第七章:②桜の決意
――桜 side――
「遥斗さんの、その**『ちゃんとしたい』**って、どういう意味ですか。」
私の声は震えていた。喜びと不安で迎えた朝が、一瞬にして冷たい現実に引き戻される。
彼の言葉の裏にあるのは、結局、**「今はまだ、君を受け入れる準備ができていない」**という逃避でしかなかった。
私は、遥斗さんのその曖昧さに、ついにしびれを切らした。
「わかった。遥斗さんが距離を置きたいって言うんだったら、それでいい」
私は、唇を噛み締めて、涙をこらえた。
「私からは、もう連絡しない。」
そう言い捨て彼の家を出た。彼の言葉をこれ以上聞くのは耐えられなかったから。
振り返ることはなかった。涙が溢れてくるのを、必死にこらえた。私の目には、悲しみだけでなく、この関係を終わらせるのではなく、変えてやるという強い決意が宿っていた。
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