“優しさ”を描こうとすると、多くの詩は甘くなりすぎる。けれどこの詩は違う。静かで、凛としていて、「心に含む」という言葉に象徴されるように、痛みさえも優しさに変えていく。遠い日の記憶、もう届かない声、それでも“呼吸できる”のは、誰かが残した小さな愛が、いまも胸の奥で灯っているから。読むたびに“忘れてはいけない温度”を思い出させてくれる、まるで祈りのような詩。沈黙の中に光を見出す一篇です。