ、かけられた側は完全に回復した
残りは水と飯が必要だけど、なんも持ってないので天空城の力を試すことにした
するとあら不思議、天空城のシステムコンソールをいじってると直接取り出せた
とりあえずストレージから服を取り出したのだが、ストレージに入っていたのを取り出すときに気づいたのは秘密である
服を着せた後は〈転移〉でサボり場所に戻ってきた。そこからはもう大胆であった。能力を隠す気が失せたので天空城を顕現させた
天空城にはセルトフィールの眷属と名乗るメイドたちがいたが魔王を見てすぐに察して行動を開始した。ひとまず飲み物とお粥を食べさせてから医療棟で精密検査をしてからメイドたちが服を着せ、そこにいたのは美女となった魔王であった
「おぉ~」
「美人!」
「う、うむ。」
雄太と美佳が褒めると恥ずかしそうに照れる
「では、改めて言わせてもらうのじゃ。妾を救ってくれて感謝するのじゃ」
「いいって、別に。だってこっちに来てから数分で魔王が城の地下にいるなんて知ったらさすがにねぇ~」
「師匠。来た時には力を使えてた。しかも付与以外を」
「あ」
「質問。師匠はあの場所で何をしていた?」
「あ~、はぁ。しゃーないか。ま、隠す気はもうないけどな」
と素直に話し始める
「サボってたのは確かだけど別に、ただサボってたわけじゃないさ。ちょっと世界眼っていうスキルで牢獄を隅々まで視てただけだ。もう空間魔法であの場所は写真みたいに保存してたんだ。何事も証拠があったほうがいいだろ?」
そう言ってにやりと笑う
「肯定。証拠が有るか無いかで優位性が変わる」
「うむ、確かにそうであるが、この後はどうするのじゃ?」
「そうだな、手っ取り早いのがとんずらすればはやいぞ?でもなぁ。絶対に自堕落生活の邪魔になるよなぁ」
「推奨。自堕落生活に私も入れるべき。甘やかしてあげる」
「妾は一度国に帰らせてほしいのじゃ。妾もここで生活するからな」
「え、西川はともかくリフィルも住むのか?」
「うむ。眷属が主の傍に居てはだめか?」
うるうるした目で見つめる
「うっ、わかった」
全く、とつぶやくが涙に弱い雄太であった
「それより師匠!」とグイっと身を乗り出しながら言う
「名前で呼んで」
「え」
「美ー!佳ー!」
「わかったよ、美佳」
「~~~♪」
かくして、リーベル王国王城の上空に突如出現した天空城に『大賢者』西川美佳と『魔王』リフィル・フェイ・アルビオンが住人となった
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