第10話 トマトは野菜か果物か?

 

「ふっかーーーーーーつ!!!!!!!!!」


 元気に朝日に向かって叫ぶサーヤ。


「よし、じゃあ今日は西側だ。目的は植物の調査。果物や野菜があるかどうか確認するぞ。」


 壮真はリュックに水筒とナイフや携帯食、メモ帳を詰め込み、サーヤは剣を背負った。


「道中の魔物は任せろ!!私の華麗なるスキルで一網打尽だ!!!」


「絶対にやめろよ!もう背負って帰らねえぞ!」


「そんな!こんな獣たちが徘徊するところに置かれたら、いいように嬲られて辱めを受けるに決まっている!そうなれば私は・・・くっ!コロせ!!!」


「いや、地球には人型の獣は・・・いるか。ゴリラとかそうだしな。嬲らるるかどうかわからんがクッコロにはならんと思うぞ。」


「えっ!いないのか?・・・そうか・・・いないんだ・・・」


「なんで残念そうなんだよ!ほらもう行くぞ。もう一度言う。スキルは命が危ないとき以外は絶対に使うなよ!」


「わかったわかった!信用していいぞ!」


「どの口が言うんだ。まったく。よし、いくぞ!」


 二人は洞窟を出て西へと歩き始めた。


 西の森はやはり東側とは雰囲気が違っていた。木々の形がどこか見慣れている。葉の形も、昨日見た異世界の巨大な葉とは違い、どこか懐かしい。


 と壮真が思っていると


「こちらの植物はおとなしいな。」


「ちょっと待て、聞き捨てならんセリフが聞こえたが?そっちの植物は動くのか?」


「動くのもいるぞ、そこいらの木に擬態して後ろから急に触手で動けないようにして・・・・想像していたらぞくぞくしてきた。」


「ぞくぞくするな!それは植物なのか?魔物ではなく?」


「植物の魔物は別にいるぞ。そいつらは足があるから自由に動ける。」


「マジか?!早いところ洞窟に扉でもつけて周りに罠でも仕掛けないとな・・・」


 そうこうしていると少し開けた場所に出た。


「おい、あれ・・・」壮真が指差した先には、細長い葉を持つ植物が群生していた。


「これは・・・ただの草ではないか?」サーヤは首をかしげる。


「いや、これは間違いなくネギだ!俺の世界の野菜だ!」


 壮真は興奮気味に根を掘り起こす。独特の匂いが漂い、確かにネギそのものだった。


「ふむ……匂いが強烈だな。だが食べられるのか?」


「刻んで料理の上にかければアクセントになっておいしい。しかも上だけ採ればまた生えてくる。」


「それはすごいな。」


「とりあえずこれは地図に記載してあとで取りに来よう。」


 そしてネギがあった場所からさらに進むと、また開けた場所に出た。そこには背丈ほどの草が並び、穂をつけていた。


「これは……米だ!」壮真は目を見開いた。


「おお、ムジだな。これがあの旨いごはんとやらになるのだな?」


「そうだ。だがちゃんとこの殻を剥がし、精米しないとおいしくはならない。」


「なんと!!手間がかかるのだな?」


「道具はおいおい作っていこう。」


 壮真は地図に「米発見」と書き込み、心の中でガッツポーズをした。


 壮真たちはさらに奥へ進んだ。すると、木々の間に黄色い球体がぶら下がっていた。


「これは……柑橘類だな。レモンか?いや、みかんに近いか?」


 壮真は一つもぎ取り、皮をむいて口に含んだ。


「すっぱっ!これはレモンだ!」


 サーヤも恐る恐る口にした。


「……すっぱい!だが爽やかだ!」


 その近くには赤い果実をつけた木もあった。丸くて艶やかで、見覚えがある。


「これはリンゴだ!」壮真は確信した。


「リンゴ?かわいい名前だな!」サーヤは目を輝かせ、かじった。


「うまーーーーーい!甘い!これは正義だ!」


 そんなサーヤを見て壮真は微笑んだ。


 森を抜けると、湿地帯のような場所に出た。そこには大きな葉を広げた植物が群生していた。


「これは……キャベツだ!」壮真は葉をちぎり、匂いを確かめた。


「ふむ、ただの葉っぱに見えるが……食べられるのか?」


「炒めても煮ても旨い。万能野菜だ。」


 さらに近くには赤い実をつけた低木があった。


「これはトマトだ!」壮真は興奮して叫んだ。


「トマト?……むぐっ!……うまい!酸味と甘みが絶妙だ!」サーヤは頬を赤らめながら夢中で食べた。


 夕方、洞窟へ戻った二人は収穫した植物を並べた。ネギ、小麦、レモン、リンゴ、キャベツ、トマト。


「これだけ地球の植物があるなら、食料の心配はだいぶ減るな。」壮真は満足げに頷いた。


「ふん!おぬしの世界の野菜はどれも旨い!かわいいものもあるし、正義だ!」サーヤは真剣な顔で宣言した。


「お前の所の野菜を探す時が逆に楽しみになってきたな。今日は色々な発見があったな。少し違和感もあったけど・・・・」


「違和感?そんなものあったか?」


「そうだね、多分地球出身の俺じゃないとわからない違和感だね。」


「ほう、それは・・・・」とサーヤが質問をしようとした瞬間


 ぐぎゅるるるるるるうううるるるるるるる!!!


「まあとりあえず、この採ってきた野菜で料理しますか!」


「何たる屈辱!!!くっ!コロせ!」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る