失われた40年・異世界転生してやりたいことする!

@aihime-ayame

第1話 ある日突然

それは突然だった。

信号を渡っている俺に車が突っ込んできた。

あれは刹那の時間...あまりにも一瞬の出来事だったが

俺は世界がゆっくりと流れた気がした。

最後に見た景色は...光に反射していてあまりよく見えなかったが運転手の顔が薄ぼんやり

見えた。

そして目が合った・・・気がする。


【バダン!!】


その景色が俺の見た最後の光景だった。


・・・なんだ?


・・・何が起きている?


・・・とても暗い...


・・・(耳を澄ます)


ピッピッピッピッ...


.....?なんの音だ...あれから俺はどうなったんだ...


か、体が動かない...なんだこれは

とても重い...何かに貼り付けられたみたいに動かない...



それから...何日が過ぎたのだろうか...


幸い...なのかわからないが耳は聞こえる。

そこで俺は定期的に聞こえる会話に耳を傾けていた。

そしてわかったことがあるここは恐らく病院で俺は動けなくなっているのだと。


定期的に聞こえる〇〇さーん(俺の名前が聞こえる)の声。

今日は外の天気がいいとかなんとか。

そして俺の体が数時間置きに動かされていて、

肩や股関節など体勢を変えたりされているようだ。

看護師にあれこれ言ってる男の声...こいつは俺の主治医のようだ。

看護師に話を聞いて俺の様子を確認している。


ガラガラガラ...


...たまに来る年老いた女の声。

その女は俺の面倒を見ている看護師とは違い色々話しかけてくる。

意味のわからないくだらぬ話ばかりしていて内心悪態をついていたが

俺の主治医らしい人物と会話をしている。

なんでも延命だが

もうすぐ40年だかと言っている。

その他色々くっちゃべっていたがあまりよく聞こえなかったが

こいつらとの会話で俺が病院にいて動けなくなっていると予想できた。


ザーザー...バチバチ...


今日は雨が降っているらしい

看護師らしき人物がもう梅雨ですねと言っている。


俺の記憶では事故にあったのは夏...1年以上も経過しているらしい...

俺はそんなにも眠っていたのか?



ガラガラガラ...


たまに来る年老いた女の声が聞こえ

また意味もわからん話を聞かされるのかと思ったか

「今日は...違った」

信じたくない...いや、信じられない言葉を耳にした。

貴方が事故にあってからもう40年だよ...

そうそう...〇〇(俺の息子の名前)の子供が赤ん坊産んだんだよ...

もうあんた曾お祖父さんて呼ばれるぐらいにまでなったんよ...


そう言いながら俺の手を握っている。

この女がホントのことを言っている保証なんでどこにもない...

あれから40年...とても信じられない...

だが何故だろう...自分でも分からないが勝手に俺は涙を流していたようだ


あなた...?


ピコンピコンピコン!!


え...〇〇!!

しっかりして!!

わたしの声聞こえてるの!?

〇〇!!


ガラガラガラ...


失礼します。

ちょっとお話を.....

えっ...!!


ピンポーン(ベッド横にあるナースコールを押した看護師さん)


こちら〇〇

〜号室に異常発生至急来てください!!


.....随分外が騒がしい...


あんた!!あんた!!


下がってください!!

すぐに運ぶぞ!!


.....耳が遠くなる.....

力が抜けていく...


あ#た!!##た!!


何喋ってるからよく聞こえんよ...

意識が薄れてく.....

悟った...ここで自分は死ぬのだと...

ただ、この手には伝わってくる温もり...

これを無視して死ぬ事はできんと...


#んた!!あんた!!〇〇!!


俺の手を握る手...随分ヨボヨボで萎れていた...

俺の知らない顔...いや面影はある...随分年をとった...

だがとても...


〇〇(嫁の名前)綺麗だな...


ピーーーー.....


それが言えたのか俺の心の中で言ったのかはわからん

だが想いが伝わればいいと身勝手に思う。








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