真夜中の雨の中で。破壊と再製の記憶。

─── 必ず、雨天の夜中にのみ
 人前に 現るる故に、 雨坊主 と呼す。

その伝承は今では廃れてしまったのか。
否、それは今もザァザァと雨音を立てて
降り頻る雨夜に。
 幾つもの『雨坊主』を軒下に下げる。
裁ち鋏と千枚通しを手にして、それらを
見上げる。
     雨坊主 という呪詛。即ち

妖物として雨の降り頻る夜に軒下に並ぶ。

 雨坊主、雨坊主。願いを叶えておくれ。
その為にわざわざ呼び出したものを。
眞夜中の雨の様な悲しみは、更に強く
降り頻り、いずれ全てを洗い流して

         仕舞えばいい。

清々とした真夜中の雨は決して止まない。
雨坊主を一つ、壊して捨てた。

  雨坊主の数は、変わらない。


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