第9話 これからのこと

 サーヤを担いで洞窟の前に戻った壮真は、鉄板で肉を焼きながら満足げに息をついた。


「ふぅ……とにかく狼5匹も狩れたら、しばらく食料の心配はないな。」


 肉から香ばしい匂いが漂い、その匂いは寝ころんだままのサーヤにまで届く。


「ぐぎゅるるるるいるるるるるるうううう!!!!」


 盛大にサーヤのおなかが鳴った。


「おい、さっき狼1頭食べただろう。」


「ふん!さっきスキルを使ったからエネルギー切れだ。」


「燃費悪すぎだろ・・・」


 そう言いながらも壮真は肉を差し出す。サーヤは豪快にかぶりつき、頬を紅潮させた。


「うまああああああああああい!!!」


「はいはい、よかったな。」


 二人はしばらく黙々と食べ続けた。狼肉は意外にも臭みが少なく、スパイスを振るだけで十分旨かった。保存用に干し肉も作っておいたので、当面の食料は安定した。


 食べ終えた壮真は、焚き火の火を見つめながら口を開いた。


「さて……地球側の生物分布はだいたい分かった。虎やゴリラ、狼なんかがいる。危険はあるけど、食料として利用できる生物も多い。」


 サーヤは口をもぐもぐ刺せながら頷く。


「もぐもぐ、うむ、こちら、もぐ、側は私、もぐ、の世界の、もぐ、生物ばかりだった、もぐもぐ。ムームーや、もぐ、チャーキーなど、もぐもぐ、見慣れた魔物、もぐもぐ、が多い。だが、おぬしの、もぐもぐ、言う、もぐ、“地球側”の生物も危険度としてはこちらと同様だ、もぐもぐ、。虎

 など、私でも油断すれば、もぐ、やられる。もぐもぐもぐ!!」


「まったく食べるかしゃべるかどっちかにしろよ!!まあ、次は、栄養的に必要な野菜や果物を探しに行こうと思う。」


「野菜は嫌いだ!!!!!!!!」


「威張るな!!!好き嫌いをするな!!!子供か!!!」


「果物は好きだ!!!!」


「聞いてねえよ!!!・・・なあ、まじめな話していいか?」


「なんだ?改まって。」


「結局ここはどこなんだ?地球なのか?サーヤたちの世界なのか?」


「わからん、ただ違和感はあるな・・・」


「違和感?」


「うむ、おぬしはこの島をどう見ている?」


「どうって、洞窟に俺たちの部屋があって、2人の世界の生物がいておかしな島だなと思ってる。」


「その、おぬしが作った地図を見てみろ。」


 壮真は地図を見てみた。


「真ん中に山があって麓の東と西にはそれぞれの洞窟があってそれぞれの生物がいる・・・」


 壮真は生物の分布と洞窟富山の位置を見て気が付いた。


「正確過ぎる・・・・」


「うむ、この島は区分けがきれい過ぎているのだ。まだ北と南は行っていないからわからないが。」


「確かに・・・」


 正確な地図ではないので多少の誤差はあるが、山の形もきれいな円錐だし洞窟の位置も山を中心にきれいに分かれている。


「お前・・・・実は賢いのか?」


「どういう意味だ!!!!失礼な!!!」


「すまんすまん!まさかそんなに冷静に判断できるとは・・・・」


「これでも部隊を任されていた経験があるのだぞ、これぐらいの分析ができなくてどうするんだ。」


「おおお。初めて尊敬できるところが見つかった・・・・」


「まったく、失礼な奴だ。」


「とりあえず、動けるようになったらまた調査だな。植物もそうだけどこの違和感も感じながら色々さがそう。」


「そうだな。」


「ところで、聞いてなかったが、急にお前がいなくなってそっちの世界の家族は心配してるんじゃないか?」


「いや、私の家族は戦争でもういなくなってしまってる。まあ部隊のみんなは心配しているだろうけどな・・・まあダンジョンなんかで転移魔法の罠で知らないところに飛ばされることはあるから事故だと思っている。」


「そうか・・・俺も両親が事故で死んで1人で生きてきた。仕事仲間は・・・心配より残してきた仕事の後始末で恨んでるんじゃないかな?てか転移魔法なんかがあるのか?すごいな。」


「魔法少女が使っていたではないか?」


「いやいや、あれは空想の中で、実際はない。」


「私から見たら、おぬしの使う道具の穂がよっぽどすごいぞ!絵が動く大きな板、コンパクトで丈夫なスコップ、小さい携帯できるかまど。あと常にお湯が出る『しゃわー』といい香りがして髪の毛がサラサラになる石鹸!!!」


「全部科学のおかげだけどね、魔法か・・・魔法は使えるのか?」


「私は使えん!だが、私の部屋に学園に通ってた時の教科書がある。今度持ってこよう。」


「おっ!!!ありがたい!これで俺も魔法が使えるのか・・・」


「使えるかどうかは実際に訓練をしてみないとわからんぞ。私は訓練してもまったく才能がなかったせいか全然使えなかった。」


「そうか、じゃああんまり期待しないでおこうかな?」


「そうだな私たちの世界でも使えるのは10人に2人ぐらいだからな。」


「2割か・・・本当に期待しないでおこう。まあ実際、俺が異世界の魔法が使えたら異世界か地球かの検証の材料にもなるし。使えたらラッキーでいよう。」


 そのあとは肉を食べ終えて動けないサーヤを担ぎ俺の部屋へと戻ってきた。




「ぐすつ・・・がんばれーーー!!まけるなーーー!!!ピュアハート!!!」


 ベッドに寝転がりアニメのDVDを見ながら泣き、声援を送る・・・


「やっぱりお前の適応力はすごいな。違和感なく受け入れて楽しんでいるな・・・」


 そんなサーヤを置いといて、俺は現在手元にある知識を再確認する。


 まずは、『これであなたもサバイバー!完全サバイバルブック!』


 この本は罠の作り方から、塩の作り方まで幅広く網羅している。


 あとは電子辞書で百科事典や医学書などが入っている。まあサバイバルブックにも応急処置やなんかは書いてあるからあんまり使わんが。


 とりあえず、周辺の捜索はスマホで写真を撮りサバイバルブックと辞典で調べてパソコンに詳しい地図を作ろう。


 食料が安定的に供給できるように罠を使った狩りや畑を作ることも考えよう。


「よし、風呂入って寝よう!」


「そこだ―!ピュアハートーーー!必殺マジカルサンシャインだ―!!!」







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